アメリカ - メンフィスについて

メンフィスはアメリカ南西部のテネシー州にある都市です。面積は約839平方キロメートルで、京都市よりもわずかに広い街です。ミシシッピ川やノース・ホーン湖、ロブコ湖があり、水面が市域の割合の約2パーセントを占めています。北緯は35度7分で、房総半島の南部や京都市の北部と同じです。気候は寒暖差が激しく、冬の1月には平均最低気温が氷点下になり、夏の6月から8月は平均最高気温が摂氏30度を超えます。はっきりとした乾季がないため、雨は年間を通して降り、春や初夏に比較的多くなる傾向がみられます。また冬は雪が降る日もあるため、大寒波が襲来する年は本格的な防寒具が必要です。人口は州都ナッシュビルと同程度のおよそ65万人で、テネシー州とミシシッピ州、アーカンソー州の一部で構成されるメンフィス大都市圏の人口は、市域の倍近い約120万人です。メンフィスの中心部には路面電車が走っていて、都市で生活する市民の足となっています。メンフィスのセントラル駅には、シカゴからニューオリンズまで縦断する旅客列車が停車します。市の南に位置するメンフィス国際空港はデルタ航空のハブであるため、多くの人でにぎわっているのが印象的です。メンフィスにあるランドマークの中でも、この街の特徴をよく表しているのがエルナンド・デ・ソト橋です。アーカンソー州とテネシー州を結ぶこの橋は、スペイン人探検家の名前を取って付けられました。橋桁より上にある鉄鋼製の構造に照明が取り付けてあり、夜間には点灯されます。エルナンド・デ・ソト橋がメンフィス、ミシシッピ川とともに発展してきたことを象徴しています。エルナンド・デ・ソト橋のすぐ北にあるピラミッド・アリーナもインパクトのあるランドマークです。高さ100メートルに迫るこの構造物は1991年に建設され、世界で10番目に高いピラミッド型構造物です。ピラミッド・アリーナが建てられたのは、メンフィスという名前がエジプトにある古代都市の遺跡メンフィスからきていることに由来します。完成してから2004年までは、コンサートやスポーツイベントなどに利用されていましたが、2015年から現在に至るまでは一風変わった釣具屋になっています。これは全米にチェーン展開している釣具店がピラミッド・アリーナを買収し、店舗としたためです。面白いのはその内部に100以上の客室があるホテルや、2つのレストランが入っていることです。さらに生きているワニが住む沼もあり、東京ドームとほぼ同サイズの敷地で他では見られない経営をしています。メンフィスの中心部にあるフェデックス・フォーラムは、NBAのメンフィス・グリズリーズの本拠地です。完成したのは2004年9月で、市が所有しています。建物の名前に貨物航空会社フェデックスの名前が入っている理由は、同社がネーミングライツを取得したからで、座席数は1万9千あり、バスケットボールの試合では約1万8千人を収容することが可能です。グリズリーズはもともとカナダのバンクーバーを拠点にしていましたが、2001年からメンフィスに移りました。日本人バスケットボール選手の渡邊雄太が2018年に契約したチームでもあります。メンフィスで観光をするのにおすすめのエリアはビール・ストリート付近で、ブルースやロックンロールを生んだメンフィスを象徴する通りです。夜になるとバーやクラブのネオンサインが輝き、音楽が通りに鳴り響きます。アメリカの新聞で、アメリカの最も象徴的なストリートのひとつに選ばれたこともあります。観光客とミュージシャンが織りなす興奮は、時間が経っても記憶に残るはずです。バーやクラブに入らなくても、ハンディー・パークに行けばストリートミュージシャンの演奏を楽しむことができます。サウス・フォーラムは、公民権運動博物館とブルースの殿堂がある地域です。公民権運動博物館はもともとモーテルで、1968年にキング牧師が殺害された場所です。博物館となったのは1991年で、奴隷と人種差別の歴史をテーマに展示されています。キング牧師はアイ・ハブ・ア・ドリームから始まる演説をした非暴力主義の指導者です。ブルースの殿堂は2015年にオープンした博物館です。殿堂入りしたミュージシャンたちの写真やレコードなどが展示されており、実際に演奏したギターが見物できたり、貴重な映像や音源を鑑賞したりできます。メンフィスにブルースの殿堂があるのは、ブルース財団がここで設立されたからです。