アメリカ - コーディについて

イエローストーンは、アメリカ・モンタナ州南部に位置する郡です。群とは、基礎自治体である市町村とアメリカ合衆国を構成する国家である州との間に位置する地方行政区分です。約87980km2にわたる広大なエリアを要するイエローストーン国立公園が郡面積の多くを占めており、毎年多くの観光客が訪れます。イエローストーンの郡庁所在地ビリングス市は、モンタナ州の政治経済の中心都市です。人口約11万人と中規模な街には2本の州間高速道路の分岐点があり、交通の要衝であることから中心都市として発展しています。市の中央を流れるイエローストーン川によって南北に分けられており、北部に政治行政や商業施設が多く集まり、南部には区画整理された住宅が並ぶ市街地が形成されています。イエローストーン郡（ビリング市）は、1年の平均気温が約17度と温暖湿潤気候に属しますが、ロッキー山脈中部に位置することから年間の降水量の少ないステップ気候の特徴を強く感じさせます。特に夏季の気温差が激しく、昼夜で約20度変化することも珍しくありません。降雨量が少なく乾燥がちな土地柄でもあります。イエローストーン郡の中心都市ビリングのランドマークと言えるのが、モスマンションです。1903年、ウッドソン・モスと妻のマーサウルスラによって建てられた邸宅は、鮮やかな赤い屋根瓦とスペリオル湖から産出された赤い砂岩で造られた美しい外壁が知られています。ビリングスで最も歴史ある建築物の1つであり、市民にとってランドマークと言っても良い存在です。アメリカでマンションというと高級住宅を意味しますが、モスマンションはまさに高級住宅といえるでしょう。サンルームがついた地上3階建と地下室、さらに室内装飾には高品位な木製パネルや金糸張りの壁、大理石の暖炉に加えてモス家の子どもたちが使用した家具類も残されており、当時を思い出させてくれます。所有権はビリングス市とモンタナ州にあり国家史跡にも指定されています。イエローストン美術館も人気のある観光施設です。モンタナ州最大規模を誇る美術館は、1964年10月に郡刑務所を改装する形でオープンしました。訪れるとわかりますが、とても元刑務所とは思えない洗練された外観をしており、朱色の屋根が青空に映えます。コレクションのジャンルは幅広くなっており、歴史的な文化財や現代アート、イエローストーン郡で制作された芸術品を展示しています。特に若い新興アーティストの作品を重視しており、現代芸術の展示とアーティストの支援も有名です。この他にも文化芸術施設として多彩な演劇が楽しめるビリングスタジオシアターやアルバータベアシアター、ベンチャーシアターなど中規模の劇場があり、演劇活動も活発です。イエローストーン郡にあるモンタナ動物園も紹介しておきましょう。約28haの広さを持つ園内には、自然の生息地を模倣するように設計された敷地が広がります。ロッキー山脈中部に位置する気候を利用しているため、主に寒冷地に生息する動物を飼育しています。アジアエリアと北米エリアに分けられており、シベリアトラやレッサーパンダ、ハイイログマやオオカミ、カワウソ、ハクトウワシなどを自然に近い形で観察できます。この他にも中南米の爬虫類展示や馬、ヤギなどの家畜も飼育しています。イエローストーン国立公園とグレイシャー国立公園も有名です。イエローストーン国立公園は、年間400万人前後が訪れる米国内で最も人気があります。荒々しく雄大な渓谷が知られており、園内のそこかしこに間欠泉や温泉などが存在します。ハイキングのメッカであると同時に狼やグリズリー、アメリカバイソンなどが生息する手つかずの自然は世界屈指といえるでしょう。グレイシャー国立公園は森林や林、湖の美しさが知られています。実に130もの湖がある他、生息する動物や植物は1000種類を超えます。手つかずの自然本来の姿で残されており、世界遺産にも登録されています。ゴツゴツした岩山を背にするセントメリー湖と中央にある小さなワイルドグース島は、絵画のような美しさが魅力です。イエローストーン郡にあるリトルビッグホーン古戦場は、アメリカの歴史に深く関わる史跡です。1876年6月25日と26日、アメリカ先住民のラコタ北シャイアン族とアラパホ連合軍、対するアメリカ陸軍第7騎兵隊の戦いが勃発、後にリトルビッグホーンの戦いとして記録されました。ミズーリ軍管区司令官フィル・シェリダンが先住民の聖地への遠征を計画、儀式や会議のために集結していた先住民らに攻撃しました。米陸軍は主力であるカスター隊が全滅、先住民連合軍の勝利に終わりました。見渡す限り平原がひろがる古戦場跡に建立された記念碑が、双方の戦死者の霊を慰めると同時に戦場であったことを教えてくれます。