ポルトガル - ファロについて

ファロは、ポルトガル南部のアルガルヴェ地方最南端にあるファーロ県の都市です。ファーロ県の県都で、アルガルヴェ地方最大の都市であり、南ポルトガルにおても最大の都市のひとつです。
紀元前4世紀に西地中海のフェニキア人が入植し、当時この地域はオソノーバとして知られていました。ポルトガル南部の最も重要な都市の中心地であり、農産物、魚、鉱物の商業港となっていました。2世紀から8世紀の間はローマ人、次にビザンチン帝国、その後西ゴート族の支配下に置かれます。713年にムーア人に征服されてから、オソノーバはイベリア半島南西端における最重要の町としての地位を保持しました。9世紀には短い期間イスラムの太守国の首都となり、町が防御用の壁で囲まれました。この時代にオソノーバの代わりにサンタ・マリーアという名が使われ始めたあと、ハルーンいう名を経て現在のファロの名となりました。
1577年から1756年までは、アルガルヴェ地方の中心地はラゴスでした。しかし、1755年のリスボンの地震によりラゴスの町の大半が破壊され、ファロを含むアルガルヴェ地方の多くの都市が影響を受けることとなります。地震によりアルガルヴェ地方の数カ所に被害がおよび、海抜の低い場所にあった沿岸の要塞群が破壊され、津波により家々が倒壊しました。フォルモサ潟の砂浜で守られていたファロを除除いて、アルガルヴェ沿岸の町や村のほぼ全てが大きな被害を受けました。首都ラゴスが荒廃したため、翌年の1756年にファロがアルガルヴェ地方の行政中心地となり、現在にいたっています。
市内から4kmほど西にファロ空港があり、特に夏のバカンスシーズンにはヨーロッパ各国から多くのLCC（格安航空会社）を含む数多くのフライトがあります。LCCの価格競争が激しい路線のひとつで、ヨーロッパ主要都市から安く行けるため、国際線LCCを利用した観光客が年々増加しています。空港から市内まではバスが運行されており、市内まで簡単にアクセスできるようになっています。ファロ駅からはローカルの鉄道だけでなく、リスボン、ポルトへポルトガル鉄道の長距離高速列車であるアルファ・ペンドゥラールやインターシティが運行されています。ポルトガルとスペインの国境の町であるヴィラ・レアル・デ・サント・アントニオへの国際列車の運行もあります。駅南に位置するバスステーションからは、ローカルバスやアルガルヴェ各地へのバスのほか、リスボン行きのバスが1時間に1本以上運行されています。スペインのセビリアなどと結ぶ国際長距離バスの運行もあり、国内外から多くの観光客が訪れます。
地中海性気候に区分され、夏はやや暑くなります。地中海からの冷たいカナリア海流により暑さは緩和されますが、夏の日中平均気温は30度前後で暑くなります。8月または9月の平均海面温度は25度ほどまで上昇します。夏は雨が降ることはほとんどありませんが、冬は雨が多くなります。冬の天気は概して温暖で過ごしやすく、年間平均気温は18度前後となっています。
バカンス客に人気のビーチでもとても有名ですが、ファロは歴史ある街並みが魅力でもあります。数多くある市内の観光スポットの中でも特に人気の場所をいくつかご紹介します。
・アルコ・ダ・ヴィラ（Arco da Vila）
既存の門を取り壊し、1812年に建築家フランシスコ・シャビエル・ファブリの設計により、旧市街を囲む城壁につくられたネオクラシカル様式の門です。その歴史はイスラム統治時代にさかのぼります。
・ファロ大聖堂
13世紀に建てられたカトリック教会の大聖堂です。1596年にイングランドによる攻撃で破壊され、その後の地震にでも大きな被害を受けたため、18世紀に改築されています。古代ローマ時代にはフォルムと呼ばれる公共広場が建てられており、その後イスラーム支配下ではモスクが建てられていた歴史ある場所です。
ご紹介した観光スポットを含め、市内の観光地はおもに旧市街（Cidade Velha）に集まっており、ホテルも多くあります。特に市内観光をメインにする場合は旧市街付近の宿泊がおすすめです。市内観光だけでなく、ビーチをメインに楽しみたい方は、ビーチ沿いのホテルもおすすめです。ビーチ沿いはとても美しく、散歩だけでなく、レンタルバイクでのサイクリングも人気です。治安は良好ですが、観光客がかなり多い都市ですので、特に観光スポットでは身の回りの持ち物に気を付けると安心です。