アメリカ - ピオリアについて

ピオリアはアメリカ合衆国のイリノイ州にある都市です。イリノイ川の畔に位置し、アメリカの中西部における平均的な都市の代表としての位置づけされています。そのため、この都市で成功することが全米で成功するかどうかの指標と見なされ、サービスや市場調査において、世論調査の場所に利用されています。ピオリアの歴史は1825年にフランス人の探検家ラサールとトンティが砦を建設したのが始まりとされています。ピオリアが歴史に記憶されるのは1854年に後の大統領であるエイブラハム・リンカーンが奴隷制を制限し、排除に向かうべきとする立場をこの地で鮮明にしたときからです。この宣言の後、アメリカは南北戦争を経て、奴隷制の排除へと向かうことになります。産業ではハムリンが小麦粉製粉所を建設したり、ノーランドが豚肉加工業を始めたことが記録されています。ピオリアではその後、製陶業や鋳物工場ができ、さらにブドウ糖工場や製氷業と家具工場などがつくられ、徐々に発展していきました。その後は蒸留酒製造業が興り、全米でトップクラスの生産量を誇るようになりました。さらに、農業機械製造所が建設され、1925年キャタピラー・トラクター社が土木機器の分野で注目されるようになったのです。

気候は夏が暑く冬は寒い大陸側気候で、降水量は一年を通して多くはありません。現在のピオリアは裁判所であるシビックセンターの他、キャタピラー社の世界本社があることでも知られています。3か所の主要病院と、抗生物質であるペニシリンの生産方式を開発した農業利用研究国立センターがあることから、医療が主要な産業となっているのです。中心市街地は企業ビルや市庁舎と会議場などがコンパクトにまとまっており、オフィスビルの他、倉庫から用途変更されたコンドミニアムや高層住宅などの居住施設も立地しています。レイクビュー博物館とホイール・オータイム博物館は文化の拠点となっており、プラネタリウムや地域博物館のある広場は市民に親しまれているのです。ピオリア・シンフォニー・オーケストラが音楽文化をけん引し、市民バンドや市民コーラス、バレー団も複数が設立されています。プロの劇団としては、ピオリア周辺に本拠地を持つピオリア・プレイアーズはイリノイ州では最古の地域社会劇団です。さらに、イリノイ州中部では唯一の屋外劇団のコーンストックが活動するなど、活発な文化活動が展開されています。グレンオーク公園に立地するピオリア動物園はアフリカン・サファリの展示も行われています。また、ピオリア・プレイハウスは対話型子供博物館として知られているのです。

スポーツではピオリアはアメリカン・ホッケー・リーグのピオリア・リバーマンの本拠地となっています。野球では、マイナーリーグのピオリア・チーフスが中心街に近いオブライエン・フィールドを本拠地として活動中です。ピオリア・シビックセンターは20世紀を代表する建築家故フィリップ・ジョンソンの手による作品です。1980年代初期に完成し、競技場や会議場・劇場などが入っています。いくつかの棟に分かれる建物は全天候でガラス張りの閉鎖型アーケードにより接続され、氏の代表作の一つと言われます。ルネッサンス・パークはキャタピラー社世界本社や農業利用研究国立センターなどが入る研究パークです。住宅地区やブラッドリー大学と医療地区で構成されていて、研究室やベンチャー企業のための会議と事務スペースが備えられています。

日本からの観光では、アメリカの平均的な都市の代表として見る視点が欠かせません。ニューヨークやサンフランシスコは代表的な都市ではありますが、平均的な都市ではありません。アメリカの平均的な都市の代表として位置づけられるピオリアへの旅行は、アメリカの一面を知る良い機会となります。近代的な摩天楼や、昼夜遊べるナイトライフと活発な演劇シーンが大自然の背景のもとで繰り広げられていることは、正にアメリカの平均と言えます。しかし、ピオリアは平均的な面だけでなく、ここにしかない見どころがあるのです。長いマウンテンバイクトレイルはこの街にしかないと思わせるもので、満足いくパフォーマンスができる環境を提供してくれます。ピオリアは日本からの直行便がないので、デトロイト乗継ぎのデルタ航空やシカゴ乗継ぎのアメリカン航空などが利用できます。宿泊施設も多く、子供から大人まで幅広い層で満足できる旅行が楽しめるでしょう。