【世界遺産】水銀の遺産アルマデンとイドリヤ|中世に思いを馳せる鉱山遺産

【世界遺産】水銀の遺産アルマデンとイドリヤ|中世に思いを馳せる鉱山遺産

スペインとスロベニアの世界遺産「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」。水銀は古代ローマ帝国や中世ヨーロッパの時代から経済基盤を支える大きな産業のひとつで、アルマデン(スペイン)とイドリア(スロベニア)の水銀鉱山は、世界でもトップクラスの水銀生産地として知られていました。

水銀は銀の精錬に不可欠で、アルマデンとイドリヤの水銀鉱山は、鉱業の発展とヨーロッパ交易に多いなる貢献をしました。本記事では、そんなアルマデンとイドリアの世界遺産「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」の見どころをご紹介します。

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【世界遺産】水銀の遺産アルマデンとイドリヤ|中世に思いを馳せる鉱山遺産

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「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」とは?

世界遺産「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」

スペインにあるアルマデンとスロヴェニアのイドリアにある水銀鉱山は、多くの観光客が訪れる世界遺産です。古代ローマ帝国時代から続くヨーロッパの経済活動の中で、大きな支えのひとつだったのが水銀掘削です。鉱業や医療、そして金・銀の抽出に使われる水銀は特に大航海時代に突入してからは大量に消費されるようになりました。

この水銀が最も多く掘削された世界最大の鉱山がアルマデンの水銀鉱山で世界第2位がイドリア鉱山。アルマデンは古代ローマ時代から、イドリアは1490年代に水銀が発掘されてから、ヨーロッパ経済を支える多くの水銀を排出してきました。

世界遺産「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」

アルマデンの水銀鉱山が、およそ2000年間もの長きに渡って排出してきた水銀の量は、全世界の水銀の3分の1を占めるとも言われています。20世紀末には環境汚染が問題となり、徐々に規模を縮小、2004年には操業を停止することとなりました。

世界の水銀需要に何世紀にもわたって応え続けたこの水銀鉱山と鉱夫達の文化的な営みの足跡は、2012年にユネスコの世界遺産に登録されました。

アルマデンとイドリアへのアクセス

◆アルマデン(スペイン)へのアクセス

アルマデン(スペイン)

スペイン南西部のアルマデンは、首都マドリードから南西に約250kmの場所に位置します。シウダ・レアルの町からはバスで約2時間程で到着します。

◆イドリア(スロベニア)へのアクセス

イドリア(スロベニア)

イドリアはスロヴェニアの首都リュブリャナから、西におよそ90kmの場所に位置し列車でおよそ1時間強で到着します。

「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」おすすめ①:アルマデン旧市街

ブスタマンテ炉(アルマデン)

出典: Raimundo Pastor - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20758741による (CC BY-SA 3.0)

アルマデン旧市街は、古代ローマ帝国の時代から水銀を生産し続けたアルマデン鉱山から中世の街並みがしっかりと残されている市街地までを含む、およそ48ヘクタールの範囲が世界遺産として登録されています。

水銀を他の町に運ぶために使われた道や旧監督官の邸宅、炉の遺構などかつての水銀生産がどのように行なわれていたかを垣間見ることができます。また、水銀販売所としてつくられた施設は、現在は博物館として再利用され、アルマデンとイドリアの世界遺産を観光しにきた多くの人々が訪れます。

サン・ミゲル礼拝堂は1645年に建設され、歴史的価値のある建造物の造りを、間近で楽しむことができます。当時のままの建造物や街並みが多く遺されている世界遺産なので、アルマデンとイドリアのかつての繁栄や鉱夫たちの暮らしに思いを馳せながら、タイムスリップしたかのような旅を楽しめます。

「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」おすすめ②:イドリア旧市街

アントニウスの中心坑道入り口(イドリア)

出典: コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Žigaだと推定されます(著作権の主張に基づく) - コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、投稿者自身による著作物だと推定されます(著作権の主張に基づく), パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1352703による

水銀排出量世1位のアルマデンに続き、同時期に世界遺産に登録されたイドリアの旧市街地。アルマデンがローマ帝国時代から水銀生産を始めていたのに対し、イドリアでは1400年代から水銀生産が始まりました。

写真は、アントニウスの中心坑道入り口。イドリアには当時から使われていた鉱物取引所や市庁舎、鉱夫の宿泊施設、鉱山夫たちが当時楽しんでいた劇場など、当時の様子を垣間見ることができる歴史ある街並みが保存されており、見どころ満載です。

特に1700~1800年代に建てられた鉱物取引所と市庁舎は、スロヴェニアの中でも最古の建築物のひとつであり、バロック様式やゼツェシオン様式等の歴史的価値のある建物としても知られています。

「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」おすすめ③:サン・ラファエル王立鉱夫病院

サン・ラファエル王立鉱夫病院(アルマデン)

出典: Raimundo Pastor - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20373134による (CC BY-SA 3.0)

16世紀中盤以降、アルマデンとイドリアにはおよそ2000人前後の囚人達が水銀鉱夫として送られ強制労働を強いられていたと言われています。また、18世紀には水銀産業が盛んになったことから、季節労働者などの鉱夫としてこの地で労働していました。

こうして鉱夫の数が増加するに従い、病気や怪我をする人が増えたために造られたのが、サン・ラファエル王立鉱夫病院です。

現在はアルマデン鉱山博物館・古文書館として一般に開放されています。アルマデンへ訪れた際には、かつて労働者達を支えたレンガ造りの趣ある建物をぜひ見学してみてください。

◎世界遺産「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」まとめ

世界遺産「水銀の遺産アルマデンとイドリヤ」

スペインとスロヴェニアの世界遺産、アルマデンとイドリアの水銀鉱山についてご紹介しました。長い間、世界の水銀産業を支え続け数多くの鉱夫たちが暮らした街並みや建造物、劇場などの文化的な世界遺産も楽しむことができます。

そのまるで映画の中に入り込んだような、時の流れを忘れてしまう観光を楽しめるアルマデンとイドリアの世界遺産に、ぜひ足を運んでみてくださいね。

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