セルビア人国家の最初の首都!世界遺産「スタリ・ラスとソポチャニ」

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セルビア人国家の最初の首都!世界遺産「スタリ・ラスとソポチャニ」

「スタリ・ラス」とは「古いラス」という意味。ラスはセルビア人が打ち立てたラシュカという国の最初の都。現在のセルビアの南部、ノヴィ・パザルという都市の郊外に位置しています。9世紀から13世紀にかけて繁栄しした都市で、セルビアがユーゴスラヴィア連邦内の共和国だったころの1979年に、世界遺産に登録されました。

ソポチャニはスタリ・ラス南西の渓谷に臨む丘の上にあります。セルビアに現存する最も美しいフレスコ画をもつといわれるソポチャニ修道院や、セルビア最古の教会である聖ペトロ教会、王宮跡、ストゥポヴィ修道院などの遺跡が残されています。セルビアの美しい森の風景とともに、セルビアの古都の遺跡を楽しめる世界遺産です。

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セルビア人国家の最初の首都!世界遺産「スタリ・ラスとソポチャニ」

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スタリ・ラスとソポチャニとは

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ラスにはもともとローマ時代の砦がありましたが、9世紀ごろにセルビア人の国ラシュカの都となりました。当時のセルビアにはほかにもいくつかの国がありましたが、ラシュカはそれらのなかで最も強かったと考えられています。とくにソポチャニの宗教施設群は、ラシュカが西欧とビザンツ帝国の交流の舞台となっていたことをうかがわせます。

しかし、13世紀にはほとんど人が住まないほどに廃れてしまいます。世界遺産に登録されている遺跡群は、すべてこの4世紀ほどの間につくられたものです。15世紀にはオスマン・トルコ帝国に征服され、ラスの東に新しくノヴィ・パザルの町が建設されました。

スタリ・ラスとソポチャニへのアクセス

世界遺産スタリ・ラスとソポチャニの最寄りの都市は、セルビアの首都ベオグラードの南230kmほどのところにあるノヴィ・パザルです。ノヴィ・パザルへは、まずベオグラードから列車に4時間ほど乗ってラシュカ(Raška)という街を目指します。ラスを都としていた国と同じ名前ですが、世界遺産からは直線でおよそ20km離れています。

ラシュカからノヴィ・パザルまでバスに乗ります。スタリ・ラスとソポチャニ、また構成資産の1つに含まれるジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院はいずれも郊外にあるので、徒歩で行くのは困難。ノヴィ・パザルからバスやタクシーを利用しましょう。

スタリ・ラスとソポチャニのおすすめスポット① : ソポチャニ修道院

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世界遺産スタリ・ラスとソポチャニで現在もっとも良好な姿を残しているのが、セルビア正教会のソポチャニ修道院です。セルビア王ステファン・ウロシュ1世の命で、1260年頃に建てられました。静かな佇まいを見せる世界遺産の修道院ですが、敷地内の聖三位一体教会には、セルビアに残るフレスコ画の中では最も美しいといわれている『生神女の就寝』があるんですよ。

このフレスコ画は教会の入口上部に大きく描かれていて、「死期を知り横たわるマリヤとマリヤの霊を抱いたキリスト、使徒」を意味しています。またイコンと呼ばれる聖画像も描かれていて、荘厳な中世の教会の雰囲気がたっぷり!現在も修道院ではワインやラキヤ、養蜂、家畜の飼育などが行われていて、周辺にはのどかな風景が広がっています。ワインやラキヤ、蜂蜜は修道院で販売もされているので、世界遺産のお土産としてもぴったりですね。

スタリ・ラスとソポチャニのおすすめスポット② : ストゥポヴィ修道院

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ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院は、スタリ・ラスやソポチャニからは少し離れた、ノヴィ・パザルの北の丘にあります。セルビア王国を建国したステファン・ネマニャによって、12世紀に設立されました。その後、14世紀にオスマン帝国に征服されると没落し、20世紀初めのバルカン半島で大きく破壊されました。現在は、創建当時の食堂や共同寝室、貯水槽、入り口の塔の壁などの遺跡群が残っていて、見学することができます。

またストゥポヴィ修道院は小高い丘の上に立っていて、ノヴィ・パザルの渓谷と町並みを一望できるのも魅力です。この修道院にも13世紀の美しいフレスコ画があったのですが、損傷が激しく、大部分がベオグラードの国立博物館に移管されています。

スタリ・ラスとソポチャニのおすすめスポット③ : スタリ・ラス

かつてのセルビアの都スタリ・ラス。2つの川に挟まれた山の上にある要塞のような遺跡で、現在は礎石や城壁の跡が残るのみです。観光スポットとしてはやや寂しい感じもしますが、城壁跡には歴史を感じることができ、なによりノヴィ・パザル方面の景色はなかなかのものです。

ノヴィ・パザルからソポチャニへ向かう途中にあるので、時間と体力に余裕があればぜひ立ち寄ってみてください。ここがかつてセルビアの中心地だったと考えると、感慨深いものがありますよ。

◎まとめ

世界遺産スタリ・ラスとソポチャニの遺跡は、深い山のなかに作られました。それは、外部からの攻撃を防ぐためと、ここが東西南北を結ぶ街道の交わる要衝だったからといわれています。実際、攻撃を受けたときには修道士が大砲や銃で応戦したそうで、教会には要塞と同じように砲口を出す銃眼が備えられているんですよ。

周囲の国々に翻弄されてきたセルビアの歴史をうかがうことのできる世界遺産といえるでしょう。

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