名称:Birka and Hovgården
住所:Birka, 178 92 Ekeroe
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/555/
スウェーデンの首都ストックホルムの西に、広大なメーラレン湖があります。琵琶湖の2倍近い面積をもつこの湖には大小無数の島が浮かんでいますが、そのうちの2つの島にあるのが世界遺産「ビルカとホーヴゴーデン」です。それぞれビェルケ島とアデルスユー島にあり、中世ヨーロッパ北部に一時代を築いたヴァイキングの都市遺跡が残されています。
ヴァイキング船で海や川を自在に暴れまわったヴァイキングは、ヨーロッパの交流史を考えるうえで欠かすことができない存在。その遺跡からは、当時のヨーロッパ各地の様子をうかがうことができます。今回はスウェーデンからヨーロッパが見える世界遺産「ビルカとホーヴゴーデン」についてご紹介します。
目次
【スウェーデン世界遺産】ビルカとホーヴゴーデン|ヴァイキングの都市遺跡
ビルカとホーヴゴーデンとは?
ビルカはヴィェルケ島に、ホーヴゴーデンはアデルスユー島に残る世界遺産です。スウェーデンで3番目に大きなメーラン湖に隣接する世界遺産の両島は、お互いが支え合い、強い絆で結ばれていた地でした。
ビルカは、9世紀ごろに栄えた世界最大級のヴァイキング貿易センターで、ヴァイキングの街としては珍しく城壁が築かれているのも特徴。記録が乏しいため詳しい歴史は明らかではありませんが、10世紀後半にはビルカのヴァイキング都市は滅んでいたと考えられています。
一方、ビェルケ島のすぐ北に位置するホーヴゴーデンには、ヴァイキングが姿を消した後にスウェーデンの王宮が建設されました。この王宮は、ビルカから望めるほど近い位置にあります。交易で繁栄していたビルカの町の保護者となり、有力な諸侯を抑え王権を確立したのです。ビルカの経済力とホーヴゴーデンの王権が両輪となり、スウェーデンの基礎を作り上げたといえます。
14世紀にはストックホルムへと遷都され、都市としてのビルカとホーヴゴーデンの歴史は完全に幕を閉じました。中世のバイキングの文化や伝統、技術を知るための手がかりとなる地として1993年に世界遺産に登録されています。
ビルカとホーヴゴーデンへのアクセス
世界遺産のビルカとホーヴゴーデンへは、ストックホルムの市役所近くから船が出ています。所要時間は往復で約4時間半。利用する際は、席を予約することをおすすめします。船着き場からは、どちらの遺跡も歩いてすぐなので心配はいりません。ただし、帰りの船を逃すことのないようご注意ください。
日本からストックホルムまでの直行便は今のところないので、どこかで乗り継ぐ必要があります。
ビルカとホーヴゴーデンのおすすめポイント①:ビルカ
世界遺産のビルカは西暦700~900年ごろ、スカンジナビアから東欧、果てはオリエントとも交易関係にあった都市でした。スウェーデン最古の街ともいわれ、当時の墓や港、木造の家屋などが発掘されています。
ビルカの遺跡が最初に発見されたのは19世紀。世界各地のコインをはじめ、多くの遺物や組木などが出土しています。特筆すべきは城壁と墓地の存在。城壁の東側は2500基にも及ぶ墓があるとされています。
また、ヴァイキングに関する小さな博物館もあるので、遺跡と合わせて見学すると良いでしょう。リアルに再建された当時の街では、かつてヴァイキングたちがどのような生活をして、どれだけ繁栄していたのかを垣間見ることができます。
ビルカとホーヴゴーデンのおすすめポイント②:ホーヴゴーデン
世界遺産のホーヴゴーデンには、ヴァイキングだけでなくスウェーデンの王族ゆかりの墳墓や王宮跡などが見つかっています。一度は栄華を極め、時代の変化により急速に衰退した古代都市の姿を色濃く残しています。
ルーン文字が刻まれたルーンストーンは、人気のフォトスポット。アルスネーフース城やスウェーデン最古の集会所跡など、ヴァイキングとスウェーデンの端境期の遺跡が見られるのがホーヴゴーデンの大きな特徴。そのため、指呼の間にありながら、ビルカとはまた違った雰囲気が楽しめる世界遺産スポットです。
名称:Birka and Hovgården
住所:Birka, 178 92 Ekeroe
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/555/
◎【世界遺産】ビルカとホーヴゴーデンまとめ
ヴァイキングというと、角の生えた兜をかぶって盾と斧をもち、豊かに髭を蓄えた荒々しい男たちというイメージが強いと思います。たしかに彼らは暴力的で、ロングシップで川をどこまでも遡っては、ヨーロッパ大陸の人々を震え上がらせていました。
ですがそれは、裏付けの乏しいステレオタイプ。実際のヴァイキングは高度な社会を築き、地中海や黒海まで出かけて、精力的に交易に励んでいた民といわれています。そのヴァイキングの活動拠点となった世界遺産ビルカとホーヴゴーデンを訪ねれば、きっとヴァイキングに対しての見方が変わることでしょう。