インド - アーグラについて

アーグラとはインド北部の都市。ガンジス川支流のヤムナー川沿いにあり、古くから交通の要所として発展してきました。周辺地域の政治・経済・文化の中心都市で、ユネスコの世界遺産（文化遺産）であるタージ・マハルなど多くの名所があり、多くの観光客が訪れる観光地でもあります。首都デリーからは約180キロメートル南に位置し、車で片道3～4時間の距離です。
アーグラの歴史は古代叙事詩にもその存在が記されており、3世紀に作られた世界地図には「Agra」として記載されています。15世紀後半には、ラージャ・バダル・シングが現在のアーグラの基礎となる都市を設立しました。
16世紀の初めには、デリー・スルターン朝のローディー朝が都とします。ローディー朝の後、1526年にムガル帝国が建国されますが、3代皇帝であるアクバルの時代に再びこの地を都と定めました。タージ・マハルは、ムガル帝国5代皇帝のシャー・ジャハーンが亡くなった愛妃ムムターズ・マハルを弔い、廟として建設したものです。19世紀にはイギリスの統治下になり、1927年にアーグラ大学が創設されました。
アーグラの気候はインド北部の温帯夏雨気候であり、10月～3月が乾季、4月～6月が暑季、7月～9月が雨季とされています。一番涼しいのは1月で最高気温22度、最低気温が8度、一番暑いのは5、6月で5月の最高気温は42度、最低気温が27度です。旅行のベストシーズンは11月～3月と言われています。

アーグラの治安はデリーなど北インドの他の地域ほどには客引き、勧誘などが激しくなく、比較的治安は悪くありません。
アーグラへの交通は、空路ではアーグラ空港があります。ケーリヤー空港とも呼ばれ、市内より9kmの距離に作られた国内線専用空港です。インディアン航空により、デリー、カジュラーホー、ヴァーラーナシーからのフライトが就航されています。鉄道では、アーグラー・カント駅とアーグラ・フォート駅の二つの駅があります。アーグラー・カント駅はインド鉄道のメインの駅で、デリーからの列車「シャターブディー急行」「タージ急行」などが着きます。繁華街やタージ・マハルに行くには駅前ターミナルからタクシーやオートリクシャーなどを利用します。アーグラ・フォート駅はアーグラ市街地にある駅で、アーグラ城塞にも近い場所にあり、コルカタやワーラーナシーからの列車などが着く駅です。
バスは、市内にあるバススタンドから各地へ出発するバスが出ています。デリーへは5時間、ジャイプルへは6時間、カジュラーホーへは12時間かかります。アーグラの有名なランドマークで世界的に有名な「タージ・マハル」や、ムガル帝国3代皇帝のアクバルが建設した「アーグラ城塞」、「ファテープル・シークリー」という3つの世界遺産が存在します。
タージ・マハルはムガル帝国5代皇帝のシャー・ジャハーンが、亡くなった王妃ムムターズ・マハルを弔うために22年をかけて建立した霊廟です。大理石で作られた白亜の霊廟とモスク、尖塔、庭園は左右対称で世界で最も美しい建築物ともいわれています。世界遺産に登録されています。
アーグラ城塞はムガル帝国3代皇帝のアクバルにより建設が始まり、18世紀初めまで建設が続けられました。赤砂岩で囲まれた城塞で、「赤城塞」とも呼ばれ、城塞の中には宮殿などの諸施設があります。タージ・マハルを建設したため7年間幽閉されていた5代皇帝シャー・ジャハーンが囚われていた塔（ムサンマン・ブルジ）も城壁の中にあります。ムガル帝国の栄光と権力を象徴する美しい城塞であり、世界遺産に登録されています。
ファテープル・シークリーはムガル帝国3代皇帝のアクバルが首都の宮城として建設しましたが、慢性的な水不足と猛暑のため14年間しか使われず廃墟になりました。その遺跡群が世界遺産に登録されています。
イティマード・ウッダウラ廟はタージマハルに埋葬されている王妃ムムターズ・マハルの祖父、宰相ミールザー・ギヤース・ベグのために1622年に建てられた白大理石の霊廟です。
アクバル廟（シカンドラー）は周辺は15世紀終わりにシカンダル・ローディーによって首都の宮城として建設されましたが、現在は1613年に建てられたムガル帝国のアクバルの霊廟だけが残されています。アーグラ郊外北西10kmにあります。
ホテルに泊まるのにおすすめの地域ですが、アーグラはインドで最も人気の高い観光地であり、世界各地から観光客が訪れるため、ホテルも高級なものから格安なものまで多数あります。宿泊におすすめの地域はタージマハル南側のタージカンジなどの地域です。