アメリカ - シトカについて

シトカは、アメリカ合衆国アラスカ州のアレキサンダー諸島バラノフ島西岸に位置しており、アメリカで最大の行政面積を誇っている市郡です。地名の由来は、「Shee At'ik」という先住民族のトリンギット族の言葉から来ており「海のほとりの人々」という意味を持ちます。
豊富な自然に恵まれた地域で、登山・ハイキングコース・トレイルなど山を楽しめるエリアが多いだけでなくカヤックなどを楽しめるホワイト・サルファー温泉などがあるのが特徴です。
もともと地名の由来の言葉を使っていた先住民族のトリンギット族が定住していましたが、1799年にロシア領のアメリカ総督であるアレクサンドル・バラノフがこの街に到着して街をつくりました。しかし、トリンギット族の一派が多数のロシア人を虐殺しバラノフらは一時的にロシアに戻ります。その後、1904年に多くのロシア人らを戦艦ネバに乗せ再来航し、シトカの戦いが起きました。戦いに勝ったロシア人は「ノヴォ・アルハンゲリスク」という要塞をつくり定住しました。その後、1808年にはロシア領アメリカの首都となった歴史があります。もともとは、ラッコの毛皮の貿易で発展した街でしたが、徐々に廃れていき金鉱業と魚の缶詰業で発展を遂げるようになります。なお、1971年にシトカ市郡の地方自治として承認されました。
街までの交通手段は、シトカ・ロッキー・グティエレス空港が存在しており、ハリス航空・アラスカ航空が発着していますが、天候による遅れ・欠航が多いことでも知られています。
街の8月の平均気温は16.7度、1月は－1.1度であり冬の積雪量は990mmです。
ランドマークとしてはクルゾフ島南部に位置する休火山・エッジカンベ山が挙げられます。エッジカンベ山では登山が人気で、山頂まで約11kmの登山コースが完備されており多くの観光客が登山を楽しんでいます。なお、ガイドによる日帰り登山旅行も開催されており、登山の知識がほとんどない初心者でも気軽に参加できるのが特徴です。さらに、日本の富士山に山の形が似ていることから「シトカ富士」とも呼ばれています。エッジカンベ山の他にもたくさんの名所がありますので、いくつかご紹介します。
・バラノフ島横断遊歩道
バラノフ島横断遊歩道は、夏場は人気のハイキングコースとして親しまれています。ただし、クレバス・氷原・山岳地帯などを通り危険が多いので熟練者かガイドに同伴してもらい、天候を見極めることが重要です。
・ロシアン・ブロックハウス
1804年にシトカの戦いが起こりますが、1804年1867年にかけて街に滞在していたロシア人を守ためにつくられた要塞の一部です。3つの監視塔を備えており、昼間のみ部外者にも解放されていました。現在のロシアン・ブロックハウスは1962年に国立公園局によって復元されたものです。
・セント・ミカエル大聖堂（聖ミハイル大聖堂）
1848年に後にモスクワ府主教となったロシア正教会の主教インノケンティが建てた大聖堂です。1966年1月2日火事で焼け落ちましたが以前の外観に修復されました。ただし時計盤だけは黒から白へと変わっています。セント・ミカエル大聖堂を建てたインノケンティ主教は大変教育熱心で、自分の家の一部を校舎として寄付し、現在は「ロシア僧正の家」としてアメリカ合衆国国立歴史公園に指定されています。なお、セント・ミカエル大聖堂を始めとするシトカの22の建物・史跡は「アメリカ合衆国国定史跡」に指定されています。
・シェルダン・ジャクソン博物館
以前、シェルダン・ジャクソン大学が街にありましたが大学名でも使われているシェルダン・ジャクソン牧師が1888年に建てた博物館です。アラスカ最古の博物館として知られており、トリンギット族の文化に触れることのできる展示物が展示されてアラスカ先住民の文化を知ることができる貴重な博物館です。
シトカは自然豊かな街で登山・ハイキング・カヤックなどを楽しめる観光地です。また、街には先住民族のトリンギット族の文化を知ることができるシェルダン・ジャクソン博物館や、トリンギット族と戦ったロシア人を守ったロシアン・ブロックハウスなどが存在し、その歴史を肌で感じることができます。
街は島で構成されており飛行機もしくはフェリーが運行しています。フェリーは主にアラスカ・マリン・ハイウェイが運行しており、フェリー乗り場からダウンタウンへは11kmほどの距離ですのでアクセス良好です。