インド - ハイデラバードについて

ハイデラバードはインド中南部のテランガーナ州の都市で、テランガーナ州とアーンドラ・プラデーシュ州の州都を兼ねています。イスラム教の王国の中心として栄えてきた歴史を持ち、南インドでも屈指の大都市として発展し続けています。気候としては夏に雨季のあるステップ気候で、年平均気温は26度とかなり高く、年間平均降水量は700mm～1000mm程度です。標高530mあるデカン高原の頂上部に位置しているため、朝晩の気温差が大きいのが特徴です。季節は雨季と乾季が明瞭に分かれています。乾季は10月から6月ですが、気温が低い11月から2月までと、気温がぐんぐん上がる3月から6月上旬ごろでは大きく気温が変化します。また、6月上旬から10月頃までは雨季で、モンスーンの影響で降雨量が一気に増える時期です。一年で最も気温が高いのは5月で、平均最高気温は40度を超えます。観光のベストシーズンは乾季前半の11月から2月にかけてで、冬季とはいえ日中は30度近くになります。加えて一日の中でも気温差が大きいため、体調管理には気を付けたいところです。観光スポットの多くはラジーヴガンディー国際空港から少し北にある旧市街地に集中しているので、ここを基点にすれば多くの観光スポットを巡ることができます。ハイデラバードのシンボルといえばチャール・ミナールです。「4本の塔」という意味のイスラム建築の門で、その名の通り4本の尖塔があります。1591年にゴールコンダ王国第5代国王ムハンマド・クリー・クトゥブ・シャーにより建造された、技巧的で壮麗な建物です。入場料を払えば、らせん階段を上って上層階へ行くこともでき、夜にはライトアップもあります。イスラム教徒の多いハイデラバードには、インド最大級のモスク、メッカ・マスジッドがあります。この巨大なモスクは17世紀のゴールコンダ王国時代に建設が始まり、半世紀以上かけてムガル帝国治世下で1694年にようやく完成したものです。洗練された美しい建築が印象的で、独特な雰囲気のモスクは一見の価値があります。壮大な建築をもっと見たい、という方にはチョウマハラ宮殿がおすすめです。ゴールコンダ王国滅亡後に成立したイ、ンド最大の藩王国として繁栄したニザーム王国の王宮です。1750年に着工され、100年以上かけて19世紀後半に完成したと言われています。「チョウマハラ」は「4つの宮殿」という意味で、広大な土地に4つの建物があります。美しい外観、細部までこだわった内部の装飾や調度品から、当時の富と権勢が見てとることができるでしょう。このニザーム王国の宰相であったサラール・ジャング家が代々収集してきた世界各地の品々が、サラール・ジャング博物館に収められています。4万点以上の美術品、5万点以上の書籍という収蔵品から常時1万4000点ほどが展示されており、展示物はインド・東洋・西洋のブロックに分けられ、39のギャラリーがあります。美術品が好きなら外せないスポットです。また、イスラム建築だけでなく、ヒンドゥー教のビルラ・マンディル寺院も見応えがあります。ラジャスタン州の白大理石で作られた優美な建物で、オリッサ建築様式の塔や、ヒンドゥー教や仏教の神々が祀られた祭壇など、独特の雰囲気を楽しむことができます。遺跡好きであれば、ハイデラバード西部、チャール・ミナール付近から西に約8kmのところに位置するゴールコンダ・フォートに足を運ぶのがおすすめです。ここは小さな砦だったものを16世紀にゴールコンダ王国が居城として大拡張した城塞都市で、彫刻が施された巨大な城壁が周囲3kmを取り囲んでいます。高さ120mの花崗岩の独立丘の上に建てられたこの要塞は王国防衛の頼みの綱であり、難攻不落を誇っていました。1687年にムガル帝国の大群に包囲された際も、内通者により門の1つが開けられるまで落城しませんでした。落城後、ムガル軍はこの城塞が使えないように破壊し、打ち捨てられたゴールコンダ・フォートは長い間廃墟となっていましたが、その後修復されたこの遺跡は、かつてのゴールコンダ王国の繁栄を伝える城の跡地としてハイデラバード観光の目玉となっています。ハイデラバード市街を一望できるのもポイントです。市街地には歴史的建造物以外の観光スポットもたくさんあります。独特の演出で世界中のファンを魅了するインド映画ですが、インドで唯一の映画村、ラモジ・フィルム・シティがこのハイデラバードにあるほか、インド最大級の動物園ネイル―動物公園や、しゃれた雰囲気で人気のGVK・ワン・モールなどもぜひ訪れたい観光スポットです。