名称:Garden Kingdom of Dessau-Wörlitz
住所:Alter Wall, 06786 Oranienbaum-Wörlitz
公式・関連サイトURL:http://www.gartenreich.com/
チェコに端を発し、ドイツのハンブルクへと流れる大河エルベ川。その中流のヴェルリッツという街に、世界遺産の庭園があります。ヨーロッパで初めての英国式庭園で、エルベ川などの自然の景観を最大限に生かし、広大な敷地内にある公園や建造物群などすべてがユネスコの世界文化遺産に登録されています。
本記事では、美しい庭園の多いドイツでもとくに評価の高い「デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国」の魅力に迫ります!
目次
【世界遺産】デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国とは?|自然と造形が織りなす美しい景観!
デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国とは?
「デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国」は、18世紀後半にアンハルト=デッサウ侯レオポルト3世・フリードリヒ・フランツによって造営されました。レオポルト3世は戦争を嫌い、領民の啓蒙やインフラ・制度の近代化に努めた開明的な君主として知られています。
大の英国びいきでもあったレオポルト3世は、イギリスのクレアモント庭園やスタウアヘッド、ストウ庭園などをモデルに、それまでのオランダ式庭園を拡張して広大な庭園王国を築き上げたのです。デザインの基盤には、農業を暮らしの基礎とするルソーの哲学も取り入れられていて、園内の有名な景観の1つ1つに自然との調和が感じられます。美しい英国式庭園と広大な敷地にある100以上の建造物群は、2000年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国には、水路をせき止めて造ったヴェルリッツ湖があります。湖に浮かぶ島へは、渡し船で行くことができますよ。またお天気の良い日には、園内の運河をゴンドラに乗って巡るのも最高!
もちろん遊歩道もきれいに整備されていて、美しい並木道や川沿いをのんびり散策するのもおすすめです。とにかく敷地が広大なので、観光の際は時間に余裕をもって行きましょう。
デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国へのアクセス
鉄道の場合は、デッサウ中央駅から特別列車に乗りヴェルリッツ駅で下車。駅からデッサウ・ヴェルリッツの庭園王国までは徒歩で約15分です。
バスの場合(季節限定運行)は、デッサウ中央駅前のバスターミナルから304番でヴェルリッツまで約40分です。
デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国のおすすめポイント
1. ヴェルリッツ宮殿
ヴェルリッツ湖南岸に建つ、優美な佇まいのヴェルリッツ宮殿。1769~1773年にかけて、建築家フリードリヒ・ヴィルヘルム・フォン・エルトマンスドルフの設計で建造されたドイツで初めての新古典様式の宮殿です。2017年には修復工事を終え、ギリシャの神殿を思わせる神秘的な美しさが再び観光客に公開されています。
また1774年には、レオポルト3世が妻のルイーゼのために、ヴェルリッツ宮殿の敷地内に小規模な英国式庭園に囲まれた邸宅「シュロス・ルイジウム(ルイーゼの城館)」を建設しました。ほぼ正方形のこぢんまりとした建物ですが、森と泉に囲まれて静かに眠っているかのような気品あるシャトーです。
2. ルソー島
ヴェルリッツ湖にはいくつかの小島がありますが、それらの中でもお最も美しい景観をもつといわれるのが、湖の西端に浮かぶルソー島です。啓蒙思想の熱心な支持者であったレオポルト3世が、ジャン・ジャック・ルソーの眠るエルムノンヴィルの島をモデルに造らせたといわれています。
ルソー島には上陸することはできないので、ゴンドラから眺めるのがおすすめです。もちろん湖の外周を歩きながら景色を楽しむこともできるので、時間の許す限りお好きな方で庭園王国随一の風景を味わってみてください。
3. インゼル・シュタイン
「岩の島」とも訳される「インゼル・シュタイン」は、ヴェルリッツ湖の南東端の小島です。ここは、レオポルト3世がナポリ旅行の思い出を頼りに造らせたところで、ベスビオス火山を模した岩山とその脇のハミルトン邸が印象的です。
ハミルトン邸は、レオポルト3世がナポリで知遇を得たイギリスの外交官にして古美術収集家のウィリアム・ハミルトンに捧げられたもの。こちらも小さな建物ですが、邸内はイタリア旅行の思い出にちなむ芸術的な装飾であふれています。
こちらもゴンドラに乗ってすぐ近くから眺められるほか、島に歩いて渡ることもできます。
◎まとめ
ドイツには数多くの城館や庭園の世界遺産がありますが、デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国も他に引けを取らない素晴らしい世界遺産です。
広大な敷地には水と緑と魅力あふれる建造物群が美しく調和し、レオポルト3世の理想とした世界観を見事に具現化しています。時を忘れ、優雅な時間をデッサウ・ヴェルリッツの庭園王国でぜひ過ごしてみてください。