パキスタン - ペシャワールについて

ペシャーワルは、パキスタンのカイバル・パクトゥンクワ州の人口約122万人の州都です。ペシャーワルはペルシャ語の高地の砦という意味です。50km西に向かった先にはカイバル峠があり、アフガニスタンとの国境も目の先です。古くからカイバル峠を越えた交易などが行われており、シルククロード情緒にあふれたバザールは有名です。
ペシャーワルの歴史を見ると、クシャーナ朝カニシカ王の時代にガンダーラ地方の中心的な位置を占めていました。127年頃即位したカニシカ王は仏教に傾倒し、お釈迦さまの遺骨を納めるストゥーパを建設しました。ガンダーラ平原に忽然と姿をあらわした高さ約120mのストゥーパの美しさは、人々を驚嘆させと伝えられています。
西遊記で有名な玄奘三蔵法師も634年にペシャーワルを訪れています。ただ、そのころにはペシャーワルの仏教寺院はかなり荒廃していたようです。その後ムスリムの支配を受けるようになり、パシュトゥーン人の支配下になりました。
ペシャーワルの気候は、夏は非常に高温で冬は温暖です。気温は6月が高く40℃を超えますが、夏場の最低気温は25℃以上です。1月がもっとも気温が低く、4℃～18℃くらいになります。
・バシャ・カーン国際空港（旧ペシャワール空港）
ペシャーワル中心部から車で10分のところに、バシャ・カーン国際空港があります。空港の名称はもとはペシャワール空港でしたがパシュトゥーン人独立運動リーダーのバシャ・カーンにちなんで改称されたものです。
この空港は、国内の主要都市とも結ばれています。
日本との直行便は運航していません。日本からは、まずドバイなどを経由して首都イスラマバードへ行き、国内線に乗り継ぐか車・バスを利用します。首都イスラマバードは車ですと約3時間半です。
・ガンダーラ博物館ペシュアワー
ガンダーラ博物館は、ビクトリア女王を記念して設立された2階建てのビクトリア様式の建物です。最大規模のガンダーラ美術のコレクションがあります。カニシカ王の銅製舎利容器など仏教遺跡から発掘した彫刻や貨幣・工芸品などの膨大な所蔵品があります。さらにヒンドゥー教、ムガール帝国など各時代の民族文化・衣装などを含めた幅広い展示があります。
・カイバル峠
カイバル峠は、パキスタンとアフガニスタンの間にある標高1070mの峠です。古くから南アジアとユーラシアを結ぶ文明の交差点であり、交通の要衝でもありました。このカイバル峠はシルクロードから南下しインドに向かう重要な交易路でもありました。このため、古くからこの地を巡る争いも数多くありました。
歴史的・地理的な要衝であるカイバル峠は、今日のアジアハイウェイの一部になっています。このカイバル峠から眺められるアレキサンダー大王軍や玄奘三蔵法師も越えたスレイマン山脈の山々をはじめとする遠望は、歴史の壮大なロマンを感じさせてくれます。
・ペシャワール旧市街 キッサ・カワニ・バザール
ペシャワールの旧市街地に入るカブーリ・ゲートの付近にキッサ・カワニ・バザールがあります。ジュエリーや金物から両替屋、さらに必需品の野菜市場など多種多様な店が並びます。有名なバザールで人も多くかなりの混雑になります。
・タフティ・バヒー
タフティ・バヒーは、高さ152mの小高い岩山に立てられた紀元前1世紀頃からのガンダーラ仏教の寺院遺跡です。寺院の建物は、塔院・僧院・会堂などに分かれています。これらの建物は保存状態も良く残されています。発掘されたガンダーラの仏像も見ることができます。寺院の上から見渡す景色も素晴らしいです。タフティ・バヒーは、近くにある同時代に栄えた要塞サフリ・バフロール遺跡とともにユネスコの世界遺産に登録されています。
・マハバット・ハーンモスク
ムガール帝国時代のペシャワール領主であったマハバット・ハーンにより、1630年に建てられたモスクです。現在の建物は1989年に改修されたもので、モスクの中にはイスラムの学校とされるマドラサの学習部屋が続いています。モスクの上に登るとモスクの全景を見ることができます。
モスクは旧市街地にあり、隣にはふるいキャラバン・サライ跡も見られます。モスクに入ることはできますが、入り口で靴を脱ぎましょう。女性はスカーフを着用しなければなりません。
ペシャワールのホテルは空港を中心に市の南側に多くあります。
パキスタンは国全体が、外務省のホームページで危険とされています。特にアフガニスタンとの国境に近いこのペシャワールは最高レベルの警戒が必要です。ひとり歩きは男女・昼夜関係なく避けましょう。