ポートワインの故郷!ポルトガルの世界遺産アルト・ドウロ・ワイン生産地域

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ポートワインの故郷!ポルトガルの世界遺産アルト・ドウロ・ワイン生産地域

ポルトガル人は大のワイン好き!一人当たりの年間消費量はルクセンブルク、フランス、イタリアに続き、なんと世界で4番目の48リットル。日本人はたったの2.5リットルですから足元にも及びません。ちなみに日本人に初めてワインを飲ませたのはポルトガル人で、宣教師のフランシスコ・ザビエルが織田信長にワイン2樽を献上した記録があります。

そんなポルトガル人は、古くからブドウ栽培とワイン醸造にも長けています。ポルトガル北部を横断するドウロ川沿いの斜面と気候を上手に利用しながら、世界中に輸出されるポートワインを作り出しました。「ポルトガルの宝石」とも称されるポートワインの故郷の文化的景観が、2001年に「アルト・ドウロ・ワイン生産地域」として世界遺産に登録されました。

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ポートワインの故郷!ポルトガルの世界遺産アルト・ドウロ・ワイン生産地域

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アルト・ドウロ・ワイン生産地域とは?

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アルト・ドウロ地域はブドウ栽培の歴史が古く、知られてるだけでも2000年以上も前。付近の古代の遺跡からは3000~4000前のブドウの種も発見されているのです。ワイン生産が本格的になったのは3~4世紀のローマ帝国時代。その後、民族の大移動により一旦ブドウ栽培は衰退しますが、ポルトガル王国が成立した12世紀以降に復活します。

14世紀中ごろには、現在のこの地域特産のポートワインが生産されるようになります。ポートワインとは、醸造途中でアルコール度数の高いブランデーを加え、糖分が残っている状態で発酵を止めたもの。18世紀には甘くてアルコール度数の高いワインを好むイギリスに大量に輸出されました。ドウロ川河口の都市ポルトから出荷されたことから、ポートワインと呼ばれています。

アルト・ドウロ地域はドウロ川の幅も広いので日当たりも良いうえ、夏は暑く冬は寒いという大きな寒暖差も、ブドウ栽培に適しています。ドウロ川沿いの丘の斜面は、ブドウの木1本1本に最大の日照量を与えるため、細長い段々畑になっています。緩やかに蛇行するドウロ川とブドウの段々畑、さらに農村の風景や醸造所、教会などが見事に調和し、世界遺産にふさわしい美しい景観が広がっているのです。

アルト・ドウロ・ワイン生産地域へのアクセス

まずは、ドウロ川河口のポルトへ向かいましょう。ポルトのフランシスコ・サ・カルネイロ空港への日本からの直行便はないので、リスボンやパリ、フランクフルト、イスタンブールなどを経由する必要があります。

ポルトからはドウロ川沿いに遡る鉄道に乗り、世界遺産の指定区域にあるペゾ・ダ・レグアを目指すのがおすすめです。この鉄道はもともとワインの運搬用に敷設されたものなので、すでに世界遺産のワイン生産地域の旅は始まっているといえますね。ポルトからレグアまでは約2時間。レグアからは世界遺産のワイン生産地域を巡るSL観光列車(夏季のみ)や観光船が出ています。

この地域のワイン農園は「キンタ(Quinta)」と呼ばれていて、見学や試飲ができるところや、なかにはファームステイを行っているところもあります。レグアのポートワイン協会ではそれぞれのキンタに関する情報も聞けるので、立ち寄ってみると良いでしょう。

アルト・ドウロ・ワイン生産地域のおすすめポイント①:レグア

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ペゾ・ダ・レグアは商業的にも交通上も、アルト・ドウロ・ワイン生産地域の中心地!この町の王立ブドウ栽培共同組合が1756年に世界で初めて、ブドウの収穫地域をワインの産地として表示するよう義務付ける「原産地統制呼称」を創設したのです。ドウロ博物館にはワイン醸造に関する資料や展示物が数多くあり、世界遺産のアルト・ドウロ・ワイン生産地域の歴史と文化を学ぶことができます。

夏季にはレグア駅から上流のトゥア駅まで、1900年代初期の蒸気機関車を使ったSL観光列車も出ています。レグアからは観光クルーズ船も出ていて、ドウロ川を航行しながら両岸に広がった美しい段々畑が望めますよ。鉄道の敷設以前は、ワイン樽は船でドウロ川を下って運ばれました。レグア付近にはその当時使われていた帆船「ラバーロ」が浮かべられているので、ぜひ見つけてくださいね。

アルト・ドウロ・ワイン生産地域おすすめポイント②:ラメーゴ

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レグアの南にある、2つの丘から成る人口2万5千人ほどのこじんまりとした美しい町ラメーゴ。この町もかつては良質のポートワインで知られていましたが、今では発泡性ワインとスモークハムで有名です。

またラメーゴは、たくさんのバロック様式の美しい建物が残る観光都市でもあります。なかでも目を見張るのは、丘の上に建てられた絢爛なノッサ・セニョーラ・ドス・レメディオス教会。参詣するには、686段もの階段を上らなくてはなりません。途中に数か所ある階段の踊り場の壁は、アズレージョというポルトガル特産の青いタイルを使ったタイル画で装飾されているので、ゆっくり味わいながら登りましょう。頂上にある教会も、美しい花崗岩でできたファサードやアズレージョで描かれたキリストの誕生の絵などがありますよ。

世界遺産のワイン産地のポートワインと都市観光を一緒に楽しむなら、ラメーゴは一押しです。

アルト・ドウロ・ワイン生産地域おすすめポイント③:ピニャオン

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レグアからさらにドウロ川を25kmほど遡ったところにある小さな街ピニャオン。ここは河運でワイン樽をポルトへと輸送するラベーロの積出港として栄えたところです。かつての港の脇には、ワイン倉庫だった建物を改装したホテル「ヴィンテージ・ハウス」があります。ここからの景色は、どっちを向いても世界遺産のブドウの段々畑が広がるばかりです。

かつての桟橋からは、レグアやポルトへ向かうドウロ川のクルーズ船が発着しています。また、ピニャオンの駅舎はブドウの収穫風景を描いたアズレージョで飾られていて、ポルトガルで最も美しい駅とも呼ばれているんですよ。レグアを拠点に片道は鉄道に、もう片道はクルーズ船に乗れば、世界遺産アルト・ドウロ・ワイン生産地域の景色を効率よく楽しめるでしょう。

◎まとめ

少し甘口で有名なポートワインは、ドウロ川沿いの細く区切られた段々畑の風景から生み出されています。どのような地域でどのような努力と工夫によって作られているのかを知れば、ワインの味もずっと違ったものになりますよ。

ポルトガル第2の都市ポルトから手軽に訪れることのできる世界遺産アルト・ドウロ・ワイン生産地域。首都リスボンのあるポルトガル南部を旅した後は、ぜひ北部もめぐってみてください。

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