名称:Jewish Quarter and St Procopius' Basilica in Třebíč
住所:Trebic
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1078/
トジェビーチは、チェコで第2の都市ブルノから西へ約60kmの所にある町です。人口4万人弱の小さな町ですが、かつては南モラヴィアの町として栄え、キリスト教やユダヤ教が共存してきました。トジェビーチのユダヤ人街は、保存状態がとてもよく、ユダヤのことを知るための世界遺産としても、とても貴重な場所の一つとして有名。
チェコ最大規模のユダヤ人地区は、12世紀から始まり、その後は戦争や迫害により様々な歴史を乗り越えてきました。そんなユダヤの歴史や文化を感じる世界遺産、トジェビーチのユダヤ人街とプロコピウス聖堂をご紹介します。ぜひ、参考にしてくださいね。
目次
ユダヤの面影を残す世界遺産!トジェビーチのユダヤ人街とプロコピウス聖堂
トジェビーチのユダヤ人街とプロコピウス聖堂とは?
出典: Leonid Andronov/shutterstock
チェコの世界遺産としては、12番目に登録された「トジェビーチのユダヤ人街とプロコピウス聖堂」。トジェビーチが1990年に歴史保護区に指定された際に、チェコ最大規模のユダヤ人地区とユダヤ人墓地、そしてプロコピウス聖堂が保護区内に含まれました。その後2003年にトジェビーチのユダヤ人街とプロコピウス聖堂は、世界遺産の登録されています。
12世紀初頭、トジェビーチにベネディクト会の修道院が建設されました。13世紀にはユダヤ教徒が暮らすようになり、三十年戦争初期にカトリック系のシュミル・オフソキー・ヴァルトシュティンの領地となります。当時、ユダヤ人は迫害され職業も制限されていましたが、ヴァルトシュティンの妻がユダヤ人やプロテスタント教徒にも寛容だったので、平穏に暮らしていました。その後、第二次世界大戦にナチスによる迫害があり、この町に住んでいたユダヤ人はいなくなります。
プロコピウス聖堂は、ベネディクト修道院の一部として建築され、トジェビーチの歴史にも深く関わる建築物として、世界遺産に登録されています。
トジェビーチのユダヤ人街とプロコピウス聖堂へのアクセス
プラハから世界遺産トジェビーチのユダヤ人街とプロコピウス聖堂へはバス、鉄道ともにあります。鉄道は乗り換えが多いため、慣れない方はバスの方が便利でしょう。プラハからバスの場合はイフラヴァ(Jihlava)乗り換えが多く、所要時間は2時間半から3時間。
ブルノからは、バス、鉄道ともに直通で行くことが可能です。バスの場合は1時間15分程で、鉄道の場合はおよそ1時間15分から1時間40分。トジェビーチは小さな町なので、世界遺産も全て徒歩で周れますよ。ただし坂道が多いので、履きなれた靴での散策をおすすめします。
トジェビーチのユダヤ人街とプロコピウス聖堂のおすすめポイント3
ユダヤ人地区
19世紀初頭トジェビーチには、1170人以上のユダヤ人が暮らしていました。ユダヤ人は第二次世界大戦前までは、プロテスタントとも共存し平和に暮らしていましたが、ナチスによる迫害で多くの人がトジェビーチを離れます。300人程残った人々も全員がナチスによって強制収容所に送られ、戦後生き残っていたのは3人のみでした。
戦後はユダヤ人がいなくなりましたが、現在のユダヤ人地区は当時のユダヤの面影が残る学校、病院などの123軒の家屋が残されています。また、シナゴークと呼ばれるユダヤの会堂が二つあり、そのうちの一つが観光案内所。トジェビーチのユダヤ人地区は、ヨーロッパの中でもとてもいい保存状態のため、イスラエル国外でユダヤの文化財が単独で登録された初の世界遺産なので貴重です。
ユダヤ人墓地
出典: PHB.cz (Richard Semik)/shutterstock
トジェビーチの世界遺産はユダヤ人地区以外に、ユダヤ人墓地も世界遺産に登録されました。トジェビーチのユダヤ人墓地はチェコ最大級と言われ、3000から4000の墓地があり、ユダヤ人の家の紋章が墓石に刻まれています。
昔は別の場所にユダヤ人墓地がありましたが、15世紀半ばにハンガリーに破壊されたため17世紀に現在の場所に移されました。世界遺産に登録されているユダヤ人墓地は、トジェビーチの高台にあり、入口には20世紀初頭に建てられた「儀式の家」と呼ばれる葬祭場があります。1万人以上のユダヤ人が眠っているこの墓地には、戦争後この地に戻ってくることが出来なかったユダヤ人のための記念碑もあり、大勢の人が祈りをささげています。
プロコピウス聖堂
出典: Alisa Burkovska/shutterstock
世界遺産に登録されているトジェビーチのプロコピウス聖堂は、13世紀前半にベネディクト修道院の一部として建築されました。プロコピウス聖堂は、13世紀初頭に30年もの歳月をかけ造られたロマネスク様式の聖堂でしたが、15世紀以降のフス戦争、ハンガリー軍の侵攻によって大部分が破壊。その後18世紀にゴシック様式として改修され、現在の姿になっています。
ガイドツアーに参加すると、13世紀に描かれたという美しいフレスコ画や木造建築がある地下室が見られるのでおすすめ。また、プロコピウス聖堂の南側からはトジェビーチの街並みを眺められますよ。
◎まとめ
チェコの世界遺産、トジェビーチのユダヤ人街とプロコピウス聖堂をご紹介しました。トジェビーチは、ユダヤとカトリックという異なった宗教が共存しあっていた町。小さな町ですが、ヨーロッパの歴史上とても貴重な場所ではないでしょうか。戦争と平和について改めて考えさせられる世界遺産です。