ロシア - イルクーツクについて

イルクーツクはロシア連邦シベリア連邦管区に属するイルクーツク州の州都です。「シベリアのパリ」とも呼ばれる美しい街並みが広がっています。シベリアでも最も栄えた市で人口も多く、古くから重要な役割を持つ地域でした。現在でも交通の面では国際空港やシベリア鉄道の要衝の一つであるイルクーツク旅客駅があり、ロシア正教会の大主教座が置かれているなど宗教的にも特別な地域として市民から大切にされています。

かつては流刑地としても用いられていた土地で、1825年のデカブリストの乱や、1863年ポーランドでの一月蜂起に参加した貴族や民衆たちがこの地に送りこまれました。日本人の抑留地でもあったため、街中に建つ建造物や教会は囚人や日本人抑留者によって建設されたものも少なくありません。

冬は平均気温がマイナスを割ることが多く、夏には最高気温が30度を超えるなど寒暖差の激しい気候です。ランドマークは世界遺産に認定されている淡水湖「バイカル湖」です。イルクーツクにはバイカル湖と通じるアンガラ川が流れており、この川沿いを中心として街が栄えています。その他にもあるイルクーツクの名所をいくつかご紹介します。

・バイカル湖
バイカル湖はその透明さから「シベリアの真珠」とも呼ばれる、1996年に世界遺産にも登録された巨大な淡水湖です。淡水湖では世界で最も深く、最も古い湖であるため、生態系は非常に複雑で多様性を極めており、淡水に生息する唯一のアザラシであるバイカルアザラシをはじめとした固有種も多数生息しています。1～5月の間は湖の表面に分厚い氷が張り、凍っている期間は湖の上を自動車が通るため交通標識が設置されるなど風景ががらりと変化します。

バイカル湖には複数の島が浮かんでおり、その中でも最大のものはオリホン島です。ここには先住民族が住んでおり、観光で訪れることも可能です。また、バイカル湖周辺には博物館もあります。より一層バイカル湖の生態系や歴史についての知識を得るには最適の場所です。

・カザン大聖堂
カザン大聖堂はロシア正教会の聖堂です。まるで宮殿であるようにも思われるほど、非常に華やかで豪奢な外観が目をひく、人気の観光スポットの一つです。門を入るとささやかな花壇や木々の茂る庭があり、正面には赤茶けた外壁に青いドーム状の屋根が映える大聖堂が建っています。内部は外観以上に華美で煌びやかな装飾となっており、金色に輝く像、天井からつるされたシャンデリア、いたるところに描かれているイコンは見ごたえがあり必見です。

・キーロフ広場
キーロフ広場はとても大きな広場です。よく整備されており、中央には噴水があります。周辺には学校や教会があり、市民の憩いの場所として親しまれています。イルクーツクの中心部にあるため、観光の拠点としても利用でき少し休憩するにもおすすめのスポットです。

・スパスカヤ教会
東シベリアでも最古という歴史ある教会です。18世紀に建てられたもので、真っ白な外壁に深い緑色を帯びた屋根、金の細工と、シンプルながらも美しい外観をしています。外壁の一部分にはイコンが描かれておりこれも必見です。内部もまた美しく整った作りとなっています。また、教会の前の空間には「永遠の火」と呼ばれる小さな炎が灯されており、第二次世界大戦での戦没者慰霊碑も置かれ、花々がたむけられています。スパスカヤ教会の近くにはキーロフ広場もあり、合わせて訪れることをおすすめします。

・ズナメンスキー修道院
イルクーツクでも古く歴史のある教会として有名な、ロシア正教会の女子修道院です。元は木造建築であったものが18世紀に改修され石造りとなりました。落ち着いたオフホワイトの外壁に金色のドーム状屋根と十字架のモニュメントが輝いており、清潔で高貴な印象を与えます。撮影はできませんが内部の美しいイコンも必見です。ここにはその他にもロシア革命に反対したコルチャーク像、デカブリストの乱で流刑に処された人々の墓、整備された庭があり、人気の観光スポットの一つとなっています。

ホテルを選ぶならイルクーツク国際空港から旅客駅の間までが観光の拠点としても便利でおすすめです。特にアンガラ川を挟んだ東側にあたる地域は中心部として栄えており、良いホテルが選び易いでしょう。治安は比較的良い方ですが局地的には悪い場所もあるため、観光の際には不用意な行動を取らない、一人で夜間に出歩かないなどの最低限の注意をして楽しみましょう。