アメリカ - フォートローダーデールについて

フォートローダーデールは、アメリカ合衆国フロリダ州ブロワード郡にある郡庁所在地で、郡の中では最大の都市です。市内には運河が張り巡っていることから「アメリカのベニス」とも呼ばれています。
最初に、このエリアに住み始めたのはネイティブ・アメリカンのセミノール族でした。1838年の第二次セミノール戦争の最中に、ウィリアム・ローダーデール少佐が開拓者集団を引き入り、この地に踏み入りました。そして、ニューリバー砦を建設します。その後、1893年には、オハイオ州出身のフランク・ストラナハがニューリバー砦の近郊に家を建て、その家は郵便局・銀行・町役場などを兼ねていました。そして、1911年に正式に町となり、酪農や柑橘類の農業で街は発展していったのです。
さらに、1960年にはフォートローダーデールを舞台とした映画『ボーイハント』が公開され、その影響によって観光や保養都市としても成長していきました。しかし、映画の公開は良い影響だけではなく、学生による未成年飲酒などが増加し、一時期は治安が悪化しました。その対策として1980年代には、警察が取締りを強化し、同時にマリンスポーツなどの観光資源が多様化させていくことで治安も徐々に回復していきます。その努力の甲斐もあり、現在ではフロリダ州のマイアミやウェストパームビーチに比べると治安が良い地域として知られ、ビーチは家族連れにも人気が高いエリアとなりました。
ダウンタウンから6kmほど離れた場所に、フォートローダーデール・ハリウッド国際空港が位置しており、ニューヨーク・シカゴなどの大都市からの便も発着しているほか、西インド諸島のバハマ・ナッソーへの国際便もあります。さらに、ダウンタウンの西側にはアムトラックの駅があり、マイアミとニューヨークを結ぶ長距離列車の停車駅が存在しています。そのほか、マイアミ・タンパ・オーランドへのバス便があるほか、エバーグレーズ港ではバハマへのクルーズ観光客船が発着しています。このように、フォートローダーデールは大変、アクセスが良好なエリアだといえます。
なお、フォートローダーデールは日本の那覇市とほぼ同緯度に位置しており、熱帯雨林気候に属するため、夏は暑く雨が多い気候で、冬は温かいという特徴があります。
一方、フォートローダーデールのランドマークといえばダウンタウンにあるラス・オラス大通りです。ビジネス街でもあり、バー・ナイトクラブ・ブティック・アートギャラリー・ホテル・歴史的な建物・美術館・映画館などが徒歩圏内にあります。なお、ビーチやハリウッド国際空港・ポートエバーグレーズ港の近くに位置しているため、人気の飲食店も数多く立ち並んでいます。市内には、ラス・オラス大通り以外にも名所がありますので、いくつか名所をご紹介します。
・ヒューテイラーバーチ州立公園
ヒューテイラーバーチ州立公園は、自然歩道・キャンプ場・ピクニックエリア・カヌーが楽しめる公園で、公園の生態系に関する展示をしているテラマービジターセンターも存在します。
・ボンネットハウス
1895年にシカゴの弁護士であるヒューテイラーバーチが不動産を購入し、1919年に娘のヘレンと夫のアーティストで建築家のフレデリッククレイ・バートレットとの結婚のお祝いとして、この土地が贈られました。建物にはメインハウスの他、アートスタジオ・ゲストハウスなどが存在していますが、その全てはバートレットの設計によるものです。ヘレンは亡くなる前に不動産の価値3,500万円だと言われていたこの家を寄付しました。これは、州史上最大の個人寄付となります。なお、ボンネットハウスは「歴史的な家の博物館」ともいわれ、アメリカ合衆国国定歴史建造物にも登録されています。
・ウィラード・ヴァン・オースデル・キングハウス
1951年に有名な建築家ウィリアムF.ビゴニーによって設計された建物で、亜熱帯の環境でも涼しく過ごせるように設計されています。この建物に住んでいたのは昆虫学者として知られるウィラード・ヴァン・オースデル・キング博士で、家は博士の名前に因んで名付けられました。博士はアメリカ南東部の蚊の研究に一生を捧げ、1970年に亡くなるまでこの自宅に住んでいたことが分かっています。
フォートローダーデールは、過去に治安が悪くなりましたが、現在はフロリダ州の中でも治安の良いエリアとして知られています。ただし、むやみに夜に出歩かない・危険な区域には近付かないなど最低限の注意を払うことが大切です。