ロシア - ソロヴェツキーについて

ソロヴェツキーはロシア連邦のアルハンゲリスク州にある地域で、六つの島で構成されている諸島です。人口は約8万人・地域面積が62平方kmで島全体が1992年にユネスコ世界遺産に登録されました。ロシア連邦の北西部・白海オネガ湾に浮かぶ島で、年間の平均気温は約18度・降水量は約52mmという気候の特色があります。ロシア連邦の首都モスクワと比べると平均気温が約6度下回り、冬季はマイナス30度まで気温が下がることから、オンドルという床暖房設備を備えている住居があるのがソロヴェツキーの特徴です。日照時間が夏季だと8時間・冬季だと5時間しかないため、少ない降水量と日照時間に左右されない漁業がソロヴェツキーの主要産業となっています。タラ・カニ・クジラ漁が盛んで、タラに至っては年間300万トンもの水揚げ高を誇るほどです。水揚げされた魚は国内で消費されるのではなく日本・中国へと輸出されており、ロシア連邦にとって外貨獲得の貴重な産業を担っています。1992年にソロヴェツキー全体が世界遺産に登録されたことで観光業にも力を入れており、島内には観光客向けのホテル建設が相次ぎました。1月から2月はオーロラ観測ツアーを開催し、気候特色を生かした新たな産業が誕生しています。
ソロヴェツキー周辺の主なランドマークは、「ソロヴェツキー修道院」「オネガ湾」「ソロフキ空港」「ドヴィンスク通り」「アレクサンドル教会」「グラグ収容所歴史資料館」の6カ所です。「ソロヴェツキー修道院」は1710年にロシア帝国によって築かれた施設で、現在も修道院として機能しています。1992年にユネスコ世界遺産に登録され、ソロヴェツキー諸島の歴史的建造物群の1つになりました。約110ヘクタールの広大な敷地を有し、一見すると城壁と見間違えるほどの大きな壁で囲まれている修道院です。全体が花崗岩で造られているため白亜の美しい外観を保っており、高さ25mの鐘楼では毎日正午になると鐘を鳴らして時刻を伝えてくれます。礼拝堂は一般公開されており、観光客だけでなく現地市民も大勢訪れて祈りを捧げています。「オネガ湾」はソロヴェツキー諸島が浮かぶ一帯で、シロナガスクジラが生息する海です。北極圏の海なので海水温が年間を通して10度以下しかなく、冬季は北極から流れてくる氷で海面が覆われます。ロシア本土のアルハンゲリスク港からソロヴェツキー港へと向かう船が就航していますが、冬季のみ砕氷船が使用されていて氷を砕きながら直進します。白夜現象とオーロラも観測できる、人気の観光スポットです。「ソロフキ空港」はソロヴェツキーの東部にある施設で、1日14往復の旅客機が離発着する民商共用空港となっています。モスクワ・アルハンゲリスクと結ばれた二つの航路があり、小型機のみが乗り入れることができる小規模な空港です。民間旅客機と航空貨物機とも同じ滑走路を利用して運用されています。1960年に開港しましたが、それ以前はロシア空軍の航空基地であったところです。「ドヴィンスク通り」は街の中心部を南北に走っている通りで、商業施設やホテル・病院・市庁舎などが建ち並ぶ繁華街となっています。パリの凱旋門に酷似している高さ28mの大きな石造りの門があり、1650年にロシア皇帝だったサンクトペテルが東欧遠征からの帰路で立ち寄った際に築かれたものです。港や空港へ向かう路線バス乗り場もあるため、観光で訪れた時は必ず立ち寄る地域です。「アレクサンドル教会」は1770年に建設された教会で、ロシア正教に属しています。ビクトリア様式の建造物で、ロシア連邦内では唯一の木造造りとなっているのが特徴です。礼拝堂内はリブ・ヴォルトー天井というアーチ型をしており、大理石で造られた聖母マリア像が安置されています。観光名所として一般公開されていて、自由に見学することが可能です。「グラグ収容所歴史資料館」はソロヴェツキーの東部の沿岸部にある施設で、第二次世界大戦後から1955年まで旧日本軍の捕虜を収容していました。現在は歴史資料館として施設全体が公開されており、模型を使って使用されていた当時の様子が再現されています。ソロヴェツキーのおすすめの観光地で、四季折々の花を敷地内で見ることができます。負の遺産ではあるものの、そのイメージを覆すように明るくて豊かな自然を体感できる場所です。街の中心部からバスを利用して10分で向かうことができます。