【世界遺産】チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群とは?|ローマ文明の原点!

画像出典: louis-garden (CC BY-SA 3.0)

【世界遺産】チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群とは?|ローマ文明の原点!

イタリア中部ラツィオに位置する世界遺産「チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群」は別名エトルリア墓地遺跡群とも呼ばれ、かつてラツィオに暮らしたイタリアの先住民、エトルリア人が残した大型の墓地ネクロポリスが対象となっています。

世界遺産に選ばれたのは、チェルヴェーテリ近郊のバンディタッチャ遺跡と、タルクイーニア近郊のモンテロッツィ遺跡。同じラツィオにありながらそれぞれ全く異なった特徴を持つ墓地で、エトルリア人の暮らしぶりや信仰、儀式などがよく分かる遺跡として研究者たちの注目を集めています。そんな世界遺産チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群をご紹介しましょう。

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【世界遺産】チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群とは?|ローマ文明の原点!

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チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群とは

出典: Lev Levin / shutterstock

チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群は、2004年に登録されたイタリア・ラツィオのチェルヴェテリとタルクイーニア近郊に位置する世界遺産。1つ目の世界遺産チェルヴェーテリでは、まるで都市のように美しく区画化された古代の墓地を見ることができます。

一方タルクイーニアの古代の墓地は地下に造られ、侵入者に見つかりにくく荒らされにくい構造となっています。まだ見聞や技術が発展していなかった紀元前9~前1世紀頃にこれだけの規模の建造物を建設するにはどれだけの人や日数が必要だったのか、想像を絶します。

それだけラツィオに暮らすエトルリア人にとって、いかに人の死や墓地そして死後の世界が重要視されていたのかを感じることのできる世界遺産です。

チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群へのアクセス

チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群方面へは、どちらも地下鉄A線コルネリア駅からバスが出ています。
チェルヴェーテリへはコルネリア駅ターミナルからアウレリア方面へ。タルクイーニアへはコルネリア駅ターミナルからアウレリア方面のバスに乗り、チヴィタヴェッキアで乗換えが必要です。

チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群のおすすめポイント①:バンディタッチャ遺跡

出典: Lev Levin / shutterstock

ラツィオに存在する1つ目の世界遺産、バンディタッチャ遺跡と名付けられた墓地は、総面積400へクタール。墓の数はなんと1200にも及び、いくつもの墓が小さな丘を覆う構造になっているのが特徴です。その保存状態の良さから出土品も多く、これらはかつてのラツィオに暮らしたエトルリア人たちによって、紀元前9世紀のヴィッラノヴァ文化期から、紀元前3世紀の後期エトルリア時代にわたり造られた墓であることが分かっています。

数ある墓の中でも最も豪奢なものは出土した碑文から「マトゥナス」という人物のものであることが分かっており、マトゥナスの墓内部には西洋の壁画などに用いられるフレスコ画や、様々な生活用具の数々を描いた彫刻などが見られます。かつてラツィオで重要な役割を果たした人だったことが伺えます。どんな人物だったか墓を見ながら推理してみるのも楽しいですよ。観光客が見学できるのは遺跡全体のごく一部ですが、それでも十分にエトルリア時代の深い歴史を感じることができる世界遺産です。

チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群のおすすめポイント②:モンテロッツィ

出典: Waugsberg (CC BY-SA 3.0)

ラツィオに位置する2つ目の世界遺産、モンテロッツィのネクロポリスに点在する墓はおよそ6000。チェルヴェーテリの墓が地上に小丘のように建てられたのに対し、こちらはその姿を隠すように地下に造られています。

注目すべきは、6000ある墓のうち、200の墓の内部に飾られている鮮やかで美しい壁画。古いものであれば、その歴史は紀元前27世紀まで遡るんだとか。ラツィオに現存する遺跡群を世界遺産に登録するための後押しとなったといわれるほど、保存状態の良好な壁画です。

墓内を彩る壁画には、主にラツィオに暮らしたエトルリア人の暮らしぶりが描かれており、それは乗馬や狩りなど動物を示すものであったり、宴会場面や遊戯の様子などエトルリア人がメインであったりと、非常にユニークで興味深いものになっています。

こちらも一部は観光客にも公開もされていますので、ぜひバンディタッチャ遺跡と合わせて2つの世界遺産をまとめて訪れてみてくださいね。

チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群のおすすめポイント③:エトルリア人の歴史

出典: francesco de marco / shutterstock

かつてラツィオにいたエトルリア人とは、イタリア半島中部に栄えた都市国家エルトリアに暮らした先住民族のこと。ラツィオを中心に中部に生活し、周囲の影響をあまりうけることなく独自の言語エトルリア語を使用していました。現代ではエトルリアの文化が古代ローマ文明のルーツになったと考えられており、その歴史的価値を考えれば「チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群」が世界遺産に登録されるのも納得です。

彼らは非常に優れた建築技術を持っていました。ローマ人はエトルリアの高度な技術に驚き、模倣するのに苦労したといわれています。現在もローマ建築に多く見られる美しいアーチは、エトルリアの建築の特徴に由来するもの。エトルリアの文化は後に繁栄を極めたローマ文明によって継承されたといえますね。

ラツィオに位置する世界遺産チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群は、その深い歴史を肌で感じることのできる遺跡群です。

◎まとめ

イタリアの世界遺産、チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群をご紹介しました。エトルリア人の文化や文明を中心に繁栄したチェルヴェーテリ近郊のバンディタッチャ遺跡と、タルクイーニア近郊のモンテロッツィ遺跡。同じラツィオにありながら、それぞれ違った特徴を持ち、その歴史の深さを現代に伝えてくれています。

2つの遺跡はまだまだ発掘が続けられており、これからの研究でまた新たな事実が見つかこともありえます。ぜひ考古学者気分で世界遺産「チェルヴェーテリとタルクイーニアのエトルリア古代都市群」を訪ねてみてくださいね。

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