アメリカ・テキサス州初の世界遺産「サン・アントニオ伝道施設群」!

アメリカ・テキサス州初の世界遺産「サン・アントニオ伝道施設群」!

広大なアメリカ合衆国には数多くの世界遺産がありますが、そのなかの1つ「サン・アントニオ伝道施設群」は、2015年に登録されたテキサス州で最初の世界遺産です。テキサス州西部の都市サン・アントニオを流れるサン・アントニオ川に沿って建設された5つの伝道所(ミッション)が、スペイン人と先住民コアウィルテカ人の文化の融合した建築史の遺構として評価されました。サン・アントニオはテキサス第2の大都市であると同時に、年間約1000万人もの人々が訪れる観光都市でもあります。世界遺産サン・アントニオ伝道施設群はそんな都会の中心部にあり、観光のアクセスも良好!今回は、世界遺産サン・アントニオ伝道施設群の見どころについてたっぷりとご紹介します。

目次

アメリカ・テキサス州初の世界遺産「サン・アントニオ伝道施設群」!

サン・アントニオ伝道施設群とは?

16世紀以来、テキサスは長らくスペイン領でした。アメリカ新大陸の植民地化が進められるなかで、18世紀前半にサン・アントニオ川流域にカトリックの伝道所が建設され、地元先住民のキリスト教化が図られたのです。ただ単に布教するというだけでなく、周辺には農場や牧場、水利システムなども建設され、土地の開拓も同時に推進されました。

19世紀前半には、伝道の目的は果たしたとしていずれも伝道所としての活動は停止します。なかにはアラモ伝道所のように軍事施設として利用されたものもあり、1836年には「アラモ砦の戦い」と呼ばれるアメリカ史上有名な戦闘が行われました。

1983年、アラモ伝道所を除く4つの伝道所を中心として、「サン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園」が設立されます。世界遺産には、これら5つの伝道所のほか、歴史公園内にあるランチョ・デ・ラス・カブラスという牧場が含まれています。

サン・アントニオ伝道施設群へのアクセス

サン・アントニオ伝道施設群があるサン・アントニオは、テキサス州の州都であるオースティンに次ぐテキサス第二の都市となっています。なおサン・アントニオ伝道施設群へのアクセス方法としては、車での移動が不可欠となります。サン・アントニオ国際空港からは車で約30分、サン・アントニオの町の中心地からは車で約15分ほどの場所に位置しており、アメリカの主要都市であるダラスからは車で約4時間以上かかってしまいますので、サン・アントニオまでは飛行機で移動することをおすすめしますよ!

サン・アントニオ伝道施設群のおすすめポイント

1. アラモ伝道所

出典: Sean Pavone / PIXTA(ピクスタ)

世界遺産への登録名は正式名称のバレロ伝道所となっていますが、一般には圧倒的に「アラモ砦」の名で知られています。サン・アントニオ市街の中心部に建つこの伝道所は、1836年にテキサス独立戦争で最も有名な戦闘の1つ「アラモ砦の戦い」の舞台となりました。

当時テキサスは、スペインから独立したメキシコ合衆国の領土でした。テキサスには隣のアメリカから多くの入植者が移住していましたが、メキシコが彼らに抑圧的に対応したため、テキサス独立戦争が勃発します。緒戦では勝利を収めた反乱軍ですが、数で勝るメキシコ軍にサン・アントニオの拠点アラモ砦を囲まれてしまいます。1600人ほどといわれるメキシコ軍に対し、籠城するのはわずか200名前後。それでも13日間にわたって激しく抵抗したものの、最後は伝道所を枕に全滅してしまいました。

この戦いは、「リメンバー・パールハーバー」に先立つ「リメンバー・アラモ」として、独立派のスローガンとなります。テキサスが独立を果たし、アメリカに併合された後も、勇敢なアメリカ人の記憶として受け継がれ、サン・アントニオでも一番人気の観光スポットとなっているのです。

現在は博物館として利用されていて、礼拝堂も当時の状態で保存されています。ギフトショップが併設されているので、世界遺産訪問のお土産もここで購入できますよ。ちなみに、たいていの観光客はアラモ伝道所を戦跡として訪れていますが、世界遺産に登録された理由はあくまで文化的な価値であり、戦争の歴史については顧慮されていません。

2. コンセプシオン伝道所

コンセプシオン伝道所はサン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園に含まれる4つの世界遺産のうち1番北にあります。フランシスコ会修道士によって、1731年に建設されました。1835年には、この伝道所のすぐ近くでテキサス独立戦争における戦闘の1つコンセプシオンの戦いが行なわれました。このときはアラモ砦の戦いと逆に、独立派がメキシコ軍に勝利しています。

テキサス州内に残るスペイン人の伝道所のなかでもとくに良く残っていて、2本の鐘楼が印象的です。1988年と2010年に修復が行なわれ、聖堂のフレスコ画や付属する修道院の天井画などが美しくよみがえりました。

内部も見学できますが、今も安息日のミサが毎週開催されています。ですので観光の際は日曜の午前中は避けるようにしましょう。

3. エスパーダ伝道所

エスパーダ伝道所は、5つの世界遺産のなかで最も南にあります。もともとテキサス東部で1690年に設立されたミッションでしたが、1731年に現在のサン・アントニオ川のほとりに移されました。やや年代を感じさせる外観ですが、エスパーダ伝道所はアン・アントニオ周辺に後に建設されたいくつかの教会のデザインに影響を与えているといわれています。

伝道所の西側には、周辺の集落や農場に水を供給するために建設された長大な水路が残っています。この水路に沿って北に向かうと、エスパーダ水道橋という今も渡れる石橋があります。この橋は世界遺産ではありませんが、アメリカの国家歴史登録財に指定されています。

キリスト教伝道師たちが建設した7つの重力流溝とダムによる感慨水路は、伝道所と並ぶこの地域の貴重な歴史の遺産。エスパーダ水道橋とはいうものの、サン・アントニオ川対岸のこちらも世界遺産のサン・フアン・カピストラノ伝道所の方が近いので、水路を散策しながら2か所合わせて歩いて観光すると良いでしょう。

◎まとめ

テキサス州初の世界遺産「サン・アントニオ伝道施設群」についてご紹介いたしました。とくにアラモ砦の戦いの凄惨な舞台となったアラモ伝道所は、サン・アントニオを訪れる観光客のほとんどが目的とするスポットです。また、サン・アントニオ伝道所群国立歴史公園に散在する4つの伝道所を見学するには、ガイドツアーという方法もあります。もしくはミッショントレイルを利用して、ハイキングがてら4か所すべてを徒歩で周ることも可能です。4つのうち北端のコンセプシオン伝道所から南端のエスパーダ伝道所までは、2時間ほどで歩くことができますよ。

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