平和への思い。平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―

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平和への思い。平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―

神社仏閣や城、戦争跡など、歴史ある建造物の多く残る日本。後世に歴史を伝えるだけでなく、観光スポットとして地域を支える役割も果たしています。2018年2月現在、日本国内には17の文化遺産と4つの自然遺産の合計20資産が登録されていて、国内だけでなく世界中の観光客を集めています。素晴らしい価値のある世界遺産は、ぜひ自分自身の目で見てみたいですよね!今回はそんな数ある世界遺産の中から、2011年に東北地方で初めて世界文化遺産に登録された「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」を紹介します。

目次

平和への思い。平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―

平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―とは?

出典: ume-y

岩手県西磐井郡平泉町。県の南西部に位置するこの町の中心地は古くから「平泉」という地名がつけられており、東(北上川)・南(磐井川)・北(衣川)の3方を川で囲まれ泉が豊かであったこと、または仏教的な平和希求の理念より名付けられたと伝えられてます。

11世紀末から12世紀にかけて平泉の地を拠点としたのが奥州藤原氏。初代藤原清衡から3代藤原秀衡の時代までに、現在の柳之御所遺跡となる平泉館を始め、様々な建物を建立して町を作りました。仏教に傾倒した清衡は「戦乱の犠牲者が浄土に還れるように」と中尊寺を建立、浄土思想は秀衡の時代にかけて色濃くなり、無量光院建設によって完全に浄土教が支持されるようになりました。

奥州藤原氏は4代泰衡の時代に滅びますが、平泉の建造物は保護され、現在もそのままの姿の建造物や跡地を見ることができます。そして、平泉の「東アジアにおける価値観の交流を示す浄土庭園」や「現在まで受け継がれる浄土思想」が評価され、中尊寺・毛越寺・観自在王院跡・無量光院跡・金鶏山の5つの資産で構成した「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」が2011年にユネスコ世界遺産に登録されました。

平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―へのアクセス

中尊寺や毛越寺などには駐車場が完備されており、自家用車で世界遺産に登録されたスポットを巡ることができます。東北自動車道平泉前沢インター・チェンジで降りて平泉駅方面を目指しましょう。約20分ほどのドライブで世界遺産に登録された5つの資産のある一帯へ到着です。公共交通機関を利用する場合は、平泉駅を目指します。JR東北新幹線の一ノ関駅からは電車で8分、バスで20分ほど、JR東北本線花巻駅からは47分、盛岡駅からは約1時間半です。平泉駅からは様々な手段で観光することができます。平泉観光協会のホームページには、バス・自転車・徒歩などで世界遺産登録地を巡るプランが紹介されていますので、ぜひご参考に。

平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―おすすめポイント

平和への思い

出典: Herry Lawford

11世紀末から12世紀にかけて、奥州藤原氏の拠点となった平泉の地。奥州藤原氏は初代清衡の時代から仏教を重んじ浄土思想が強く、戦いの中で命を落とした犠牲者たちが浄土に還ることを願う気持ちから中尊寺や無量光院などが建立されました。世界遺産登録の決め手ともなった、平和への思いを感じられる仏教寺院や浄土庭園、平泉を訪れる際には必ずチェックしましょう!

中尊寺は、元々は40にも及ぶ塔やお堂から構成されたと言われています。国宝である金色堂や金色堂覆堂、経蔵、大池伽藍跡をじっくり見学しましょう。中尊寺と同様、大規模なお寺であった毛越寺。残念ながら建物はありませんが、特別名勝に指定された浄土庭園が残されています。無量光院も建物はなく、磁石と一段低くなった池の跡が残されているだけです。しかし、建物はなくとも浄土庭園や寺院跡からは平和への願いを感じ取ることができます。世界遺産に相応しい平和を思う遺産は必見ですよ!

金鶏山

世界遺産を構成する資産のひとつ、金鶏山。実はこの金鶏山があったからこそ平泉は発展したとも言われています。木々に覆われた標高98.6メートルの信仰の山で、金鶏山の入り口には、藤原氏を祀る千手堂が静かに佇んでいます。鳥居を抜け、源義経妻子の墓などを通り、緑に囲まれた緩やかな坂道を登って行くと、神聖な空気に包まれた山頂に到着します。登山としての大変さはほとんどなく、自然と歴史を感じながら山歩きを楽しむことができます。「秀衡が一晩で作った人工の山」「雌雄一対の黄金の鶏が埋められている」などの伝説を持つ金鶏山。世界遺産の一部として、必ず訪れたいですね!

◎まとめ

世界遺産「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」を紹介しましたが、いかがでしたか。平和の願いの込められた歴史ある建造物とその遺跡などの残る平泉。自然と共にある空間からは、戦いのあった時代に平和を求める思いや死者の魂が浄土へ導かれることを願う気持ちが伝わってきます。現代人が忘れてはならない大切なことを示す世界遺産、平泉。自らの目で見つめ、建造物だけでなく込められた「思い」も大切にしていきたいですね!

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