アメリカ - デッドホース/プルドーベイについて

デッドホース/プルドーベイは、アメリカ・アラスカ州ノースロップ自治区にある北米盛大の油田の町です。北へ約8kmほど移動すると見渡す限り北極海が続いており、北極圏の雄大な自然に囲まれています。コリーン湖の南にあるデッドホース空港が空の玄関口として活躍する他、パンアメリカンハイウェイの北の終点でもあります。1826年にイギリスの探検家ジョン・フランクリンによって、プルドーの名が与えられました。

デッドホース/プルドーベイの人口は約2000人、面積は東京23区を2つ合わせたよりも広い1445.3km2あります。本格的な開発が始まったのは2000年以降であり、開発初期の頃の人口はわずか5人ほどでした。現在では世界的な石油メジャーの関連施設が建ち並び、油田採掘に関わる労働者らが人口の多くを占める北米最大の油田開発・輸送の拠点として知られています。街には労働者らが生活するターマックキャンプやホテルのほか、原油を輸送するパイプラインが張り巡らされ、ぬかるんだ道を疾走するピックアップトラックを多くみかけるでしょう。街の中心はコリーン湖の東にあるプロドーベイ地区に集まっており、観光客向けのホテルもあります。

デッドホース/プルドーベイは、極地性気候に属しており、冬が長く寒さが厳しく、夏は短く寒い特徴を持つのです。7月の平均最高気温は12℃、平均最低気温が4℃となっており、夏真っ盛りの季節でも日本の冬のような寒さを感じます。また夏は地面の氷が溶け、水たまりに生息する蚊が多く飛び交い、日差しも強いので長袖が必要です。冬は厳しい寒さが続きます。10～5月まで平均最高気温が氷点下の日が続き、最も寒くなる12～2月になると平均最高気温がマイナス20℃以下になり、平均最低気温マイナス50℃前後まで下がるため、まさに極寒の世界といえるでしょう。年間降水量が77mm前後、年間降雪量も60cmほどとなっています。

デッドホース/プルドーベイのランドマークが、ザ・オーロラ・ホテルです。コリーン湖の東岸に佇む3階建てのモダンなホテルは、油田の労働者だけでなく、観光客も宿泊するホテルとして知られています。ホテル内からはコリーン湖を眺めることができるため、人気が高く、フィットネスジムやカフェなどを備えているため、ちょっとした休憩や運動もできます。

デッドホース空港は、多くの人が訪れる空の玄関口です。そびえる管制塔もなく、極めてシンプルな空港ですが、北隣にずらりと油田関連の事業者や施設が軒を連ねています。また北極圏に点在する街を結ぶ輸送サービスを提供する航空会社も拠点を設けており、開発業者や労働者に加えて研究者、観光客などに利用されています。空の玄関口から州都アンカレジまで約1時間45分、パンアメリカンハイウェイだと約1370kmもあるため、車で約3時間40分もかかるのです。

独特の町並みをしているのも特徴です。デッドホース/プルドーベイの建物のほとんどが永久凍土対策のため、高床式のような工法を採用しています。一般的なコンクリート基礎工法だと建築物自体の重量により、不等沈下が発生し建造物が傾きます。それを防ぐため、ほぼ全ての建築物では何百本ものパイル（杭）を地面に打ち込み、その上に建てられました。

コリーン湖は、町のシンボルと言っても良い湖です。周囲に遮るものは何もないため、とても見晴らしが良くなっています。北極圏特有のむき出しの荒々しい大地と大空に浮かぶ雲のコントラストが、厳しくも雄大な自然を感じさせてくれます。淡水湖であるため、冬になると凍結するでしょう。

ツアーガイドを利用すれば、極北を住処とするホッキョクギツネやホッキョクグマ、カリブーの群れなどの動物を見る機会があります。アラスカ州中部の都市フェアバンクスでは一泊二日のツアーガイドを提供しており、誰でも利用できます。利用するには24時間以内に予約を入れなければなりません。またツアーでは油田施設を通るため、複数のチェックポイントで審査されます。

北極海を一望したい方におすすめのが、アラスカ州最北端にあるバローへの旅です。デッドホース空港からバローまで直線距離で約300km、天候に影響されますが、セスナ機で日帰りできる距離にあり飛行中、セスナ機の窓からどこまでも広がる北極海を眺められます。またバローは、先住民が大多数を占めるイヌイットの街であり、極北の先住民文化を体験できます。