世界遺産・歴史情緒とモダンアートの融合都市グラーツを巡る!

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世界遺産・歴史情緒とモダンアートの融合都市グラーツを巡る!

オーストリアの人口第二の都市、グラーツ。歴史地区として世界遺産にも登録されている美しい街なんです。皇帝お気に入りの居城都市としてハプスブルク家歴代の王たちに愛された情緒あふれる街並みは、訪れる人を魅了します。現在ではその魅力に惹かれて集まった多くの芸術家によって、モダンなアート文化の中心ともなっているグラーツ。観光地としても大変人気のある活気にあふれた街です。

今回はそんなグラーツのおすすめ観光スポットを紹介します。ヨーロッパのアートと街並みに興味のある方は、ぜひチェックしてみてくださいね!

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世界遺産・歴史情緒とモダンアートの融合都市グラーツを巡る!

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1.ウアートゥルム(時計塔)

出典: Host Town Programm/flickr

グラーツのシンボルともいえる時計塔(ウアートゥルム)は、シュロスベルク(ドイツ語で「城の山」)の上に建つ要塞の一部として13世紀に建築されました。

そんな時計塔ですが、もともとは時計として建設されたものではなく、1712年にミヒャエルさんという時計工が設置したものが、現在も時間を刻み続けているそうです。実はこの時計は長針と短針が逆になっており、長針が時間、短針が分を示すというたいへん珍しいものなのです。当初は時間を表す針のみが取り付けられ、後になって分を刻む針を追加で取り付けたからだと言われています。これを見るために、多くの観光客の方が訪れています。時間を読み間違って焦らないよう気をつけてくださいね。

シュロスベルクには、「城の山」という名前の通り、もともとハプスブルク家所有の城が建っていましたが、1809年にナポレオンがグラーツを占領した際、ことごとく破壊されてしまいました。しかし、この時計塔だけは市民の手によって守り抜かれたのです。グラーツに観光で訪れた際にはぜひ市民から愛された街のシンボル・時計塔を訪れて、グラーツの歴史に思いをはせてみてはいかがでしょうか?

2.エッゲンベルク城

出典: Mario Sorman/flickr

エッゲンベルク城はグラーツ市街から3キロメートルほど西にはずれた場所に建つロココ様式の美しい居城です。すでに世界遺産に登録されていたグラーツの歴史地区の価値を裏付けるものとして、2010年にユネスコ世界文化遺産として追加登録されました。

このエッゲンベルク城観光の注目ポイントは、日本の城との関係性です。エッゲンベルク城には日本風や中国風の東洋趣味の部屋があり、そこにはなんと安土桃山時代の大阪城と城下町を描いた貴重な屏風絵が所蔵されています。一説によるとこの屏風は17世紀後半にオランダ商人によって購入され、この城に持ち込まれたとのことです。

時代を物語る貴重な美術品と、観光客を魅了する優美な城。そしてはるか昔に日本とどんな接点があったのかを想像してみるのも楽しいですね。歴史のロマンが感じられるエッゲンベルク城をぜひ訪れてみてくださいね。

3.王宮と二重らせん階段

長い歴史を誇るグラーツには、かつての皇帝たちが住んだ王宮も残され、観光地として公開されています。この王宮はかつてフリードリヒ3世の居城だった建物で、現在はグラーツが属するシュタイアーマルク州の州知事官邸として利用されています。しかしながら、かつての姿をそのままとどめているのは残念ながら1499年に建設された階段塔のみとなってしまいました。そこにはゴシック建築の逸品としての評価が高い二重らせん階段があります。

こちらの二重らせん階段は入場無料で(2016年11月14日現在)見学することもできます。15世紀の建築物とはとても思えないモダンで斬新なデザインは観光の価値ありです!

4.クンストハウス グラーツ美術館

出典: Andrea Mancini

中世のからの街並みが落ち着いた雰囲気を醸し出すグラーツ。そこでひと際目を引く未来からきたタイムマシンか異星人が乗ったUFOのような姿をした建造物、クンストハウス・グラーツ美術館です。「Kunst(クンスト)」とはドイツ語で「芸術」を意味します。

このインパクトのある美術館は、グラーツが2003年に欧州文化首都に指定された際に建設されたもので、内部には独創的な現代アートや写真作品が展示されています。欧州文化首都とは、EU加盟国において1年に1都市が選出され、その都市で長期的な文化・経済・社会発展を目指して、1年間にわたって集中的に文化的行事などの様々な取り組みが行われる事業です。

クンストハウスの館内にはオシャレな「Kunsthaus Café (クンストハウスカフェ)」というものもあり、おいしい食事が楽しめるほか夜間にはお酒も楽しめるバースペースとなり、現代芸術の中心地としてのグラーツの魅力を感じながら、ゆっくりと大人のひと時が楽しめます。

アートの刺激と歴史地区ならではの伝統的なヨーロッパの雰囲気の両立は、観光都市グラーツの大きな魅力といえますね。

5.武器博物館(ツォイグハウス)

グラーツでは1642年に他国からの侵略に応戦するために、当時世界最大のものだったともいわれる武器庫が建設されました。その武器庫を当時のままの姿で利用したのが「武器博物館(ツォイグハウス)」です。

剣や重火器のほかに、なんといっても圧巻なのはずらりと並べられた騎士の甲冑です。銀色でずっしりとした質感の鎧は、一つ一つ特徴も様々。ずっしりとした重厚なものから、スタイリッシュで動きやすそうなもの。さらには騎馬のための甲冑といった、なんともユニークな形のものまで。多くの観光客がこれらの武器や鎧を見るために訪れています。

バリエーション豊かな武器や防具の数々は、眺めて回るだけでもとても楽しめる観光地ですよ!

6.ラントハウスホフ(州庁舎)

ラントハウスホフは16世紀に建設されたシュタイアーマルク州の庁舎で、ドメニコ・デラッリオによって手掛けられたイタリアルネッサンスの傑作と言われています。特にその中庭の美しさは特筆されるものがあります。

このラントハウスは先ほどご紹介した武器博物館(ツォイグハウス)に隣接しており、面するヘレンガッセという通りではトラムと呼ばれる路面電車が走るほか、レストランやカフェが立ち並び、多くの人でにぎわいます。

観光スポットがコンパクトにまとまっていることもグラーツの魅力の一つ。武器博物館を訪れる際は、ラントハウスホフもあわせて観光しましょう!

7.グロッケンシュピールプラッツ(鐘楽広場)

ここでいうグロッケンシュピールとは鉄琴という意味だけではなく、教会や市庁舎などの塔にある、鐘がメロディーを奏でるように仕掛けられた時計(カリヨン)のことを指しています。ドイツのミュンヘンなどでもこのグロッケンシュピールは観光客に人気の観光スポットになっていますね!

グラーツには「グロッケンシュピールプラッツ」という広場があり、そこでは1日に3回時計塔の扉が開き、民族衣装をまとった木彫りの人形が現れ、鐘で奏でられる音楽に合わせて回転します。この「グロッケンシュピール」を一目見るために、11時・15時・18時の各回の前には時計塔の周りに多くの観光客が集まります。

グラーツ観光に来たら、ぜひ時間を合わせて鑑賞してほしい可愛らしいアトラクションです。

8.ムーアインゼル

出典: Matthias Damert/flickr

インゼルとはドイツ語で「島」を意味する名詞です。ムーアインゼルはムーア川に浮かぶモダンな建築物で、クンストハウス・グラーツ美術館と同様2003年にグラーツが欧州文化首都に選ばれた際に設計・建築されました。

ガラス張りのこの建造物の内部には半円形の劇場や、子供の遊具、カフェなどがあり、川の景色を楽しみながらゆっくりと流れるひと時を楽しむことができます。また夜間にライトアップされた姿も美しく幻想的。このムーアインゼルを設計したのは、ニューヨークの芸術家ヴィト・アコンチです。彼はポエムやパフォーマンスアートなども手掛けるジャンルにとらわれない芸術家で、その自由な発想に基づいたこの建築物の独創的な雰囲気は観光客をひきつけます。

モダンアートに興味のある方は、クンストハウスグラーツ美術館と合わせて観光してみることをオススメします。

9.マウゾレウム(霊廟)

出典: www.istockphoto.com

グラーツで1578年に生を受け、ボヘミアとハンガリーの王と神聖ローマ帝国の皇帝として君臨したフェルディナント2世。彼はグラーツの地に文化史上非常に価値の高いハプスブルク家の霊廟の一つを作らせました。それがこのマウゾレウムです。

この霊廟は、イタリアの宮廷御用達画家であったジョバンニ・ピエトロ・デ・ポミスによって設計され、内部装飾はグラーツ出身のウィーン・バロック建築巨匠であるフィッシャー・フォン・エルラッハによって手掛けられました。

1月から4月の観光閑散期には、開館時間が火曜日と金曜日の10:30~12:30、13:30~16:00と限られているので、観光の際はご注意を!

10.グラーツ大聖堂

15世紀中頃、ハプスブルク家出身の神聖ローマ皇帝フリードリヒ3世の下に帝都として栄えていたグラーツ。このグラーツ大聖堂はその時代の壮麗さと華やかさを今に残しています。

シンプルなゴシック様式のファサードは、簡素でつつましやかでありながら堂々とした大聖堂の趣。反して中世の絢爛なフレスコ画と装飾に彩られたバロック式の堂内は観光客を圧倒します。

前述のマウゾレウム(霊廟)はこの大聖堂に隣接するように建造されたもの。大聖堂は無料で観光できるうえ、運よくミサやコンサートの時間に訪れることができれば、壮厳なパイプオルガンの音色を楽しむこともできます。

11.アウフシュタイラーン

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毎年9月にはシュタイアーマルク州で「Aufsteirern(アウフシュタイラーン)」というお祭りが行われます。州都であるグラーツにおいてもやはり様々なイベントが行われます。日本語でいえば「秋の収穫祭」的なイベントです。

シュタイアーマルク地方の民族衣装を着た人たちが、伝統的な音楽に合わせて手拍子をとり、また手を取り合いながら踊る姿が街の所々で見られ雰囲気タップリ。また屋台なども駆り出され、ビールはもちろん直火で焼かれたソーセージやその土地の郷土料理も楽しめます。観光客も大歓迎な大らかなお祭りムードもいい感じです。

アコーディオンの陽気な音楽に酔いしれながら、おいしいお酒と郷土料理を楽しむ年に一度のアウフシュタイラーン。観光客の皆さんもグラーツの地元の人たちとともに秋の収穫をおおいに祝いましょう!

12.バウアーンマルクト

バウアーン(Bauern)は農家、マルクト(Markt)は市場のことをさします。その言葉の通り、農家の人々が広場に集まって、とれたての野菜やくだもの、また生活用品などを販売している観光にも最適なスポットです。

グラーツにはカイザー・ヨゼフ・マルクト(ヨゼフ皇帝市場)、マルクト・アム・レンドプラッツ(レンド広場市)を代表とする様々な市場が日替わりで開かれ、特に上に挙げた2つは月曜日から土曜日の毎日、朝の6時から昼の13時まで、多くのお店とお客さんで賑わいます。

市場と聞いて思い浮かぶのは野菜と果物ですが、こちらの市場では焼きたてのパンをそろえるベーカリーや、名物のソーセージなどが並ぶ肉屋、内陸のオーストリアでは貴重な魚屋さんなど、様々なお店が軒を連ねます。市が開かれる曜日に移動販売車がやってきて店をオープンするというのがこちらの市場のスタイルです。ぜひ、観光の際に立ち寄ってくださいね!

13.Hilmteich

出典: Wolfgang Wildner/flickr

グラーツ観光スポットのなかでは穴場といえるかもしれないHilmteich。グラーツ市街中心部から少し離れた場所にある、静かな公園です。豊かな自然に囲まれた小さいながらも美しい湖があり、整備された遊歩道、オシャレな湖畔のカフェもとてもいい雰囲気なんです。子どもたちのためのレクレーション設備などもあり、観光客よりもグラーツっ子に名の知れたリラックススポットなんですよ。

グラーツ観光で王道のスポットを一通り巡った後、知る人ぞ知るHilmteichで湖を眺めながらゆったりとしたカフェタイムを楽しむ。これであなたももうグラーツ通の仲間入りですね!

14.ホーフベッカライ エーデッガー・タックス

グラーツ王宮へ向かう石畳の通りに店を構えるホーフベッカライ エーデッガータックス。店構えからもその長い歴史がうかがえますが、公式な文献によると創業なんと1569年!一説では1300年代にはすでにベーカリーとして営業していたともいわれているんですよ。

グラーツ最古であるこのパン屋さんは、Hof(王の)Bäckerei(ベーカリー)とある通り、王家御用達の店として親しまれています。記録では1883年にハプスブルク帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世にパンを献上して以来、現在も当時と同じレシピでつくられ、その品格を守り続けているといわれているんです。

2015年、東京に海外初の支店をオープンしたエーデッガー・タックス。現在は東京・麹町でそのパンを味わうことができます。本家と支店の皇帝も愛した極上のパンを食べ比べてみるのも楽しそうですね。

15.カフェ・ザッハー グラーツ

オーストリアといえばザッハトルテを連想する方も多いのでは?今日では広く世界各地で作られているザッハトルテですが、もともとはオーストリア・ウィーンのホテル・ザッハーの名物菓子。メッテルニヒに仕えた料理人フランツ・ザッハー考案のこのチョコレートケーキは、彼の息子が開業したホテル・ザッハーのカフェ・レストランで提供されるようになりました。

グラーツにもカフェ・ザッハーは支店を構えており、そこでは伝統の元祖・ザッハトルテを味わうことができます。カフェ・ザッハー グラーツは、コーヒーを味わうためのカフェとしての一面と、お酒と料理を楽しむことができるレストランとしての一面をあわせ持っています。どちらも一流といえるその味に、いつ訪れても観光客は大満足だと評判です。

◎まとめ

中世の歴史と文化を今に残す、世界遺産の都市・グラーツ。当時の趣きを感じることのできる歴史的な建造物のほか、欧州文化首都に指定された際に建設されたモダンでアーティスティックな建築物が街の新たな一面を描き出します。シュタイアーマルク地方の伝統文化とオーストリアの食文化の楽しみも見逃すことはできません。

また、街自体がコンパクトにまとまっており、散歩しながら観光スポットをまわることができるのも街の魅力の一つです。ヨーロッパ旅行に行かれる際は、ぜひ目的地の一つに加えてみてはいかがでしょうか。

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