スロバキアの世界遺産・カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林

画像出典:Mike Pellinni/Shutterstock

スロバキアの世界遺産・カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林

ブナの木は昔から「森の母」「森の女王」と呼ばれ、ヨーロッパでは特別な存在として重宝されてきました。きめ細かい木目に接着剤や塗料がよく染み込み扱いやすいことから、道具や品物の原料としてよく利用されていたのです。そんなブナが手つかずの状態で残されているエリアが、中央ヨーロッパから東ヨーロッパの広範囲にかけて広がる世界遺産「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」。ブナの木の大きさや樹齢、種類の多様性などが高く評価され、2007年にスロバキアとウクライナのブナ原生林が、2011年にはドイツのブナ原生林が、そして2017年にはさらに9ヶ国のブナ林が追加され、世界自然遺産として登録されました。ここでは、そんな「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」の見どころや魅力についてご紹介していきます。

目次

スロバキアの世界遺産・カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林

1.「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」とは?

出典: Mike Pellinni/Shutterstock

「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」は、ヨーロッパ12ヶ国にまたがる広大な世界自然遺産です。ウクライナと共に2007年に世界遺産登録されたスロバキアのブナ原生林は、「ポロニニ国立公園」を含む計4ヶ所が対象となっています。

かつては、ヨーロッパの大地の40%以上を占めていたというブナ林。しかし残念なことに、農耕地の拡大や伐採などにより年々縮小してしまっているのが現状です。そんな中でもスロバキアとウクライナ、ドイツにまたがるブナの原生林は、東西およそ185kmで世界最大規模を誇ります。

「ブナ林」と言いながらも、実は標高によってカエデや菩提樹、モミ、カシ、ナラと種類の異なる混交林が存在するのをご存知でしょうか?このように「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」は、後氷期から現代までのブナ林の進化や生態系を知る上でとても重要な場所でもあるのです。

さらにスロバキアのブナ原生林には、ヒグマやヨーロッパバイソン、オオヤマネコ、アカギツネのほか、絶滅危惧種であるキンメフクロウを含む113種の動物が生息しています。原始の姿をそのまま残す「動物たちの楽園」を、これからもずっと守って行きたいですね。

2.「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」へのアクセス

世界遺産「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」を訪れる際は、スロバキアのポロニニ国立公園(Poloniny National Park)を拠点に観光するのがおすすめです。まずは、日本の成田からヨーロッパ各都市を経由して、スロバキア第2の都市コシツェ(Kosice)を目指しましょう。

コシツェからポロニニ国立公園までの距離はおよそ130km。電車やバス、レンタカー、タクシーなど様々なアクセス方法がありますが、所要時間が最も短いタクシーやレンタカーを利用するのが便利です。車での所要時間は2時間30分弱。これなら日帰り観光も可能ですね。

コストを抑えたい方は、電車とタクシーを乗り継ぐ方法がおすすめです。まずはコシツェから電車に乗ってフメンネー(Humenne)へ行き、さらに乗り換えてスタクチン(Stakcin)へ。スタクチンからポロニニ国立公園までは、タクシーで約40分です。(電車を含む総移動時間3時間40分)

3.「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」のおすすめポイント

◆ブナの木

出典: Milan Gonda/Shutterstock

ヨーロッパブナは幹の直径が3m・高さ25〜35mが標準サイズですが、高いものだと50mに届く木もあります。そんなブナが生い茂る世界遺産「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」は、まさに自然の宝庫。トレイルを奥深くまで進むと、目の前には幻想的な光景が広がります。

その堂々とまっすぐに伸びている美しい姿を見れば、昔の人々がヨーロッパブナを「森の女王」と呼んだことも頷けるでしょう。ちなみに、日本語「ブナの木」という名前は、風がブナの木を通り抜ける時に「ブーン」という音が聞こえることが由来だそうですよ。(諸説あり)

ブナが生える土は他の土に比べると柔らかくフカフカとしており、雨や雪を溜め込む自然のダムのような役割をしています。動物の寝床として最適であることは言うまでもなく、ブナ林に様々な動物が集まるのは豊かな土のおかげでもあるのです。ぜひブナ林を訪れてフカフカを体感してみませんか?

◆生息する動植物

出典: lennystan/Shutterstock

ヨーロッパナラをはじめ、ヨーロッパモミ、ハンノキ、セイヨウボダイジュ、セイヨウシデ、カエデなど、世界遺産「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」全体では1067種類の植物の確認がとれています。さらにこの中には、絶滅の危機に晒されている植物が80種類も存在するというから驚きです。

菌類481種、鳥類101種、哺乳類73種が生息するなど、植物好きや動物好きにとってまさに天国の様な場所だと言えるでしょう。原始の姿を残す動物や第二次世界大戦後に大陸をわたって移動してきた動物たちがが共存するという、とても貴重な世界遺産なのです。

4.「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」見学の際の注意事項

ポロニニ公園では年間を通していつでもハイキングやバイクトレイルなどを楽しむことができますが、冬場はトレイルが凍結していることがあるので注意が必要です。また、トレイルは苔が生い茂って大変滑りやすくなっているので、歩きやすい靴と動きやすい服装を心がけましょう。

◎まとめ

世界遺産「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」は、貴重な動植物で訪れる人々を魅了するだけでなく、自然の保護や生態系を研究するという学術的な観点からもとても大事な世界遺産です。観光の拠点となる「ポロニニ国立公園」では、一年を通じて様々なアクティビティを楽しむことができるので、観光ついでにチャレンジしてみるのも良いかもしれません。アクティビティを通じて自然の雄大さを存分に味わってみてくださいね。

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