名称:モヘンジョダロの考古遺跡/モヘンジョダロの遺跡群
(Archaeological Ruins at Mohenjo-daro)
住所:Moenjodaro, Larkana, Sindh, パキスタン
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/138/gallery/
歴史の教科書に登場するインダス川が流れる国、パキスタン。正式名称は「パキスタン・イスラム共和国」で、南アジアに位置します。このパキスタンで最も有名な場所「モヘンジョダロ」は、世界の古代三大文明の一つ、インダス文明の都市遺跡です。
紀元前2500年から紀元前1800年にかけて繁栄し、最大で4万人もの人々が暮らしていたと言われています。しかし突然、歴史から姿を消してしまいました。1980年に「モヘンジョダロの考古遺跡」という名称で世界遺産に登録された歴史的に貴重なモヘンジョダロ。この未だ謎が多く残るこのミステリアスな世界遺産を紹介しましょう。
【海外渡航危険情報:レベル2(不要不急の渡航中止)】
パキスタンは2024年9月現在、外務省から不要不急の渡航中止勧告のレベル2が出ています。最新情報を確認の上、絶対に無理な旅行はしないようにしてください。
▶ 外務省 パキスタンの海外渡航危険情報
目次
モヘンジョダロの考古遺跡|多くの謎に包まれるパキスタンの世界遺産
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「モヘンジョダロの考古遺跡」とは
インダス文明は紀元前5500年から紀元前2000年頃まで、インダス川周辺から発展した古代文明です。しかし、モヘンジョダロという巨大な都市がどのようにできたのか、そしてなぜ比較的短期間で突然歴史から姿を消してしまったのか、そして住んでいた人々はどこへ行ってしまったのか、など多くの謎がまだ解明されていません。
世界遺産に登録されているモヘンジョダロは、現地の言葉で「死の丘」という意味です。死者が眠る墳丘として、地元の人が恐れ決して近寄らない場所でした。
モヘンジョダロには東西二つの丘があり、東は市街地、西には城砦が広がっています。装飾品や子どものおもちゃ、青銅で出来た像などが発見され、人骨も見つかっています。
文字が刻まれた粘土板や印章なども発掘されましたが、これらも謎ばかり。実はインダス文字は未解明で、当時のこの地の呼び名すらわかっていないのです。
塩害や地下水などで発掘は難航しており、さらに地下深くまで埋まっている遺構がどこまで続いているのか見当もついていません。今後の解明が期待される世界遺産です。
「モヘンジョダロの考古遺跡」へのアクセス
モヘンジョダロのすぐ北側にモヘンジョダロ空港がありますが、定期便は就航していません。日本から行く場合は、パキスタン東部のラホール(アッラーマ・イクバール国際空港)、または、パキスタン南東部のカラチ(ジンナー国際空港)へ向かいます。どちらも日本からの直行便は無く、1~2回の乗り継ぎが必要です。
世界遺産モヘンジョダロの最寄り都市は、モヘンジョダロから30kmほど北に位置するラルカナ(Larkana)です。ラルカナからモヘンジョダロへは、タクシーかトゥクトゥクで移動します。
ラホール、カラチからラルカナへの移動方法は、以下を参考にしてください。
◆ラホール(アッラーマ・イクバール国際空港)→ラルカナ
ラホールからサッカルまでは、電車で約12時間。サッカルから、世界遺産モヘンジョダロの最寄り都市ラルカナまで、さらにバスや車で1時間半以上かかります。
おすすめは、ラホールからラルカナまで行けるバス「Niazi Express」。18時間ほどかかりますが、電車の半額以下とリーズナブルにアクセスできます。
◆カラチ(ジンナー国際空港)→ラルカナ
日本からパキスタン南東部のカラチ(ジンナー国際空港)へは、バンコクやドバイなどを経由して向かいます。
カラチからハイダラーバードまで鉄道、ハイデラバードからラルカナへはバスを利用してください。
「モヘンジョダロの考古遺跡」おすすめポイント① : 都市のつくり
世界遺産モヘンジョダロの遺跡は整然とした都市計画に基づいて作られていて、道路は碁盤の目のように交差しています。
井戸や水道、穀物倉、広大な沐浴場、完備された排水設備なども備わっていました。
道路にはレンガが幾何学的に細かく敷き詰めらていて、まるで舗装された道路のよう。今でもその様子を見ることができますよ。住宅地エリアには大小の住宅跡が並びます。それらの建物には高い技術で焼かれたレンガが使われていました。
世界遺産モヘンジョダロの遺跡は堅固な城壁がめぐらされていますが、その中には軍隊の跡や戦争に使われた遺跡などは見つからず、どのように都市を守っていたのか疑問が持たれています。さらに、世界遺産モヘンジョダロの遺跡から王宮や神殿跡が見つかっていないことから、人々は比較的平等な生活をしていたのではと考えられています。
「モヘンジョダロの考古遺跡」おすすめポイント② : 治水
世界遺産モヘンジョダロの遺跡群には、完備された排水設備がありました。ダストシュート、水洗トイレ、下水道、マンホールまで完備しているのです。フランスの宮殿にトイレがなかったことを考えると、紀元前に造られた遺跡に水洗トイレまであるのは驚きですね。
またモヘンジョダロの人々は清潔好きだったらしく、各家に風呂が設置されていたこともわかっています。共同浴場や大きな沐浴場も造られていました。沐浴場は祭儀の場として使われていたのではと考えられています。
周囲には集会に使われた広場や建造物、穀物の貯蔵倉庫などがあり、大きな沐浴場は政治の中心地でもあったのでは、と考えられています。
「モヘンジョダロの考古遺跡」おすすめポイント③ : 7層の遺跡?モヘンジョダロの謎
世界遺産モヘンジョダロの遺跡の下には、さらに遺跡が残っていると推測されています。上の層はその下の層の完全なコピー。最近の調査では、7層の遺跡から成っているのでは?と考えられています。
遺跡からは土器や人物や動物をかたどった土偶、交易の際に使ったと思われる印章、ビーズなどの精巧な装飾品などが見つかっていて、これらは他の都市と交流があったことを示しています。インダス川沿いには似たような遺跡が存在しており、互いに交易があったことも分かっているのですが、モヘンジョダロがどのような都市と交流があったのかはわかっていません。
◎パキスタンの世界遺産「モヘンジョダロの考古遺跡」まとめ
世界遺産モヘンジョダロの遺跡には多くの謎が残されています。世界最古の文明の可能性があると言われながらも、調査が進んでいないのが現状。突然消えてしまった理由についても隕石、核戦争、地球温暖化、大洪水など様々な憶測が飛び交う謎だらけの世界遺産です。
しかし残念なことに現在、モヘンジョダロがある周辺は外務省の海外安全情報でレベル2に分類されています。とくに外国人は誘拐やテロに巻き込まれる可能性が高く、渡航しないように勧告が出ています。決して無理はせず、治安が改善されて安全に、楽しい旅行ができる時を待ってお出かけくださいね。
【海外渡航危険情報】レベル2(不要不急の渡航中止)
外務省 パキスタン渡航情報URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_011.html#ad-image-0