アメリカ - ペンサコーラについて

ペンサコーラはアメリカ合衆国南東部にあるフロリダ州の西部に位置する都市です。南側でメキシコ湾につながるペンサコーラ湾に面し、気候は温暖です。夏は蒸し暑く、最高気温の平均は摂氏30度をしばしば越えますが、冬は最も寒い1月の平均気温が11度程度です。降水量は年間を通じて多めです。

ペンサコーラには多くの軍事関連施設があり、軍需産業が街の経済に大きく貢献しています。そのような特徴を持つペンサコーラのランドマーク的存在となっているのが、ペンサコーラ海軍航空基地です。この基地は、1914年にアメリカ合衆国海軍史上初めて設置された航空訓練基地として長い歴史を有し、この地で訓練を受けたたくさんの兵士が国内外の航空基地に巣立って行ったことから「海軍航空のゆりかご」という愛称で親しまれてきました。1969年に人類史上初めて月面に着陸し、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」という名言を残した宇宙飛行士の1人も、かつてこの基地で訓練を受けていました。また、世界的に有名なアメリカ海軍所属のアクロバット飛行隊の本拠地でもあります。ペンサコーラ海軍航空基地は観光スポットとしても人気が高く、特にアクロバット飛行のデモンストレーションが行われる航空ショーの開催日には多くの人でにぎわいます。また常設の観光施設も設けられており、それが国立海軍航空博物館です。この博物館は航空及び宇宙に関する展示を行っている博物館であり、航空基地の附属施設として1962年に開館しました。約3万平方メートルに及ぶ広大な展示スペースとその周辺に広がる敷地内には、海兵隊及び沿岸警備隊を含むアメリカ海軍の航空に関する歴史を伝える展示物が置かれています。クラシックな複葉機から最新鋭のジェット機、のちのアメリカ大統領が従軍時代に登場した戦闘機など、展示されている航空機、宇宙船は150以上にのぼります。大型の映像シアターやフライトシミュレーターなども設置されており、航空ファンはもちろん、家族連れでも楽しめる施設です。

ペンサコーラには他にも南北戦争の戦死者を埋葬するために1838年に設立されたバランカス国立墓地など、軍事と関わりのある観光名所が点在しています。その一方で、この街は風光明媚な南国リゾートとしての側面を持っています。バカンス気分を味わうのであれば、街の南側に広がる沿岸地域を観光するのがおすすめです。

ペンサコーラのリゾートスポットの中でも特に有名なものの1つが、ペンサコーラ・ビーチです。このビーチはメキシコ湾に浮かぶサンタ・ローザ島から西に向かって伸びる細長い砂嘴で、街の中心部からは橋が通じているので車でアクセスできます。白い砂と透明度の高いエメラルドグリーンの海が特徴で、視界をさえぎるもののないパノラマ的な絶景を楽しむことが可能です。特に日没時には美しい夕日が眺められるとして多くの人が訪れます。シュノーケリングやダイビング、セーリングなどのさまざまなマリン・アクティビティも体験できます。

ペンサコーラ・ビーチの西端には、フォートピケンズという史跡があります。五角形の形をした石造りのこの施設はかつての軍事要塞であり、1834年に建設されて以降、1947年までこの地の防衛拠点となっていました。軍事施設としての役割を終えた後は国立公園の一部に組み込まれ、歴史観光ツアーなどに利用されてきました。その一方で、周囲の豊かな自然を生かしたアウトドア・レジャーにも利用されており、野鳥を観察するバードウィークや星空観測プログラムなどが開かれています。

フォートピケンズのような歴史スポットは、ペンサコーラのダウンタウン地区にも点在しています。この地域はアメリカ合衆国本土で初めてスペイン人による入植地が建設されたエリアであり、いわばアメリカの歴史がそのまま凝縮されたような場所です。そのため、伝統的建築物が多く残されており、歴史散策に適したスポットがいくつもあります。中でもダウンタウンは街自体が国家歴史登録財に登録されているため、往時の面影をしのぶのにおすすめの地域となっています。1832年にまで起源をさかのぼることのできる白亜の教会であるオールド・クライスト・チャーチや、19世紀における庶民の暮らしを知ることのできる民家など、20以上の建築物が保存されているほか、歴史博物館もあります。