アメリカ - アニアックについて

アニアックはアラスカ州のべテル国勢調査エリア内にある都市です。村落として、アメリカ連邦政府が公式に認定しています。1940年のアメリカの国勢調査で、法人化されていない村として初めて登場し、1972年に正式にアラスカ州の一部として設立されました。
都市の面積は23平方キロですが、そのうち約25%は水面になっており、川が主な観光資源になっています。複数の川が流れ込んでいる地域で、アニアックという地名はアニアック川がカスコスウィム川に流れ込むことが由来となっています。アニアックの土地は高低差が少なく平たんであるため、川の流れは緩やかです。
アニアックでは1830年代にロシア人によって金が発見されましたが、自然環境が厳しくインフラの整備が進んでいなかったこともあり採掘はほとんど行われませんでした。1867年にアメリカがアラスカを買収すると、この地域での発掘が本格的になります。しかし、インフラが整っておらず交易所から離れていたこともあり、採掘事業はそれほど盛んにはなりませんでした。1907年にゴールドラッシュが起こると、アニアック近くに交易所が設立されました。さらに1910年にアニアックを流れるアニアック川流域で砂金が発見されました。それを機に水力発電所が設置され、金の採掘事業が盛んになります。さらにお店や郵便局ができるなど街としての機能を持つようになります。また、原住民の部族であるユピック族をアニアックに連れてきたことで集落ができ、労働力が提供されるようになります。1936年には領土学校が開設されました。さらに1939年には空港の建設が行われ、インフラの整備が進みます。冷戦中の1956年にはホワイトアリスリレーステーションができ、アニアックに仕事・資金・通信機能がもたらされるようになります。さらに1957年には長距離電話が設置されました。インフラの整備が進んだことにより1957年以降、10年間で人口が倍増しています。1972年には正式にアラスカ州の一部として村となりました。現在のアニアックはアメリカ連邦政府が公式に認定しているアラスカの村落となっています。
2000年の国勢調査では市内には572人、174世帯、133家族が住んでいることがわかっています。2010年の調査時には501人とやや減少しています。もともとユピック族が街づくりの中心になっていたこともあり、現在でも住民の70%近くがネイティブアメリカンです。
気候について、夏は海洋性気候で冬は大陸性気候です。年間平均降水量は480 mmと多くはありません。夏場に降ることが多く、冬にはあまり降りません。そのため降雪量は年間を通じて1.5 mとなっており、雪はあまり積もりません。7月が最も気温が高く最高気温平均は約18度、最低気温平均は約8度です。また冬の冷えこみは厳しく、冷え込みが一番厳しい12月は最高気温平均でもマイナス10度以下、最低気温平均は約マイナス20度となっています。
アニアックにはアニアック空港があります。複数の民間航空会社が定期便を運航しています。最も多い就航先はアラスカのテッドスティーブン国際空港となっており、この空港を経由してアニアックを訪問する観光客が多いようです。
大自然に囲まれた都市であり、最も大きなランドマークは空港です。目立った建設物はなく、街も大きくはありません。観光客の多くは大自然の環境を楽しむことを目的にアニアックを訪れます。のんびりと長期滞在を楽しむ人も多いようです。都市の25%を覆う川は流れが緩やかで、多くの観光客がこの川でのアクティビティーを楽しんでいます。カヌーや釣りが盛んです。特に釣りは大物のトラウトが釣れるため、観光客に人気があります。ボートに乗ってのルアーフィッシングやフライフィッシングなどを楽しめます。さらに大自然が多く残っているため、クマやシカなどの野生動物が出没することもあります。宿泊施設は多くなく、川沿いのロッジスタイルの宿泊施設があるのみです。この宿泊施設はストーニーリバー空港の近くに位置しています。ストーニーリバー空港へはアニアック空港からのフライトが運航されています。家族経営の小さなロッジであり、広々とした空間でのんびりとしながら川でのアクティビティーを楽しむ観光客が多いようです。川でとれる魚を使用した手料理が提供されており、宿泊客に好評を博しています。