ルーマニアの文化を伝える世界遺産!マラムレシュ地方の木造教会群

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ルーマニアの文化を伝える世界遺産!マラムレシュ地方の木造教会群

ルーマニアの北西部トランシルヴァニア地方北部のマラムレシュ地方に残る木造聖堂群は、1999年に世界文化遺産に指定されました。木造聖堂群が建てられた中世時代は、農業を中心として村の人々は過ごしています。山々に囲まれた村は独自の文化を育み、ゆったりとした時間の流れの中でこの木造聖堂は建てられました。マラムレシュ地方の独特な木造建築文化は基礎にさえ石を使わない、完全木造聖堂。

世界遺産に指定されている木造聖堂は全部で8つありますが、共通する点として、高い塔があること、大きな屋根で聖堂が覆われていること、この聖堂の特徴である金属の釘や石の基盤などは一切使われていないことです。これらを観光のポイントとして、素晴らしい木造建築物を見る旅をご案内します。

目次

ルーマニアの文化を伝える世界遺産!マラムレシュ地方の木造教会群

マラムレシュ地方の木造教会群とは?

出典: Porojnicu Stelian/shutterstock

建物の基礎部分も木で造る、マラムレシュ地方独特の建築で建てられた教会です。外観は、四角い煙突のような高い屋根にとんがり帽子をかぶせた様になっており、内装は質素で木の柱や棟には太陽や網などの模様が彫刻されているのが特徴。どの木造教会にも教会の外側にはレースのような軒、魚の鱗のようなパターンにカットされた木の屋根瓦があります。教会内の絵画などは、聖書のワンシーンから村人の日常生活の風景が布に描かれ、飾られていますよ。

16世紀から18世紀にかけて建造されたものが殆どで、17世紀から南トランシルヴァニアと共に、オーストリア帝国の一部になった時代には、ルーマニア正教会の聖堂を石で建造することを禁じられたことがきっかけで木造教会建築が行われたと言われています。

マラムレシュ地方の木造教会群へのアクセス

ルーマニア北部の国境近く、バヤ・マーレの北東に約40km行ったところにあります。アクセスがあまりよくないため、レンタカーの利用かツアーでの観光をおすすめします。

マラムレシュ地方の木造教会群おすすめポイント3

シュルデシティ村

出典: Inspired By Maps/shutterstock

バヤマレ市から18kmほど離れた場所にある教会で、ヨーロッパにある木造教会の中ではもっとも標高の高い場所にあります。ヨーロッパの中で、天井が最も高い世界遺産の木造教会で知られており、教会が完成したのが1724年。教会の一番高いところは約72mで、54mの部分に塔があり、大天使マイケルとガブリエルに捧げられています。

建築素材は、オーク材を組み合わせて造られており、屋根は2重構造。正教会とカトリック教会の影響を受けた「ギリシア・カトリック」教会の流れを汲みます。内部には、ベンチやイコン、聖母マリアの銅像やイエスの銅像、それにマラムレシュ風の刺繍などの装飾がほどこされており、壁には聖書の場面が描かれていて圧巻。天井を見上げると『イエスの生涯の場面』、『天国への梯子』などのフレスコ画がよい状態で残っています。外見はそれほど華やかさはありませんが、質素で荘厳な雰囲気を醸し出していますよ。

ブデシティ村

出典: Barsan ATTILA/shutterstock

世界遺産のあるマラムレシュ地方のブデシティ村は、シゲット・マルマツィエイ市から約26km、バヤマレ市から約44kmの場所にあります。1643年完成した聖ニコラエ聖堂は、長さ18m、幅8mあり、木彫りの装飾が美しい聖堂。ガラスにはイコンが描かれ、そびえ立つ尖塔の下部にある大きな鐘は、現在でも毎週日曜日に鐘が鳴らされます。内装に17世紀に描かれた聖書のワンシーン、最後の審判などが壁に展示されており、イコンで有名。

当時ルーマニア正教会の建築に関しては、石で作ることは禁じられていたため、木彫技術を駆使して作られています。マラムレシュの特徴をもったルーマニアの伝統的創造物として、大切に保存されています。マラムレシュでは、1989年のルーマニア革命以降に聖堂建設が復興したことに伴い、伝統的様式による新たな聖堂の建設なども行われていますよ。

デセシティ村

出典: Pecold/shutterstock

世界遺産のあるマラムレシュ地方のデセシティ村は、シゲット・マルマツィエイ市から約25km、バヤマスプリエ市から約31kmの場所に位置しています。1770年に建築された聖パラスキヴァ教会の外観は、素材である木と木の組み立てが特徴。

内観は質素な造りで、装飾として置かれている絵画は、有名な「ラドゥ・ムンテァヌ」という画家が描いたもの。また、木彫りは華やかさはありませんが、厳粛な雰囲気です。

◎まとめ

マラムレシュ地方の木造教会群は、見た目ユニークな形の教会ばかりですが、歴史的な背景を考えると占領してきた異国への反発心からこの地方独特な文化が誕生しました。今もなお残る木造教会群は「マラムレシュ版ゴシック様式」とも呼ばれ、質素ですが丁寧な木彫り彫刻や絵画で神聖な場所を作り上げています。

この木造聖堂の建築技術は、首都ブカレストの野外博物館の農村博物館でも見ることができますが、ぜひ実物の木造聖堂を見に行ってみてはいかがでしょうか。

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