ポーランドの世界遺産「アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制絶滅収容所」

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ポーランドの世界遺産「アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制絶滅収容所」

ポーランド南部の町オシフィエンチムは、ドイツ語でアウシュヴィッツといい、世界中にその名が知られています。ここには第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによって100万以上の人々が犠牲になった、ヨーロッパ最大の絶滅収容所がありました。ユネスコの世界遺産委員会は、二度と同じような過ちが起こらないようにという願いを込めて、1979年に世界遺産リストに登録。

ユネスコの公式な分類ではありませんが、日本では広島の原爆ドームとともに「負の世界遺産」と呼ばれることが多く、人類が犯した大きな過ちを現代に伝える大切な世界遺産です。

目次

ポーランドの世界遺産「アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制絶滅収容所」

アウシュヴィッツ・ビルケナウ ナチス・ドイツの強制絶滅収容所とは

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1933~45年まで続いたナチス・ドイツによる、人種差別の絶滅政策で犠牲者を最も多く出した強制収容所です。アウシュヴィッツ第1強制収容所は、1940年にオシフィエンチム市に造られました。囚人数の増加と共に収容所は拡張され、翌年にはオシフィエンチム市から3kmほど離れたブジェジンカ村に大規模な「アウシュヴィッツ第2強制収容所ビルケナウ」を建設。さらに1942~44年にかけて「第3強制収容所モノヴィッツ」、周辺にも40以上の補助収容所が造られています。

1942年春からは実際にユダヤ系市民の絶滅計画が開始され、ガス室や死体焼却場が稼働。1945年までにアウシュヴィッツに収容された人は、28ヵ国約130万人にも及び、そのうち約110万人が犠牲になりました。犠牲者の約90パーセントがユダヤ人で、その大半は毒ガス室で殺害されています。アウシュヴィッツ収容所には『アンネの日記』で有名なアンネ・フランクや、囚人の身代わりになって亡くなった長崎のコルベ神父も収容されていました。

世界遺産アウシュヴィッツ強制収容所へのアクセス

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オシフィエンチムは、クラクフの西75kmほどのところにあり、クラクフ中心部からバスで1時間~1時間半ほどです。見学時間は最低でも3時間半、セキュリティチェックなどの時間を入れるとアウシュヴィッツ強制収容所への訪問には1日必要です。また時期によっては、ガイドツアーに参加しないと入場できないため、予めツアーで参加されることをおすすめします。

アウシュヴィッツ・ビルケナウ ナチス・ドイツの強制絶滅収容所 見るべきポイント2

アウシュヴィッツ第1強制収容所

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「働けば自由になれる」と書かれた門をくぐると、アウシュヴィッツ第1強制収容所の収容棟があります。ここには強制労働によって建てられた2階建ての28棟の収容所を建設。周囲は高圧電流の通った鉄条網が張り巡らされ、見張り塔が建てられています。

収容棟内には、人体実験が行われた実験施設、逃亡者や収容所内でレジスタンス活動を行った者に対して銃殺刑が執行された「死の壁」、アウシュヴィッツ最初のガス室などが一般に公開。さらに、ロープで絞首刑が行われた公開処刑場所や、死体焼却炉などが続きます。

また、犠牲者から奪われたおびただしい数の靴やメガネ、義手・義足、髪の毛なども展示。展示室には犠牲者の身分証明書や写真、旅行鞄やホロコーストの証拠となる写真や資料などもあり、想像を絶する光景です。

アウシュヴィッツ第2強制収容所ビルケナウ

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第2収容所ビルケナウは、アウシュヴィッツ第1収容所から3kmほど西にあります。ここには、バラックと焼却炉の瓦礫が残され、1967年には犠牲者の追悼のための国際受難記念碑が建てられました。

1941年に絶滅収容所として建設されたときは、東京ドーム約37個分の敷地に300以上の棟が並んでいました。ピーク時には9万人が収容されていて、そのほとんどがユダヤ人。第2収容所ビルケナウの象徴でもある「強制収容所内まで延びる鉄道引込み線」や、人体実験の施設でもあったとされる病院やガス室、防疫施設などがありました。

アウシュヴィッツ強制収容所に運ばれて来た人々は、「労働者」「人体実験の検体」「価値なし」などに分けられ、多くの女性や子供たちがガス室へ送られています。

注意事項

アウシュヴィッツはドイツ語で、ポーランドのオシフィエンチムという町にあります。そのため、公共機関でアウシュヴィッツへ行く際には「オシフィエンチム行き」になりますので、ご注意ください。

見学できる施設は、アウシュヴィッツ第1強制収容所と第2強制収容所ビルケナウの2ヵ所で、無料のバスで行き来ができます。第1強制収容は博物館のようになっているので、先に訪れるのがおすすめ。第2強制収容所ビルケナウは、広大な屋外施設の見学なので歩きやすい靴で行ってくださいね。

◎まとめ

アウシュヴィッツ・ビルケナウ ナチス・ドイツの強制絶滅収容所についてご紹介しました。戦争は世界中で現在も続き、多くは人種差別や宗教による考え方の相違が元になっているのではないでしょうか。過ちを繰り返さないためにも一人でも多くの方が、この世界遺産を訪れることを願っています。

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