名称：Prehistoric Sites and Decorated Caves of the Vezere Valley
住所：Vezere Valley, Montignac France
公式・関連サイトURL：https://whc.unesco.org/en/list/85
フランスを代表する世界遺産の1つ、ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群。フランス南西部モンティニャックを中心とする広大なエリアに点在する、2万年ほどの歴史をもつ遺跡群は、他の世界遺産にはない美しさや荘厳さを放っています。
中でも1940年にモンティニャックの子どもたちに偶然発見されたラスコー洞窟は、フランスだけに留まらず世界中の注目を集めるほど大人気です。
今回は、何万年経っても人々を惹きつけて止まない鮮やかな壁画の残るヴェゼール渓谷モンティニャックの世界遺産、ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群の魅力をたっぷりとお届けします。
目次
【世界遺産】ヴェゼール渓谷と装飾洞窟群とは？
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ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群とは？
1979年に世界遺産に登録された「ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群」は、フランス南西部モンティニャックに位置するヴェゼール渓谷を中心に広がる遺跡群の総称です。その地域は40キロにも及び、1万5000年から2万年ほど前に描かれたとされる壁画の残る洞窟が25ヶ所、集落跡が147ヶ所、それぞれが世界遺産に指定された地域のあちこちに点在しています。
ヴェゼールに広がる遺跡の中でも、鮮やかな壁画が美しいラスコー洞窟や、初めてクロマニョン人の骨が発見されたアブリ・ドゥ・クロ＝マニョン、ムスティリアン文化が繁栄したアブリ・デュ・ムスティエなどは特に貴重な文化的証拠として価値が認められ、世界遺産に選ばれています。
ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群へのアクセス
ヴェゼール渓谷の最寄り駅は、国鉄駅コンダ・ル・ラルダン（Condat-le-Lardin）です。そこからモンティニャックまでは約10キロの道のりですが、バスは運航されていないためタクシーを利用しましょう。
現地まで直行バスを利用したい場合はブリーブあるいはペリグーから、モンニャック行きのバスがそれぞれ1日1～2本運行されています。その場合は、必ず帰りのバスの時刻をチェックしてくださいね。
ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群のおすすめポイント①：ラスコー洞窟
1940年9月12日、ヴェゼール渓谷にある小さな村で遊んでいた子どもたちが偶然見つけたのが、のちにフランスを代表する世界遺産となるラスコー洞窟。元々ヴェゼール付近には岩山や洞窟が多かったこともあり、1940年まで誰にも発見されることはありませんでした。
洞窟は地下へと深く続き、いくつかに枝分かれした後、かの有名な壁画が見つかった大空間と呼ばれる部屋へ。世界遺産のメインとなったのが、洞窟の内部に見つかった無数の壁画です。山羊や羊、鹿、数百頭にもおよぶ馬などの動物をはじめ、人間そのものを描いた壁画やその手形、幾何学模様など500点以上が確認されました。
最近の研究によって、これらは後期旧石器時代、ヴェゼール渓谷に暮らしたクロマニョン人によって描かれたことが分かっています。子どもたちの発見は、世紀の大発見と呼ばれるほど話題となり、その歴史的価値から世界遺産に登録されることとなりました。
1948年から一般公開されていましたが、世界中から押し寄せる観光客の二酸化炭素で急速に劣化、1963年から非公開になりました。代わりに現在ではラスコー洞窟のレプリカである「ラスコーⅡ」と「ラスコーⅣ」で見学が可能になっています。
ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群のおすすめポイント②：クロマニョン人の描いた壁画
世界遺産ヴェゼール渓谷のアブリ・ドゥ・クロ＝マニョンから、クロマニョン人の人骨が発見され、かつてから議論されていたクロマニョン人の存在が確実なものとなったのが1868年のこと。世界遺産に指定された地域に点在する洞窟内には、約2万年前にヴェゼール渓谷に暮らしたであろうクロマニョン人に描かれた壁画が多数確認されています。
クロマニョン人の時代ともなると、それまでの石器時代とは異なり、知能も道具も発達し、かなり生活に余裕が出てきたと考えられていて、生活の中に「壁に描いて記録する」という作業が加わりました。最近の研究により、その目的は狩猟の成功祈願や、行事の記念碑の役割を担っていると考えられています。
紙やペンなどの道具はもちろん、文字も持たなかった新人類たちが絞った知恵が、現代では歴史的な価値を持ってヴェゼールの世界遺産に登録されることになるとは、クロマニョン人たちもビックリでしょうね！
ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群のおすすめポイント③：ルフィニャック洞窟
出典： Leslie Van Gelder (CC BY-SA 4.0)
ヴェゼール渓谷に広がる世界遺産の中でも、特に人気なのがルフィニャック洞窟。ヴェゼール渓谷に点在する遺跡群には様々な動物が描かれていることは有名ですが、その中にマンモスの姿はまず見ることがありません。そもそもマンモスが登場するのは、壁画に描かれた動物全体のたった8パーセント。そのほとんどが、このルフィニャック洞窟にあるんです。マンモスが絶滅したと言われる氷河期付近と時代が重なる、とっても興味深い洞窟としてヴェゼールの世界遺産の中でも人気のスポットです。
ルフィニャック洞窟の人気の秘密がもう1つ。なんと洞窟の中をトロッコで進むんです！過去へのトリップは約1時間。大型動物から鳥類まで様々な動物が描かれた壁画を見学し、その都度ガイドがライトで照らして説明をしてくれます。
トロッコに乗車するため他の洞窟群よりも少し待ち時間が長くなりがちですか、待つ価値アリ！のオススメ世界遺産です。
◎まとめ
いかがでしたか？今回は、世界中の世界遺産の中でも、とても興味深いヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群をご紹介しました。ここでは、クロマニョン人やラスコー洞窟など、いつか教科書で見た世界が目の前に広がっています。いつまでも鮮やかに蘇る美しい壁画の世界、ぜひ体験してみてください。
