名称:ヴァッハウ渓谷の文化的景観(Wachau Cultural Landscape)
住所:クレムス~メルク, オーストリア
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/970/
ウィーンをはじめ4つの首都を流れて黒海にそそぐドナウ川は、ヨーロッパを代表する全長約2860kmの大河です。その途中には多くの観光名所がありますが、ウィーンの西のクレムスからメルクに至る約36kmの「ヴァッハウ渓谷」は、世界遺産に登録されている人気のエリア。
緑豊かな渓谷の両側には、ドイツ圏らしい古城やオーストリアワインのブドウ畑、そしてハプスブルク朝の栄華を語るような壮麗な修道院などが連なります。ヴァッハウ渓谷のクルーズ船からは、まさにヨハン・シュトラウス2世の『美しく青きドナウ』が思い浮かぶような景色が楽しめますよ。
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【世界遺産】ヴァッハウ渓谷の文化的景観|ドナウ川沿いに広がる美しい景色
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「ヴァッハウ渓谷の文化的景観」とは?
ドナウ川の中流オーストリア北部のメルクとクレムスという町の間、約36kmになる渓谷一帯がヴァッハウ渓谷です。ヴァッハウ渓谷はドナウ川が山を侵食して出来た渓谷なので、川の両岸は断崖絶壁が続き非常に美しい景勝地となっています。そんな美しい景色が2000年、「ヴァッハウ渓谷の文化的景観」として世界遺産に登録されました。
両岸を見るとワインの名産地らしくブドウ畑が広がり、丘陵の上には独特の雰囲気を残す古城や修道院がポツポツと見えます。これらの世界遺産となったヴァッハウ渓谷の景観は、クルーズ船で川下りをしながら見るのが一番楽しめますよ。
川下りの出発点であるメルクの街の断崖絶壁にある「メルク修道院」や終着点のゴシック、ルネッサンス、バロックの中世の雰囲気が残っている街クレムスも興味深い観光スポット。また川下りをしていると、様々な伝説の残るお城などが次々と見えてきます。自然が織りなす美しい自然世界遺産のヴァッハウ渓谷を見ようと、多くの観光客が訪れる場所です。
「ヴァッハウ渓谷の文化的景観」へのアクセス
世界遺産に登録されているのは、クレムス・アン・デア・ドナウからメルクまでの約36kmの流域です。
ヴァッハウ渓谷の西端のメルクまでは、ウィーン西駅から特急列車で1時間ほど。また東端のクレムス(正式には「クレムス・アン・デア・ドナウ」)までは、ウィーン・フランツ・ヨーゼフ駅から快速列車で約1時間です。
ドナウ川を下る場合、メルクからクレムスまでは船で1時間35分、逆に川を上る場合は3時間かかります。メルクとクレムスの間は鉄道も走っています。
ヴァッハウ渓谷のおすすめポイント①:メルク修道院
世界遺産ヴァッハウ渓谷西端のメルク市街地を見下ろす「メルク修道院」は、オーストリアでも有数の観光スポットとなっています。キリスト教ベネディクト会派の修道院ですが、服従・清貧・純潔という同会の戒律とはおよそかけ離れた、修道院とは思えないゴージャスな外観が目を引きます。
今も修道士が共同生活をしているので、観光客が見学できるのはごく一部。自由見学とガイドツアーがありますが、冬季はガイドツアーのみとなるので注意してください。修道院の麓にはメルクの街が広がり、鉄道駅やクルーズ船乗り場からも近いので、ヴァッハウ渓谷観光の起点におすすめです。
ヴァッハウ渓谷のおすすめポイント②:デュルンシュタイン
ヴァッハウ渓谷の東端クレムスに近い小さな町「デュルンシュタイン(Dürnstein)」。ドナウ川をさかのぼる際には、いよいよ渓谷が狭まってくるという喉元にあたる場所です。
山と川に挟まれた細長いデュルンシュタインには、青い塔が印象的な聖堂参事会修道院教会や古い屋敷を改装したホテル、ヴァッハウワインの専門店などが立ち並んでいます。
時間があれば、ぜひこの街の背後の岩山に建つデュルンシュタイン城にも登ってみてください。ここは、12世紀に十字軍帰りのライオンハートこと、リチャード獅子心王が捕えられ、幽閉されたところ。現在は廃墟となっていますが、城跡からはデュルンシュタインの美しい街並みとヴァッハウ渓谷の景色を眺めることができます。
ヴァッハウ渓谷のおすすめポイント③:アックシュタイン城
メルクの北東7kmくらいのところを航行していると、東側の山の上に岩が屹立していて、さらにその上に建物が乗っているのが見えます。これが、「恐怖のヴァルト」の伝説で知られるアックシュタイン城です。
ここの城主だった「恐怖のヴァルト」は、ドナウ川を行き交う船を襲って通行料を要求。支払われないと、捕虜を城から谷底へ突き落としたのだとか!? 実際にはそこまではしなかったようですが、ドナウ川やライン川沿いに建つ多くの古城が、船から通行料を徴収するために築かれたものでした。
現在は、伝説に基づく子供向けのアドベンチャーコースなどもあり、一般公開されている人気の観光スポットとなっています。ただ、バスだと山麓までしか行けないので、お城の前まで行くにはどこかでタクシーを拾うか、レンタカーを利用する必要があります。
◎世界遺産「ヴァッハウ渓谷の文化的景観」まとめ
ウィーンから電車でたった1時間ほどのヴァッハウ渓谷には、芸術の都ウィーンとはまた違った美しい景観が広がっています。もしオーストリア観光に余裕があれば、1日をメルクからデュルンシュタインまでのクルーズ船の旅に充ててみませんか?
お土産には、日本ではめったにお目にかかれない特産のヴァッハウワインがおすすめです。