ローマ皇帝を生んだセルビアの世界遺産!ガムジグラード=ロムリアーナ

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ローマ皇帝を生んだセルビアの世界遺産!ガムジグラード=ロムリアーナ

セルビア東部にある村ガムジグラードは、ローマ皇帝ガレリウスが生まれた場所であり、そして晩年を過ごした場所です。彼の宮殿ロムリアーナは、今も遺跡として残っています。

宮殿はモザイクや漆喰の壁画で飾られ、たいへん優美なものでした。現在は壁や柱、そしていくつかのモザイク画などが残るだけですが、その規模の大きさから、当時の栄華を十分に感じることができるでしょう。

ローマ時代の文化や生活がうかがえる重要な遺跡として、「ガレリウスの宮殿ガムジグラード=ロムリアーナ」の名称で2007年に世界遺産に登録されました。

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ローマ皇帝を生んだセルビアの世界遺産!ガムジグラード=ロムリアーナ

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ガレリウスの宮殿ガムジグラード=ロムリアーナとは

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ガムジグラードはセルビアの東部、ブルガリアとの国境近くのザイェチャル市にある村。その背後の丘には、古代ローマ皇帝ガレリウスが生まれ、死後埋葬されたロムリアーナの遺跡が残っています。

ガレリウスは3世紀末から4世紀初頭にかけて活躍した人物で、4分割した帝国領を正帝2人と副帝2人で統治する「四分統治」が行われていた時代の皇帝の1人でした。退位した後に母と余性を過ごすために作られたのが世界遺産のこの宮殿です。ロムリアーナとは、皇帝の母ロムラの名にちなんで付けられたものです。

ダキア生まれのガレリウス帝は、ローマ皇帝でありながら反ローマ色を隠さなかった異質な皇帝として知られています。ローマ帝国の唯一の支配者になろうと策略を施すのですが、失敗に終わり、故郷のダキアの地に戻ってロムリアーナで余生を過ごしました。

ローマ帝国の東西分裂後も東ローマ帝国にあって重要な地位を保持していました。しかし、6世紀にアヴァール人やスラブ人によって破壊され、廃墟となりました。

ガムジグラード=ロムリアーナへのアクセス

世界遺産ガムジグラード=ロムリアーナの遺跡は、セルビアの首都ベオグラードから南東約250kmの地方都市ザイェチャルの郊外にあります。ザイェチャルには鉄道も通っていますが、バスでの移動がおすすめです。ベオグラードからは3時間半ほどかかります。

ザイェチャルからガムジグラード=ロムリアーナまでは車でおよそ20分。タクシーを拾うか、地元のツアーに参加すると良いでしょう。市内の国立ザイェチャル博物館には、ガムジグラード=ロムリアーナで発掘された品々が展示されています。

ガムジグラード=ロムリアーナのおすすめポイント①:都市遺跡

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世界遺産ガムジグラード=ロムリアーナの遺跡には、西門とおよそ6万平方メートルの土地を囲む城壁が残っています。かつては東西に門があり、その門を結ぶ大通りが都市を南北に分けていました。北には宮殿と小さな寺院や祭壇、南には地下聖堂のある大きな神殿や浴場、宮殿付属建築などがありました。建物の壁や床は、人物や幾何学模様を描いたフレスコや漆喰、モザイクなどで美しく装飾されていたそうです。

ガムジグラードはローマ街道の交差点にあたっていた場所で、近隣で採掘される黄金を管理し、大いに栄えたといわれています。その栄華を物語るように、遺跡の周辺からは宝石や武器、貨幣など、古代ローマ時代の多くの遺物が発見されています。また、宮殿跡のそばにあるマグラの丘の上には、ガレリウス帝とその母ロムラの墓、および記念碑が残っています。

ガムジグラード=ロムリアーナのおすすめポイント②:ガレリウスの宮殿

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セルビアの世界遺産に登録されているロムリアーナは、ローマ属州だったダキアの行政府として機能していた城砦です。宮殿には大理石や斑岩が使用されていて、とても華やかなだったとか。ガレリウスの宮殿は、ローマの四分統治時代の典型的な宮殿建築様式のなかでは、もっとも保存状態が良いものといわれているんですよ。

宮殿内部には美しいモザイク画や漆喰、幾何学模様を描いたフレスコ画が施されていて、皇帝の華やかな暮らしぶりを知ることができます。とくにギリシャ神話に登場する美少年アドニスや、狩猟の場面を描いたモザイク画が有名です。宮殿の石柱の数々からも、その規模の大きさがうかがえるでしょう。

ガムジグラード=ロムリアーナのおすすめポイント③:ザイェチャル博物館

出典: Institute for the Study of the Ancient World

世界遺産ガムジグラード=ロムリアーナは遺構が残るのみとなっていますが、その宮殿を飾ったモザイクのタイルなどの出土品は、ザイェチャルの国立博物館にあります。ここには宮殿の模型や、ガレリウス帝とその母ロムリの2つの円形塚の模型、そして皇帝の肖像画などもあるので、ガムジグラード観光の前後に立ち寄ってみてください。

ザイェチャルの解放広場(Trg Oslobođenja)の脇にあり、駅やバスターミナルからも近いのでおすすめですよ。

◎まとめ

ガレリウスがガムジグラード=ロムリアーナで余生を過ごしたのは、307~311年のわずか4年間。ガムジグラードの宮殿での生活は、「喜びを味わい、いくらか公益のある仕事を行う」というものだったといわれています。

ガムジグラードは観光に便利な場所とはいえませんが、南にはブルガリアの首都ソフィアが、東にはルーマニアの首都ブカレストがあります。この地域を旅行する際には、世界遺産ガムジグラード=ロムリアーナの観光も検討してみてください。

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