ロシア - ロストフナドヌーについて

ロストフナドヌーは、ロシアのロストフ州の州郡で、ドン川の下流河畔の丘上に開かれた街です。街の本来の名前は、「ロストフ」ですが、それに付加された「ナドヌ」はロシア語で「ドン川にある」という意味をもちます。ロシアには、ヤロスラヴリ州にロストフという町が存在しているため、その街と区別するために「ナドヌ」が名前に加えられました。
しかし、ドン川のロストフの都市の方が世界的にも有名であるため、一般的にロストフと呼ぶ場合は、ロストフナドヌーを指すことが多いです。なお、2018年FAFAワールドカップの開催都市のひとつとなり、FCロストフの本拠地である、ロストフ・アリーナが会場として使用されたことでも知られています。
かつてドン川河口の一帯は、古代より商業や文化で重要な役割を果たしており、ギリシアの植民都市タナイスが存在していました。古代の先住民族には、サルマット族・スキタイ人・サヴロマト族などがいす。1800年代に入ってからは、重工業などが発展していき、1846年には鋳物鋳造所(いものちゅうぞうじょ)が設立され、ポンプや蒸気ボイラーの生産も始まりました。産業の成長に伴って人口も急速に増加し、140ほどの生産事業が行われ、街の港は小麦・鉄鋼石・木材の輸出のためのロシア南部の最大の貿易港として機能します。なお、近年では、数多くの新興企業の本部が設立されており、中でもヘリコプターや農業機械の製造の中心地としても知られています。
交通機関としては、プラトフ国際空港があり、ロシアの各都市への定期便を提供しており、プラハ・イスタンブール・ウズベキスタンなどへの国際便も運航中です。そのほか、ロシア鉄道のロストフ・グラーヴヌィ駅があり鉄道でもアクセスできます。市内の交通手段としては、バス・トロリーバスのほか、ルートが決められている「マーシュルトカ」と呼ばれるタクシーも運行しています。
ロストフナドヌーの気候は、大陸性気候に属していますが、その気候の中でも穏やかな部類に入ります。1月の平均気温は-4.4度、7月の平均気温は25.9度で、夏は暑く日差しも強いのが特徴です。
一方、街のランドマークといえば、中心部でも目立つ建築物である「聖母マリアの生誕聖堂」です。この聖堂は、コンスタンティントーンによって設計され1860年に完成しました。ロシア・ビザンチン様式で建てられた教会で、大聖堂の中庭には、洗礼者聖ヨハネの小さな教会・聖ニコラスの洗礼堂・鐘楼（ベルタワー）などがあります。ベルタワーの高さは75mで、鐘楼の鳴り響く音は40km以上先でも聞こえたといわれています。そのほかにも、いくつか名所がありますので、ご紹介します。

・ロストフ州人形劇場
国内で最も古い劇場のひとつで、1935年に操り人形師たちによって建てられました。これまでに、「リトルマーメイド」「ピノキオ」などの有名な作品をはじめとする5,000以上の演劇が上演されています。
・ロストフ州立ミュージカル劇場
南ロシア最大の音楽劇場のひとつとして知られており、1999年9月にオープンしました。劇場には2つのステージと音楽センター・エンターテインメントセンターがあり、毎年約300以上の公演・コンサートフェスティバルなどが開催されています。バレエ・オペラ・ミュージカル・シンフォニーコンサートなどががこれまでに上演され、多くの人々を楽しませています。
・ロストフナドヌーのクロンシュタットの聖ヨハネ教会
大学生のために特別に建てられた、ロストフとノボルチェルカスク教区に存在する唯一の教会です。1992年に9月29日に、ロストフ州立交通大学の礼拝堂の開設がされました。その翌年・7月12日に、ロストフ大司教とノヴォチェルカスク・パンテレイモンは建設現場を奉献し、建設が始まり2010年に完成しています。2005年3月14日からは礼拝は教会の地下に建てられている聖使徒ペテロとパウロの礼拝堂で行われています。

ロストフナドヌーの治安は、さほど悪くはありません。しかし、ロシアではテロなど絡む事件が起こっており、この町も例外ではありません。また、日本と比べると窃盗や置き引きなども多く、観光客を騙して罰金などを騙し取る悪徳警官も存在しています。しかし、基本的には、夜に一人で出歩かない・危険なエリアには立ち入らないなどの注意をしていれば安全に過ごせる都市です。基本的なルールを守って、ロストフナドヌーでの観光を楽しみましょう。