アメリカ - セントクラウドについて

セントクラウドはアメリカのミネソタ州中部に位置する都市です。ミシシッピ湖畔でミネアポリス・セントポールから北西方面約100キロ地点にあります。セントクラウドはベントン群とシャバーン郡、スターンズ郡に広がった町であり、スターンズ郡の郡庁所在地です。人口は2010年の国勢調査で65,842人を記録しており、スターンズとベントン両郡からなる都市圏の人数で換算すると189,093人です。セントクラウドの名前の由来はフランスのパリ西部にあるサンクールに由来しています。町の歴史は古く、セントクラウドの町が現在ある地域には何千年にも渡って多くの先住民が住みついていました。時代が進みヨーロッパ人がこの地の先住民と取引を開始した頃にはオタワ族とオジブワ族、そして、ホーチャンク族（別名ウィネベーゴ族）が中心でしたが、その頃に至っても多彩な民族の暮らしと交流の土地であったことは間違いありません。やがて1849年にミネソタ準州が成立したのを機に、1851年から1852年の間にホーチャンク族との条約交渉が開始される事となり、1853年から本格的な入植が開始される事になりました。この時入植した中にフランス人のユグノー教徒であったナポレオン・ボナパルトに関心があったメイン州出身のジョン・ウィルソンによって、ナポレオンお気に入りの町の名の英語読みという事でセントクラウドの名前が町に付けられ、やがてそれが拡散されました。セントクラウドの町は現在、ノースダコタ州に当たるカナダとの国境の町のベンピナとセントポールを結ぶメティの中間ポイントであり、行き交う商人や牛車の群れが常に数百台以上です。その後、セントクラウドは1856年に正式に法人化され、アッパー、ミドル、ロウアーの3つの入植地から町が整備されていく事になり、今日もその遺構を町で見る事ができます。それぞれの入植地の創設の経緯には差異もあり、アッパータウンはケンタッキー州から奴隷を連れてきた交易商のシルバナス・ロウリー将軍、ミドルタウンは先住民への伝道の為にこの地にやって来たドイツ系のフランシス・ザビエル・ピアーツ神父、ロウアータウンはニューイングランド北部やアップステート・ニューヨークからやってきた移民達によって作られた事などもチェックしておきたいポイントです。その後、セントクラウドの町が属するミネソタ準州は奴隷が認められていない自由準州であったため、アッパータウンの創設者であるロウリー将軍とピッツバーグから移り住んだ奴隷廃止論者の新聞記者ジェーン・グレイ・スイスヘルムとの間に激しい対立が起き、他にも1857年のドレッド・スコット対サンフォード事件など奴隷を巡る問題が起きる事もありました。さらにセントクラウドが「御影石の町」と呼ばれる切欠となる御影石の採掘や1917年のパン自動車工場にまつわる幾つかの出来事を経て、現在に至っています。またセントクラウドの気候は大まかには涼しいけれど時折蒸し暑さが酷くなる夏と、乾燥して1度に雪が大量に降る冬場の2つの季節に分かれます。夏本番の7月の平均気温は約28度で、冬の真っただ中である1月の平均気温はマイナス11度です。最低気温はマイナス17度にまで至り、これとは逆に最高気温の方は6度を超える事がまずありません。したがって、寒さに弱い人が旅行や長期滞在を計画している場合にはある程度の防寒対策が必要でしょう。ケッペンの気象分類においては亜寒帯湿潤気候である事もチェックしておきたいポイントと言えます。また、ランドマークと言える場所はスターンズ歴史博物館です。こちらはセントクラウドのダウンタウンから西南西へ約3.5km、市西端の33rdアベニューと2ndストリート・サウスの南西角に立地しており、スターンズ郡とミネソタ州全体の歴史を学ぶ分には申し分ない内容が整っています。他にもセントメアリー大聖堂やセントクラウド州立大学からミシシッピ川を渡った対岸にはムンシンガー・ガーデンズとクレメンス・ガーデンズの植物園と２つであったり、「御影石の町」と呼ばれるに至った採石場跡を利用して作られた採石場公園もランドマークと呼ぶのに相応しいです。特に採石場公園はロッククライミングやスキューバダイビングが楽しめるので、アウトドア派には堪らないスポットと言えますし、1922年から9年の年月をかけて完成したセントメアリー大聖堂を含むカトリック関係の施設は観光にも良いスポットですので、旅行に行く時は必ずチェックしておく事をお勧めします。