マレーシア - クチンについて

クチンはマレーシア国内のボルネオ島南部に位置するサラワク州の州都です。南シナ海に面する港町で、マレーシアにおけるボルネオ観光の拠点にもなっています。クチンは他民族都市で住民は華人、マレー人の他に20以上の先住民族によって構成されています。市街にはチャイナタウンやインドタウンなどがあり、様々な種類の本格料理や各地の文化を堪能することができます。
クチンのある地域は、南シナ海における貿易拠点として古くから発展を続けていました。かつては王国であったサラワクの首都であり、現在も市内には王国時代の歴史的建造物を見ることができます。コロニアル様式に影響を受けたマレー建築がその特徴で、東南アジアあらしいエキゾチックな街並みをつくりあげています。
クチンは19世紀半ばからイギリス人によって統治されてきた歴史があり、イギリスの政治力を後ろ盾にサラワク国の領土が広げられていきました。1941年から世界大戦終戦までは日本軍の占領を受けていましたが、終戦後はイギリスの植民地となりクチンはその中心となる経済圏として更なる開発が進みました。1963年にはマレーシアへ統合されましたが、現在でもクチン独自の力の強い自治権を有しています。
マレーシア語で猫を意味するクチンは猫の町として知られており、毎年8月には猫祭りが開催されます。猫の仮装をした住民たちが街の中心部を練り歩き、クチンの街は独特な盛り上がりに包まれます。市街中心部のロータリーには巨大な猫像が鎮座しており、またクチン市章には猫のデザインが施されています。
クチンは赤道近くに位置する熱帯気候地域です。年間を通して気候は極めて温暖で、季節を問わず半そで短パンというラフな格好で快適に過ごすことができます。年間を通し平均最高気温は30℃前後、平均最低気温は24℃程度です。モンスーンの時期には雨が降り続くことがありますが、その多くは一日のうち数分から1-2時間程度の短い時間で降りやみます。

クチンと言えばウォーターフロントに広がる市街の光景が有名ですが、周辺には様々な観光地があり多くの観光客を集めています。クチンの名所をいくつかご紹介します。
・メインバザール
市内中心部の旧市街にあるメインマーケットで、昔ながらの店舗がずらりと並んでいます。マーケット内にはローカルな軽食や生活雑貨、民芸品や土産物が多く揃っており、クチン観光では必ず訪れたい人気のショッピングスポットになっています。
・サラワク州博物館
1891年に建設されたサラワク州を代表する博物館です。サラワク州に生息する生物の標本や、先住民族であるイバン族の生活様式や文化を紹介する展示物が多数集まっています。イバン族が実際に使用していた武器や戦闘時の写真などの生々しい展示物もあり、クチンの歴史を知るには絶好の施設になっています。
・スクエアタワー
19世紀後半に要塞として建設されたもので、過去には刑務所として利用されていたこともある白壁が美しい建造物です。スクエアの名の通り四角形の建物で、周辺の建造物とは相異なる独特の雰囲気があります。現在はレストランになっており、サラワク川周辺の景色を眺めながら食事を頂くことができます。
・バコ国立公園
ボルネオの大自然を体験したい人に人気の国立公園です。国立公園としては規模は小さめですが、公園内ではボルネオ島に自生する動植物のほとんどを見ることができます。園内を歩いて回るトレッキングツアーが人気で、体力や時間に合わせて選ぶことができる様々なルートが用意されています。

クチン市街には多くの宿泊施設があり、安宿からリゾートホテルまで選ぶことができます。周辺にはレストランや商店などの滞在に必要な施設が揃っており、散策するのにも便利なエリアです。空港から市街までは10km程離れていますが、バスやタクシーでアクセスすることがでいます。タクシーはチケット制で、空港の専用カウンターでチケットを購入することができ、移動で大変な思いをすることはほとんどありません。
クチンの治安は良いとされており、街歩きをしていても危険を感じることは滅多にありません。ただし観光客が多く集まるエリアではひったくりなどの軽犯罪被害が報告されています。世界中どの都市とも同様に、人通り少ない箇所は避け、貴重品の管理は怠らないように注意することが大切です。あくまで海外であるということを忘れずに、無理せずゆっくりとクチン滞在を楽しみましょう。