ポーランドの世界遺産「ルネサンスの真珠」と呼ばれたザモシチ旧市街

「ルネサンスの真珠」とも言われる、ポーランドの世界遺産ザモシチ旧市街は、16世紀にポーランドの貴族によって作られた理想都市。ザモシチは、ポーランドの南東部にあり、首都のワルシャワからはおよそ250kmです。ポーランドの他の都市とは異なった佇まいを見せる世界遺産の街で、観光にもおすすめ。

世界遺産ザモシチ旧市街の隣には「自然の真珠」とも呼ばれるロストチェの景勝地帯や、貴重な史跡群で知られるルブリン市もあるので、観光しやすいですよ。ここでは、ザモシチ旧市街についてご紹介します。

ザモシチ旧市街とは?

ザモシチは、16世紀にイタリアへ留学していた大貴族ヤン・ザモイスキ公が造り上げた、ルネサンス時代の理想都市です。イタリア人建築家ベルナルド・モランドに設計を依頼し、何もない場所に20年をかけて宮殿や武器庫、市庁舎から広場に建ち並ぶ石造の集合住宅に至るまで、全てを建設。その完璧なまでの美しさは、「ルネサンスの真珠」とも呼ばれました。

世界的にも類を見ない都市計画と、高い歴史的価値を持つ美しい建築作品群が評価され、1992年にユネスコの世界遺産に登録されました。ザモシチ旧市街には教会やイタリア・ルネサンス様式で造られた建物などが残り、保存状態もよく400年前にできた街とは思えないほどです。

ザモシチ旧市街へのアクセス

ポーランドの定番観光地ワルシャワやクラクフから、世界遺産のザモシチ旧市街までは、列車やバスで片道5時間半以上かかります。また、ルブリンからザモシチまではバスで片道約1時間半～2時間。日帰り旅行も可能です。

ザモシチ旧市街おすすめポイント3

旧市庁舎

ザモシチ旧市街の中心、大市場広場には旧市庁舎があり、街のシンボルになっています。すらりと塔がそびえる美しい旧市庁舎で、18世紀後半にバロックとルネッサンスが融合した現在の形に再建されました。

旧市庁舎のある大市場広場は、1辺約100mの正方形で、イタリア建築特有のアーケードを持つ石造りの回廊に囲まれています。周辺には、1585年に移り住んだアルメニア商人のカラフルな邸宅が軒を連ねていて、まるでルネサンス時代にタイムスリップしたよう。また、旧市庁舎の隣には世界遺産ザモシチの歴史を学べるザモシチ郷土博物館があるので、ぜひ訪れてみてください。

要塞

ザモシチ旧市街の建設は、大砲が使われ始めた時代でもあったことから、最新技術を取り入れた要塞が造られたことでも知られています。世界遺産に登録されているザモシチは、コサックやモンゴル軍、スウェーデン軍などの攻撃から守るため頑丈な要塞が必要でした。

旧市街地全体を守るように7つの稜堡、3つの門、堀や湖が取り囲んだ防御システムがあります。1866年にほとんどが老朽化により取り壊されてしまいましたが、東側には今でも2つの稜堡が残されています。世界遺産のザモシチの都市ができた時代は、ヨーロッパ各地でバロック芸術やバロック建築が流行。そのような時代の中で、あえて古典古代を理想とするルネサンス様式の街を造ったことは、桃源郷を作りたいというザモイスキ公の強い思いが伺えます。

周辺のエリア

世界遺産であるザモシチ旧市街には、その他にも多くの見どころがあります。ザモイスキによって1598年に建てられた大聖堂は、華やかな内装で知られ、まるで16世紀のポーランドの大繁栄を象徴しているかのようです。ここのカテドラルには、ザモイスキが眠り、小塔からは世界遺産の街並みを見下ろすことができるので観光客にも人気。

またザモシチ旧市街は、その機能に応じて二つの地区に分けられていました。ザモシチ東側の商業地区には外国の商人なども住み、エキゾチックな雰囲気。西側の文教エリアには高等教育機関が築かれ、文化の香りが漂う街づくりが行われました。ザモイスキが作り上げた理想の都市をゆっくりと散策してみてださい。

◎まとめ

世界遺産のザモシチ旧市街は、大貴族が造り上げた理想都市。ルネサンス人にとっての理想都市とは、都市の機能を人体に対応させたもので、ザモシチ旧市街もザモイスキ広場は頭、グロツカ通りが背骨、南北方向に伸びる通りは肩にあてはめられていました。都市機能を果たす内臓としてはソルヌィ広場やヴォドヌィ広場があり、その様子は今もみることができます。ぜひ、ザモイスキ公が造った「ルネサンスの真珠」と呼ばれる街並みを、ゆっくりと街を散策してみてくださいね。

ポーランドの世界遺産「ルネサンスの真珠」と呼ばれたザモシチ旧市街