アメリカ - クレセントシティについて

クレセントシティはアメリカ、カリフォルニア州の海岸に位置する町。カリフォルニア州の北側、オレゴン州との州境に近い太平洋に面した海辺の町です。町の南側には海に向かって弧を描いた美しい海岸線の内湾があり、この湾に港が築かれたことから「クレセントシティ（三日月の町）」の名があります。西部開拓時代のパイオニアが「最果ての地」と呼んだ土地、クレセントシティに関する情報をお伝えします。19世紀の初めに発見されたこの地に、アメリカを開拓した人々が住むようになったのは1850年頃と言われています。アラスカから南下する海流に面する豊かな海から取れる魚介類が豊富で、サーモンやエビの他、特にダンジネスクラブが獲れることで有名です。クレセントシティは寒流に面しているため夏でも涼しく、真夏でも平均気温は15～20℃と過ごしやすい気候です。雨が冬季に集中するため過ごしやすい夏の観光地として人気の町で、美しい海岸線と温暖な気候で訪れる人の多いウェストコーストの景勝地になっています。クレセントシティの正面の海底地形は津波の影響を受けやすく、過去に何度か大きな被害を受けています。2011年の東日本大震災の際には、日本と反対側の太平洋東側で発生した津波の被害を受けて死者、行方不明者を出しています。クレセントシティの象徴である港に建つ灯台、バッテリーポイント・ライトハウスが町のランドマークです。湾に浮かぶ小さな岩の上に建てられたこの灯台には、干潮の時だけ歩いて渡ることができます。この灯台から沖へ9.6キロでたところにもう一つの灯台、聖ジョージ・リーフ・ライトハウスがあり、この二つの灯台がクレセントシティのシンボルになっています。クレセントシティはカリフォルニア州北東部沿岸に広がる巨大な森、レッドウッド国立公園の管理本部事務所の所在地になっています。100メートルを超える高さの巨木が林立するこの巨大は森は、肥沃な土地と高い降雨量によって育てられてきたもの。周囲の三つの州立公園と合算して560平方Kmに及ぶ広大な温帯雨林です。カリフォルニアが発見された1850年当時には8000平方Kmを越えていたといわれる森林でしたが、開拓によりその多くが消失し、現在はもとの森の1/10以下の面積が保護されています。固有の植生と自然の海岸線には、植物、鳥、哺乳類を含めて多数の絶滅危惧種が生息し、1980年に国連によって世界遺産に、1983年に国際バイオスフェア保護地域にそれぞれ登録されています。てっぺんが見えないほど背の高い木々がひしめく「レッドウッドの森」、垂直に切り立った深い谷の両壁を岩が見えないほどの緑が覆う「シダの谷」、海岸線へ続く「エンダーツ砂丘」。変化にとんだ植生の深い自然に包まれていると、人間の世界の小ささを思い知らせてくれます。クレセントシティの南にあるユーレカの町は、ビクトリア朝時代の街並みが再現されている歴史的地区。中でもカーソン・マンションはアメリカ最高のアン女王スタイルのビクトリア建築とされています。19世紀の商業都市の姿を維持しているこの町は歴史的町並み保全地域に指定され、芸術家が住む町として愛されています。クレセントシティに宿泊するなら、港の周辺にホテルをとることをお勧めします。町の中心でもあるクレセントハーバーの周辺には手ごろな価格のホテルが並んでいます。港の脇を通っている101号線はアメリカ西海岸を南北に縦断している湾岸道路。クレセントシティの主要幹線になっているこの道路沿いに宿泊施設が固まっています。クレセントハーバーの南に延びる砂浜は海水浴ができるクレセントビーチになっています。南西に海を臨むこのエリアのシーサイドホテルからは太平洋に沈む夕日を眺めることができます。レッドウッド国立公園内に宿泊したい場合は、クレセントシティのジェレディス・スミス州立公園内にキャビンが設けられています。こちらのキャビンは人気が高いので、利用を希望される方は数か月前には予約を入れましょう。なお、国立公園内にはキャンプ場も設置されています。アメリカ西海岸の海岸線に突き出た小さな港町、クレセントシティ。暗く青い海面と明るく輝くカリフォルニアの空、三日月型の湾を見渡すハーバーに設置されたマリーナには数百のクルーザーが係留されています。町の背後を取り囲むのは、高層ビルのような森林。美しい名前のこの町は北カリフォルニアという土地の魅力を凝縮した、気持ちの良い風が吹く町です。