アメリカ - パデューカについて

パデューカはアメリカのケンタッキー州マクラケン郡の郡庁所在地で、ジャクソン買収によりケンタッキー州になった地域では最大の都市です。テネシー川とオハイオ川の合流地点に立地しており、2010年の国勢調査では25,024人の人口を記録しました。ケンタッキー州のマクラケン、バラードおよびリビングストンの各郡およびイリノイ州のマサク郡を含むパデューカ都市圏の拠点として見た場合には、都市圏全体の人口は2006年時点で98,127人に至ります。気候は温暖湿潤気候に属しており、年間平均気温は14度程で比較的寒い土地と言えます。豪雪地帯としても有名で、1978年の大ブリザードや2004年のクリスマス豪雪等、かなりの被害になった事も少なくありません。その事を考慮するならば、長期滞在予定で寒さに弱く体調を崩しやすい人等はしっかり対策をした上で出かける事をお勧めします。パデューカの歴史は古く、当初の名前は「ぺギン」と言って、インディアンと水路だらけの地形に惹かれて集まって来た白人開拓者が混在する社会として、正確な年代は不明ですが大体1815年頃にスタートしたと考えられています。この時期については伝説も残っており、それによれば恐らくチカソー族だったと思われるパデューク酋長が、オハイオ川やテネシー川を下ってきた旅人を歓迎したとされており、その歓待に喜んだ開拓者達はチカソー族の住んでいた場所の対岸に住む様になったとあるのです。伝説の真偽は定かではありませんが、少なくとも2つの社会は互いの文化の真新しさを楽しみつつ、調和の取れた良好な関係を長い間築いていたのは間違いない事実です。原始的ながら、しっかりとした経済圏も確立されていた事が当時の資料から伺い知る事も出来ます。この関係は、1827年にルイス・クラーク探検隊の指導者として有名なウィリアム・クラークがぺギンの土地の権利書を持ってやって来るまで続きました。クラークはミシシッピ川及びミズリー川周辺のインディアン問題監督官であり、彼はそこに定住していた開拓者達とインディアン達を権利書を持って立ち退かせます。その後、クラークは測量を開始し、新しい町の区画を設計し、町の設計の間ミシシッピへの移転に同意したパデューク酋長への経緯から、町を彼の名前にちなみパデューカと名付けました。町の新しい出発のテープカットの式典にクラークはパデューク酋長をミシシッピから町へ招待し、開拓者達も町の中に新しい区画を購入する権利を貰いましたが、酋長は元の土地へ戻る途中でマラリアで病死し、開拓者達の大半も元の土地へ戻る事はありませんでした。その後のパデューカは1830年に市制を敷き、蒸気船の為の港湾施設を提供する事等で発展していき、赤レンガや鉄道を作る工場が立ち並ぶ「川と鉄道の町」として名を馳せる事になります。この急速な発展期の後1856年に市制が認められる事になり、東はケンタッキー州、西はイリノイ州炭田に近かった事もあり、イリノイ・セントラル鉄道やはバーリントン・ノーザン鉄道やアッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道等の重要な鉄道もこの町を拠点にする様になります。ただし、町がこのまま順風満帆で行けたかといえばそうではありません。南北戦争の1861年9月6日はユリシーズ・グラント将軍の北軍部隊に町が占拠される事もありましたし、1862年の12月17日には昔からの住人だったユダヤ人家族の30世帯が一般命令第11号の条項により家を奪われそうになったのを、シーザー・カスケルがリンカーン大統領との会見で撤回させる等の事件が続きました。他にも1864年の3月25日に南軍のネイサン・ベッドフォード・フォレスト将軍による町の襲撃や、パデューカ史上最悪ともなった1937年の大洪水による被害等、多くの犠牲を払った時期もあります。そして、そんな混乱期を乗り越えて、1950年の濃縮ウラン工場の建設や1991年4月25日のキルト博物館の開館等を経てパデューカは新しい時代へと再び進み始めています。特にこのキルト博物館は、2008年5月にアメリカ合衆国国立キルト博物館として指定を受けるに至っており、毎春春の季節にはキルトショーを目当てに、世界中から多くの観光客を集めていてランドマークと呼ぶのに相応しい場所です。町へ訪れた場合には、1度は訪問してみる事をお勧めします。宿泊については、治安上問題がある様な地域も無いですし、観光の都合で選ぶという事で考えるので問題ありません。最低限の防犯意識さえあれば楽しい観光には十分です。ただ、キルトショーを目当てにする場合は、市から数マイル以内のホテルは前月頃から満室になるので、早い内に予約を取る事をお勧めします。