全国に散らばる世界遺産!近代日本の礎を築いた明治の産業革命遺産

画像出典:柳井研一郎 / PIXTA(ピクスタ)

全国に散らばる世界遺産!近代日本の礎を築いた明治の産業革命遺産

日本と世界との交流が盛んになった幕末から明治の時代。他国の文化や技術を取り入れることによって日本の産業技術は短期間で飛躍的に発展し、産業革命を遂げました。このころ産業革命が起こった国は西洋以外では日本が初めてで、後には産業先進国の仲間入りを果たします。その遺跡や産業と経済を支えた建築物は今も多く残されています。それらは外国との交流や産業の発展の歴史を示すものとして、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の名称で世界遺産に登録されました。経済大国日本の礎を築いた世界遺産、一体どんなところなのでしょうか?

目次

全国に散らばる世界遺産!近代日本の礎を築いた明治の産業革命遺産

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」とは?

出典: K.Y

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、北は岩手県釜石市から南は鹿児島県鹿児島市まで、8つの地域に点在する合計23の資産で構成される世界遺産です。1850年代から1910年の間に急速な発展をとげた炭鉱、鉄鋼業、造船業に関する文化遺産から成り、九州の5つの県(福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島)と山口県・静岡県・岩手県に点在します。なかには現在もなお稼働を続けている施設もあるんですよ!

日本の産業革命は、外国との交流が多く明治維新のメインストリームとなった九州を中心にスタートしました。当時日本よりも進んでいた欧州諸国の技術や文明を取り入れて発展させ、新たな経済の根幹を形成しようと試みたのです。現代の日本に通じる「ものづくりの文化」の発展過程に欠かせない施設群として、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は2015年に世界遺産に登録されました。

明治日本の産業革命遺産へのアクセス

世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を構成する23の資産は日本各地に点在しており、訪れる構成資産によって最寄りの空港や駅が異なります。全てを1日で巡ることも不可能なので、目的のスポットごとにアクセス方法と一般観光客の見学ができるかどうかをチェックしましょう。

明治日本の産業革命遺産のおすすめポイント

◆長崎エリア

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世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産は日本各地に点在します。どの資産も一見の価値ありですが、とくにおすすめのエリアが8つの構成資産をもつ長崎です。

長崎エリアで最も有名な構成資産といえば、通称の「軍艦島」で知られる「端島炭坑」でしょう。一時期は世界一の人口密度を計上した炭鉱の島は、今では定住者のいない廃墟として観光スポットとなっています。ただし、2018年の台風18号の影響により現在は上陸不可。クルーズ船で周囲から眺める観光ツアーが催行されています。2019年2月には上陸ツアーが再開される予定なので待ち遠しいですね。

他にも見学可能なスポットとしては、日本で初めて蒸気機関を用いた洋式船台で、国の史跡に指定されている「小菅修船場跡」や、明治期の木型場としては国内最大の「 長崎造船所 旧木型場」などがありますよ。意外なところでは、長崎観光の定番スポット「グラバー邸」こと「旧グラバー住宅」も、こちらの世界遺産に登録されています。

また内部の見学はできませんが、1905年の竣工当時には東洋最大規模を誇り、現在も稼働中の「三菱長崎造船所 第三船渠」や、長崎造船所所長の邸宅として1904年に完成し、現在も現賓館として使用されている「長崎造船所 占勝閣」も日本の近代化の立派な生き証人。対岸や遠くから眺めるだけでも世界遺産観光の価値があるでしょう。

◆三池エリア

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「月が出た出た~月が出た~(ヨイヨイ) 三池炭坑の~上に出た~♬」の『炭坑節』でお馴染みの三池炭田。江戸時代から石炭の採掘が行われてきた日本を代表する炭鉱地帯です。

このエリアは1873年に操業を開始した「三池炭坑」と、産業開発に併せた港湾整備の一環として明治政府により計画された「三角西港」から成ります。「三池炭坑」はさらに宮原坑・万田坑・専用鉄道敷跡・三池港の4つのパートに別れ、竪坑が閉塞してしまっている宮原坑以外は見学可能です。とくに万田坑は保存状態がよく、坑道だけでなくレンガ造りの建物からも、当時の様子をしっかりうかがい知ることができます。

また、明治20年(1887)に開港した三角西港(旧三角港)は、宮城県の野蒜、福井県の三国とともに「明治の三大築港」に数えられている観光名所です。オランダ人技師ローウェンホルスト・ムルデルが設計した石積みの美しい埠頭が一番の見どころで、明治期の港湾としては日本で唯一残っているものなんですよ!場所は熊本県の宇土半島先端と三池からやや離れていますが、三池港が整備されるまでは石炭の重要な積出港として活躍していました。

◆萩エリア

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山口県萩市は江戸時代の長州藩の藩府。そのため江戸情緒漂う城下町が人気の観光地で、あまり近代産業遺産というイメージではないかもしれません。ですが、明治維新に続く産業革命の下地が磨かれた場所として、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の重要な構成エリアの1つとなっています。

産業遺産らしいスポットとしては、1856年に操業を開始した「萩反射炉」や軍艦建造に欠かせない鉄を鍛えるための「大板山たたら製鉄遺跡」、ロシア式およびオランダ式の技術を用いて大型の洋式軍艦を製造した「恵美須ヶ鼻造船所跡」があります。

また、萩の定番観光スポット「萩城下町」と「松下村塾」も、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産。国指定史跡でもある両者は、山陰観光の西のクライマックスといえる存在です。

明治日本の産業革命遺産を観光する際の注意点

世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を構成する23の資産は8つの県に点在しているため、すべてを訪問するには入念なプランを立てる必要があります。民間所有だったり稼働中のために見学できない構成資産や、施設の状態や機密保持などの観点から非公開となっている施設も少なくありません。事前に見学可能かチェックしてから訪れましょう。

◎まとめ

産業大国日本の基礎を築いた世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」をご紹介しました。外国の技術や文明を取り入れ、日本を豊かな国へと導いたこれらの施設群は、日本が先進国として成長する大きな一歩でした。日本近代化の歴史を知ることのできる23の遺産、ぜひ時間をかけて訪問したいですね。

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