原爆ドームの観光情報|世界へ平和を訴える世界遺産

画像出典:宗 / PIXTA(ピクスタ)

原爆ドームの観光情報|世界へ平和を訴える世界遺産

原爆ドーム自体を知らないという人はまずいないでしょう。人類史上初めて原子爆弾が投下された広島で、奇跡的に原型を保った建物として有名です。日本にとっては、同じ悲劇を二度と繰り返さないよう世界に訴える重要な記念碑。ですが、世界遺産としての登録には紆余曲折がありました。一般に「負の世界遺産」とカテゴライズされるものの、その意図するところはこれからの未来の世界平和。人類の歴史上日本にしか存在せず、そしてこれからも存在させてはいけない、そんな広島の世界遺産原爆ドームを観光する際のポイントについてまとめました。

目次

原爆ドームの観光情報|世界へ平和を訴える世界遺産

原爆ドームとは?

今日「原爆ドーム」と呼ばれている建物は、大正四年(1915)に「広島県物産陳列館」として建設されました。設計はチェコ人の建築家ヤン・レッツェルが手掛け、ネオバロックと分離派の混合した様式は当時の最先端のデザインでした。後の広島県産業奨励館と改称されるこの建物では、県内外のさまざまな商品の展示や品評会が行われ、日本で初めてバウムクーヘンが販売されたのもこことされています。

1945年8月6日、アメリカのB-29爆撃機「エノラ・ゲイ」が建物のすぐ脇の相生橋を目標に原爆を投下します。爆弾は上空約600メートルで炸裂したといわれ、そのたほぼ真下に位置していた産業奨励館は、わずか1秒以内にほぼ全壊したとされています。しかし、熱で銅製の天井ドームが一瞬で溶け、爆風が窓から吹き抜けたことにより、建物枠組みだけが奇跡的に残ることになったのです。

戦後、誰ともなくその廃墟を「原爆ドーム」と呼ぶようになりました。撤去を望む声も強かったということですが、1949年8月6日に「広島平和記念都市建設法」が制定されると、原爆ドームを平和記念公園の記念碑として残す構想が浮上します。保存費用や方法、市民感情などの問題もあり原爆ドームの扱いはその後もしばらく定まりませんでしたが、1966年に広島市議会が永久保存を議決しました。

1992年に日本が世界遺産条約を受諾すると、原爆ドームの登録申請を望む声が強まります。外国を刺激したくない文化庁の消極姿勢や、アメリカ・中国などの強い反対などに遭ったものの、原爆ドームは1996年についに世界遺産への登録を果たしました。ちなみに、英語での登録名は「Hiroshima Peace Memorial (広島平和記念碑)」です。

原爆ドームへのアクセス

広島電鉄(路面電車)または市内循環バスに乗り、「原爆ドーム前」で降ります。路面電車の場合、JR広島駅からは約20分です。

高速バス利用で広島に入る人は、広島バスセンターから原爆ドームまでは徒歩5分程度で行くことができます。

原爆ドームおすすめポイント

◆ドームとその周辺

出典: たっきー / PIXTA(ピクスタ)

原爆ドームの周りには鉄柵が巡っていて、内部に入ることはできません。中の様子をうかがうと、当時のがれきが散乱しています。周囲をぐるっと1周することはでき、一番間近で見られるのは元安川沿いの遊歩道からです。

ドームのすぐ東には「おりづるタワー」があり、有料の展望テラスからは原爆ドームを上から俯瞰することができます。風化する廃墟を支えるべく、内部に補強の骨組みなどがしつらえられている様子が確認できるでしょう。

◆広島平和記念公園

平和記念公園は原爆ドームの対岸にあります。園内には広島平和祈念資料館や平和の灯、原爆死没者慰霊碑、原爆死没者追悼平和祈念館などさまざまな資料館やモニュメントがあります。

公園の中央にある原爆死没者慰霊碑は、犠牲者を雨から守るという意味で鞍型の屋根が付いています。慰霊碑に刻まれているのは、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」の一文。この碑文には主語がないので、未だに物議を醸しています。戦時中とはいえ民間人を虐殺したのはアメリカなのに、日本人がしたかのような書き方だからです。

そして、原爆死没者慰霊碑の手前にあるのが「平和の灯」です。1964年に建設された平和の灯は掌を空に広げた形をしていて、その中央に核兵器のない恒久平和の世界の実現まで火が灯し続けられます。原爆死没者慰霊碑の前に立つと、鞍型屋根の隙間の向こうに、原爆ドームと平和の灯が見えるようになっています。

◆原爆の子の像と平和の鐘

「原爆の子の像」は、平和記念公園内にある高さ9mのブロンズ像です。2歳の時に被爆した佐々木禎子さんは12歳の時に突然白血病を発病し亡くなりました。少女の死をきっかけに、同じように核兵器によって命を落としたすべての子供のためにと同級生らが立ち上がります。彼らは慰霊碑の設立を計画し、世界中の支援によって建てられたのがこの像なのです。

平和記念公園にあるもう1つの有名なモニュメント「平和の鐘」は、人間国宝の梵鐘作家香取正彦氏によって1964年に建設されました。来園者の誰もが鳴らせる鐘で、日本の音風景100選にも選ばれています。原爆ドームを訪れたら、平和への願いを胸にぜひこちらの鐘を鳴らしてみてください。

◎まとめ

世界唯一の被爆国日本。広島にある世界遺産原爆ドームは、まさに世界が忘れべからざる、恒久的な記念碑です。観光としてご紹介するのはとても難しい世界遺産ではありますが、日本にいるならぜひ一度は訪ねておきたい場所といえます。広島自体は、ほかにも世界遺産宮島の厳島神社をもつ観光都市。楽しむべきところはしっかり楽しみつつ、原爆ドームと平和記念公園を厳かな気持ちで見学してください。

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