名称:Wartburg
住所:Auf der Wartburg 1, 99817 Eisenach
公式・関連サイトURL:https://goo.gl/7TA7LF
ドイツのほぼ中央、アイゼナハの街を見下ろす山の上に建つヴァルトブルク城。森と古城の国ドイツのなかでもとくに代表的なメルヘンチックな城として知られています。規模の大きさや重厚な外観、そして豪華絢爛な建物の内装はもちろん見どころですが、ヴァルトブルクを名城たらしめているのは、ここにまつわるいくつかの逸話です。
12世紀にヴァルトブルク城で行われていた歌合戦は、後にワーグナーの名作『タンホイザー』のモチーフに。ヴァイマル公国の宰相となった文豪ゲーテも、しばしばアイゼナハを訪れて城の補修を命じています。また、ルターがこの城の一室に匿われて聖書を翻訳したことでも有名!オペラや宗教改革にそこまで関心のない人でも、歴史の重みを感じることのできる世界遺産です。
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【世界遺産】ヴァルトブルク城とは?|タンホイザーの歌合戦とルターの聖書翻訳の舞台!
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ヴァルトブルク城とは?
1067年、テューリンゲン伯ルートヴィヒ(跳躍伯)が築いたとされています。「ヴァルトブルク(Wartburg)」とは、山を見上げたルートヴィヒが「Wart! Berg, du sollst mir eine Burg werden!(待て!山よ、汝我が城となるべし!)」と叫んだことによるといわれています。褐色の石壁と中世的な木組みの建物が特徴のヴァルトブルク城は、ドイツの文化史において重要な場所とされ、ドイツ人の心の故郷とまで呼ばれるほど愛されている観光スポットとなっています。
12世紀の城主テューリンゲン方伯ヘルマン1世はとくに文化を愛した人物で、彼のころに後のワーグナーの『タンホイザー』のモチーフとなる抒情詩人たちの歌合戦がしばしば行われました。また、ハンガリー王女エリザベートは4歳でテューリンゲン方伯ルートヴィヒ4世の許嫁としてバルトブルク城へとやってきました。彼女が20歳の時に夫が他界し、若くして未亡人に。貞節を守ったまま24歳の若さでなくなり、その4年後に聖女に列しています。
ヴァルトブルク城へのアクセス
日本からヴァルトブルク城へ直接向かう場合は、フランクフルト空港を経由するのが最短です。フランクフルト空港駅ないしフランクフルト中央駅からヴァルトブルク城の麓のアイゼナハまでは、特急ICEで2時間です。アイゼナハの東の大都市ライプツィヒからなら、ICEで1時間少々で到着します。
駅からヴァルトブルク城までは、バスを利用すれば約10分ほど。徒歩でもおよそ30分の道のりです。途中にはルターの家やバッハの家といった観光スポットがあり、アイゼナハの街並みも美しいので、行きか帰りのどちらかは歩くことをおすすめします。本館はガイドツアーでのみ見学可能なので、注意してくださいね。
ヴァルトブルク城のおすすめポイント①:ルターの部屋
教会が贖宥状(免罪符)の販売で利益を得ていることに抗議したマルティン・ルターは、1521年のヴォルムス帝国議会で法律による保護からの追放(帝国アハト刑)に処されました。ザクセン選帝侯フリードリヒ3世はルターをヴァルトブルク城に匿い、その1室で聖書の翻訳に取り掛かります。当時の聖書はラテン語で書かれていて、ある程度の教養のある人物でなければ読むことは困難でした。
そこでルターは、ドイツの一般市民にも読めるようにと、聖書のドイツ語訳に取り組みました。翻訳作業に没入したヴァルトブルク城内の部屋は「ゲーテの部屋」と呼ばれていて、観光スポットなっています。翻訳の途中、ルターは悪魔に襲われインク瓶を投げつけたという伝説があり、その際にできたとされるインクの染みが今でも残っているんですよ。
宗教改革のはじまりの場所ともいえる、ヴァルトブルク城内の名所の1つです。
ヴァルトブルク城のおすすめポイント②:エリザベートの間
ルードヴィヒ4世の妃として、4歳のときにハンガリーからヴァルトブルク城へやってきたエリザベート。1221年に14歳で結婚し、夫が亡くなるまでの6年間に3人の子をもうけました。夫の死後、エリザベートは城を出て修道女となり、その暮らしぶりは清貧そのものだったといわれています。エリザベート自身も24歳の若さで天に召されましたが、彼女にまつわる奇跡が数多く報告され、ついに1235年に聖者に列せられました。今ではテューリンゲンや未亡人などの守護聖人として信仰されています。
そのエリザベートの名を冠した部屋が、ヴァルトブルク城にあります。城を出てからはまずしくつましく生活していたといわれていますが、この部屋はそんなエリザベートのイメージとは真逆の、豪華絢爛な金色の部屋!とくにアーチ状の天井が美しく、また室内にはエリザベートの生涯を描いた絵も飾られています。
ヴァルトブルク城のおすすめポイント③:歌合戦の間
世界遺産ヴァルトブルク城を舞台とする作品のなかで、もっとも広く知られているのが、ワーグナーの『タンホイザー』でしょう。劇中に出てくる歌合戦は、12世紀ごろにヴァルトブルク城で実際に行われていた抒情詩人のコンペティションです。当時は敗れた詩人は命を取られることもあったとか。
その歌合戦が開催されていたとされる部屋も、ヴァルトブルク城内にあります。鮮やかな彩色の壁面が、当時の城の豪華さを感じさせます。また、部屋のなかには歌合戦のようすを描いた絵も展示されています。歌合戦のころからだいぶ時代が下ってつくられた「祝宴の間」も規模壮大!ヴァルトブルク城の文化の中心としての役割の大きさを感じさせまs。
◎まとめ
ドイツのアイゼナハにある世界遺産ヴァルトブルク城についてご紹介しました。高貴な身分でありながら貧しい人々を救っていた聖女エリザベートの生涯を描いた絵画や、マルティン・ルターが聖書のドイツ語訳を行っていた部屋など、ヴァルトブルク城には他の古城にはない重要な部屋がたくさんありますよ。
また歌劇『タンホイザー』の舞台となった歌合戦が開催されていた祝宴の大広間など、歴史的に重要な見どころがそろったヴァルトブルク城に、ぜひ足を運んでみてください。