中国の世界遺産まとめ|美しい山河がつくった4000年の歴史とは?

中国の世界遺産まとめ|美しい山河がつくった4000年の歴史とは?

中国の世界遺産についてご紹介します!

中国は世界で見ても有数の世界遺産を保有しており、最も多いイタリアに次いで2番目に多くの世界遺産があります(2023年現在)。長い歴史を持つ中国はどの世界遺産をとっても素晴らしいものばかりで、2000年経った現在も新たな史跡が発見されるなど魅力とロマンが尽きません。

中国の世界遺産と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 万里の長城、秦の始皇帝陵……このほかにも、中国にはたくさんの魅力溢れる世界遺産があります。本記事では中国の世界遺産を一挙に解説していくので、ぜひチェックしてみてください。

目次

中国の世界遺産まとめ|美しい山河がつくった4000年の歴史とは?

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中国の世界遺産1.万里の長城

中国 世界遺産 万里の頂上

1987年に文化遺産として登録された「万里の長城」は、中国を代表する世界遺産かつ人気の観光スポットです。世界最長の石垣は古代の防御壁で秦の始皇帝の時代に建設と言われていますが、実際は春秋・秦・漢・明の4つの時代にまたがって造られました。

やはり多くの王朝が国を守るために膨大な時間と労力をかけて造り上げたと考えると、中国の歴史の深さを実感します。

文字通り長い長城の中でも、一般的に観光客で賑わうのは八達嶺長城。万里の長城の中で定番の観光スポットです。八達嶺長城には観光客向けにロープウェイが整備されていたり、北京などからバスが発着しているのでアクセスもしやすいです。

他にも戦略的に重要だったため状態が良い慕田峪長城をはじめ、司馬台長城、金山嶺長城、嘉峪関なども多くの観光客が足を運びます。

なお、以前万里の長城の修復がコンクリートで行われたというニュースがありましたね。ニュースで報じられた長城は、比較的観光客が訪れないエリアなので、今回紹介しているスポットはこれまで通り観光を満喫することができますよ!

中国の世界遺産2.九寨溝の渓谷の景観と歴史地域

中国 世界遺産 九寨溝の渓谷の景観と歴史地域

「九寨溝の渓谷の景観と歴史地域」は1992年に自然遺産として登録されました。中国四川省北部のアバ・チベット族チャン族自治州九寨溝県にある渓谷です。

九寨溝の渓谷にある美しい湖が有名で、透明度の高い青い水が特徴。湖底には何千年にもわたる倒木を見ることができ、渓谷の景観の美しさを神秘的なものにしていますよ。九寨溝を代表する「海子」と呼ばれる池の一つ「五花海」は必見ですよ。

渓谷エリアには数多くのチベット族の集落があって見学可能です。また、ジャイアントパンダやキンシコウなどの希少動物が生息していることでも知られています。一度は観ておきたい絶景に数えられるのも世界遺産になるのも十分にうなずける、中国を代表する世界遺産観光スポットの一つです。

中国の世界遺産3.黄龍の景観と歴史地域

「黄龍の景観と歴史地域」は中国四川省北部のアバ・チベット族チャン族自治州松藩県にある棚田のような石灰岩層の神秘的な湖沼群。中国でも有数の景勝地として有名です。同じ年に世界遺産となった九寨溝の渓谷の景観と歴史地域の近くに位置します。

黄龍渓谷にある湖沼群は、石灰岩の層が棚田のようになっており、中国で唯一、良い状態で残っている高原湿地帯であるとも言われています。

たくさんある石灰華段の中でも黄龍最大の石灰華段である「五彩池」と2番目に大きく色彩鮮やかな「争艶池」は定番のスポット。ただし、美しい世界遺産「黄龍の景観と歴史地域」は標高が3,000mと高い地域にあります。高山病などには十分に注意して観光してくださいね。

中国の世界遺産4.ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群

中国 世界遺産 ポタラ宮

「ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群」は、1994年に世界文化遺産に登録されました。中国チベット自治区ラサにある「ポタラ宮」、「トゥルナン寺」、「ノルブリンカ」の3つに構成された世界遺産です。チベットの中心地ラサの北西にあるポタラ山に位置します。チベット仏教の総本山であるポタラ宮のポタラとは観音菩薩が住む山、補陀洛を意味し浄土であると考えられてきました。

ポタラ宮は白宮と紅宮に分けられます。白宮は政治的、紅宮は宗教的なエリアであるとされ、ダライ・ラマが政治と宗教の両方を司る場がポタラ宮です。

トゥルナン寺はチベット仏教徒が多く訪れる地で、五体投地やマニ車などを見ることができます。そして、ノルブリンカはダライ・ラマの避暑地。毎年8月にはチベット最大のお祭り「ショトゥン祭」が開催されています。

いずれもチベット仏教の聖地で、チベットの政治・文化の中心地。海抜3,700mにあるため中国で最も天に近い聖地とされています。現在でも中国や全国から熱心な信者が巡礼に訪れていますよ。中国世界遺産の旅でぜひこの天国に一番近い聖地を訪れてみてくださいね。

中国の世界遺産5.麗江旧市街

出典: en.wikipedia.org

1997年に世界文化遺産に登録された「麗江旧市街」。「麗江古城」とも呼ばれ、ナシ族という少数民族の住んでいます。ナシ族はトンパ文字という象形文字を現在も使用している民族です。現在も象形文字を使用しているのは、このナシ族のトンパ文字のみ。トンパ文字は世界記憶遺産にも登録されています。

麗江旧市街は中国雲南省麗江市に位置し、民族衣装を身にまとった少数民族ナシ族の都です。チベット族、漢民族などと良好な関係を築き約800年もの間、戦乱とは無縁でした。このことから美しい旧市街の景観を現在まで保ち続けているのです。

風光明媚なグレーの本瓦屋根の景観は有名です。中国の街は一般的に城壁が設けられていますが、ここには城壁はありません。その代わりに網の目のように水路が張り巡らされています。5,000m級の山々が連なる玉龍雪山からの雪解け水が豊富に湧き出し、隅々の水路まで送られます。ナシ族の文化に触れると、また違った中国を楽しめることでしょう。古くからの暮らしを大切にするナシ族の住む、水の都・麗江旧市街に訪れてみてください。

中国の世界遺産6.福建土楼

「福建土楼」は2008年に世界文化遺産登録されました。中国福建省南西部の山岳地域に点在する土楼群を指す世界遺産です。土楼とは中国北方からの移民・客家が一族で居住する集合住宅。円形、楕円形、方形などの様々な形をした巨大な要塞のような建物群が福建土楼です。

2m弱の厚い土壁を設け、3~5階建ての住宅を造り、そこに80家族以上が集まります。外敵の侵入を防ぐため入口は1つしか設けていません。

土楼は中央に中庭があって、共同の井戸や祖先を祀った廟があります。家畜が放し飼いにされ、中庭を囲むように瓦屋根の木造家屋が2重3重と建ちます。
福建土楼の特徴ある土楼に振成楼、承啓楼、裕昌楼、二宜楼などがあります。中国の大変ユニークな世界遺産の一つです。土楼に宿泊もできるので、世界遺産に宿泊してみるのも良い観光の記念となるでしょう。

中国の世界遺産7.北京と瀋陽の明・清朝の皇宮群

出典: commons.wikimedia.org

「北京と瀋陽の明・清朝の皇宮群」は故宮博物院と瀋陽故宮からなる世界遺産。1987年に世界文化遺産として登録されました。

かつては「紫禁城」と呼ばれ、明と清の24代にわたる皇帝がこの皇宮に君臨。世界最大の皇宮で現在は博物館として整備されています。天安門をはじめ、午門や乾清門など圧倒的なスケールの城門は見ごたえ抜群です。また、中国4000年の歴史の中で生まれた芸術作品などを展示し、その歴史と文化を学べます。

瀋陽故宮は清の前身・後金の皇宮。清の時代では離宮でした。大きさは紫禁城の12分の1とはいえ500部屋以上があって、114棟以上の建物が建ち並びます。瀋陽故宮には清王朝の文物や資料が保存されているので、中国の歴史に興味のある人にはオススメです!

中国の世界遺産8.峨眉山と楽山大仏

「峨眉山と楽山大仏」は1996年に世界複合遺産に登録されました。中国四川省楽山市にある峨眉山と楽山大仏が世界遺産に該当します。

四川省成都の西南にそびえる峨眉山は標高3,099mの山。古くから道教や仏教の聖地とされ、中国三大霊山および中国四大仏教名山に数えられてきました。報国寺、万年寺など26の寺が立ちます。万年寺には巨大な普賢菩薩像が見どころです。

峨眉山から約60km離れた岷江と大渡河の合流地付近、楽山の河岸には世界最大の磨崖仏である楽山大仏があります。 大仏は河の氾濫や水難事故を鎮める目的で建造されたもので、実に約90年の歳月をかけて完成されたものです。

高さ約71mの世界で最も高い石刻大仏です。重慶や四川省などの内陸部を観光するなら、峨眉山と楽山大仏はぜひ訪れておきたい世界遺産ですよ。

中国の世界遺産9.シルクロード : 長安=天山回廊の交易路網

2014年に世界文化遺産として登録された「シルクロード : 長安=天山回廊の交易路網」。シルクロードといっても「道」そのものではなく、シルクロード全体の一部、中国、カザフスタン、キルギスにまたがるシルクロード沿いに点在する遺跡群が世界遺産として登録されています。

シルクロードは中国特産の絹を西方へ運んだ交易路で、古くから東洋と西洋をつなぐルートでした。中国の長安からゴビ砂漠西端にあるキルギスまでゴビ砂漠一帯に点在している遺跡群は33の構成遺産からなり、石窟寺院や宮殿などが残っています。

シルクロードの総距離は9,000km近くになるので、どれか狙いを定めて訪れるといいでしょう。

中国の世界遺産10.周口店の北京原人遺跡

出典: commons.wikimedia.org

北京原人の頭蓋骨などが見つかった遺跡は、「周口店の北京原人遺跡」として世界遺産に登録されています。周口店の北京原人遺跡は、北京から南西に約50kmほど離れた周口店村の龍骨山という丘にあります。

丘の中腹から山頂にかけていくつかの発掘現場が見学できるようになっています。龍骨山はかつて中国漢方薬の原料となる動物の骨が採れる山として知られていました。

しかしスウェーデンの地質学者により化石の発掘調査が行われたところ、人類の臼歯らしき化石が見つかったのが遺跡発掘のはじまりです。その後付近からほぼ完全な形をした頭蓋骨が発掘し世紀の大発見となりました。

それは人類の祖先であるホモ・サピエンスとは異なる別種の旧人類とされ、北京原人と名付けられました。人類の進化の謎を紐解く鍵として貴重な発見であり、世界遺産に登録されるべき物件でしょう。

中国の世界遺産11.四川ジャイアントパンダ保護区群

出典: ja.wikipedia.org

「四川ジャイアントパンダ保護区群」は、中国・四川省内にある臥龍の他7つの自然保護区と9つの自然公園を指す世界遺産。東京の上野動物園でも見られるジャイアントパンダ。白と黒の配色とモフモフした動きが可愛らしいですよね。

ジャイアントパンダは発掘された化石から、300万年前とほぼ変わらぬ姿で生息していたと考えられています。かつては中国全土にいたパンダも毛皮目的の乱獲と開発のため激減してしまい、現在その数は約1,600頭と推定され、絶滅危惧種に指定されました。

推定頭数の30%以上にあたる約500頭が生息し、中国のマスコット的シンボルともいえるジャイアントパンダを救うため日々保護と研究が続けられているのです。また、パンダ以外にもレッサーパンダやユキヒョウなど貴重な動物も生息しています。豊かな生態系が保護されている「四川ジャイアントパンダ保護区群」に訪れて動物たちにを覗いてみましょう。

中国の世界遺産12.秦始皇帝陵及び兵馬俑坑

中国 世界遺産 兵馬俑坑

「秦始皇帝陵及び兵馬俑坑」は秦の初代皇帝である始皇帝の命で造られた大規模な陸墓と、その周辺を囲うように築かれた兵馬俑坑からなる世界遺産です。範囲はとても広く、兵馬俑坑のみで2万平方メートルもの規模となっています。

秦始皇帝陵は中国陝西省西安の驪山(りざん)北側にある中国史上初めての皇帝・始皇帝の陵墓。兵馬俑坑の他にも地下宮殿が確認されていますが、現在も調査が進められており全貌は未だにわかっていません。

兵馬俑坑は墳墓の副葬品として埋葬され、人間の形を模した陶製の像が並べられた空間です。総計すると陶馬が600体、武士俑は成人男性の等身大で約8,000体ほどあり、全てが東向きに置かれています。紀元前約200年前に作られたものとは思えないほど写実的で、どれも顔立ちが異なることからモデルとなる兵士がいたとも言われています。

始皇帝の絶大な権力や膨大な労力をはかり知ることができる世界遺産。万里の長城と合わせて観光すると、より中国の歴史やロマンを楽しむことができるでしょう。

中国の世界遺産13.マカオ歴史地区

中国の世界遺産

カジノで有名なマカオ。実はマカオの街並みは世界遺産に登録されています。「マカオ歴史地区」は中国の特別行政区に該当する30か所の建造物、広場などの古跡を含む地区一帯の世界遺産です。マカオはポルトガル植民地時代からの東西文化のユニークな共存する地域。そのため歴史的に価値のある建造物などを残っています。

その中には中国で最も古い砦と灯台も含まれています。有名なのは聖ポール天主堂跡ですが、その他の世界遺産もすべてマカオ半島の南西地区に集中してあります。香港から日帰り観光も悪くはないですが、見ごたえのある歴史的建造物をひとつひとつゆっくりと観光するのもいいかもしれません。

カジノの街、マカオで少しオシャレで知的な旅をしてみるのもいいかもしれませんね。

中国の世界遺産14.青城山と都江堰

都江堰

「青城山と都江堰」は山地・景勝地である青城山と、古代の水利・灌漑施設である都江堰からなる世界遺産です。2000年に文化遺産として登録されました。

青城山は中国四川省都江堰市の南西15kmに位置し、省都の成都からは70km離れています。一年を通して緑に覆われていることから、「青城山」と呼ばれるようになりました。青城山は前山と後山に分けられ、前山には道教にまつわるスポットが多く建福宮などの見どころがあります。後山は自然豊かな地域として知られ、五龍溝や泰安古鎮などの観光スポットがあります。

都江堰は岷江(みんこう)の灌漑として紀元前3世紀に造られました。岷江の流れを分ける都江堰によって、農業用水が確保されただけでなく、洪水を防止することができるようになりました。この都江堰による農業用水では今でも広く利用されており、古代の土木技術の高さや先人の努力が現在の暮らしを支えています。

四川省成都にはたくさんの観光スポットがあり、どれを観光しようか迷うかもしれません。その時はぜひ、世界遺産「青城山と都江堰」を観光プランに組み込んでみてはどうでしょうか。

中国の世界遺産15.大足石刻

大足石刻

「大足石刻」は中国重慶市にある北山、宝頂山、南山、石篆山、石門山の5か所の中国石刻芸術作品を指す世界遺産。石窟としては敦煌の莫高窟に続く2つ目の世界遺産登録です。仏教にまつわる石像が多く残され、中でも宝頂山にある釈迦涅槃像は31mにもなることから多くの観光客が写真に撮ったりしています。

仏像からは当時の生活にまつわるものもあって、当時の仏教的な価値観などを知る上で貴重な芸術作品です。 中国の石刻芸術の最もすぐれたものとして、末期の中国石窟芸術を代表する中国三大石窟「雲崗石窟」、「龍門石窟」、「莫高窟」と遜色ない石窟です。

中国の世界遺産16.平遥古城

平遥古城

「平遥古城」中国山西省晋中市平遥県の古い城塞都市を指す世界遺産。中国国内において、保存の状態が最もよい明清時期の城郭都市です。

もともと交通の要衝にあったため金融業で繁栄していましたが、革命の動乱によって没落。都市の近代化が行われないまま現在に至るので、当時の趣を残した都市として多くの観光客が訪れています。

平遥古城は明代に築かれたレンガ造りの城壁が街を取り囲む城壁都市です。城内に入る門は、南北に各1か所と東西に各2か所の計6か所のみです。

おすすめは北側の拱極門から入り、城壁の上に登ってみること。城壁が街をぐるりと取り囲んでいるのがよくわかります。商業施設や役所、市場などの位置が当時のままに保存され、現代においても都市としての機能を十分果たしている珍しい都市です。

城内の大通り「南大街」は古くから続く商店街、通りから少し外れると「四合院」という中国北部の伝統的建築様式である民家が軒を連ね、まるで時代劇のセットのようです。
夜にはライトアップされ、幻想的でありながらノスタルジックな風景に。お店も夜までやっているので、夜の平遥を楽しむのもオススメの観光の楽しみ方です。

中国の世界遺産17.武当山古建築

1994年に世界遺産に登録された「武当山古建築」は湖北省十堰市に位置します。「武当山古建築」とは武当山に残る130か所ほどの道教の寺院である道観群と建物群を指します。

中国・香港・台湾・米国の合作映画『グリーン・ディスティニー』の舞台となった地でも有名な武当山は道教の聖地です。昔から仙人を目指す人々が隠棲した場所でもあります。

今にも仙人がひょいと出てきそうな雰囲気があり、興味をそそられます。もっとも興隆した明朝の時代には、この地に500もの建物がひしめいていたといい、今でも130か所ほどの古建築が残っています。

中国の世界遺産18.莫高窟

「莫高窟」は1987年に世界文化遺産に登録されました。中国で初めて世界遺産登録された石窟で、世界文化遺産の6つの登録基準をすべて満たす百点満点の世界遺産でもあります。

このような世界文化遺産は、数ある中で莫高窟と「ヴェネツィアとその潟」のみ。龍門石窟、雲崗石窟と並び、中国三大石窟の一つに数えられており、いずれも世界文化遺産です。

莫高窟は、敦煌市の有名観光スポット・鳴沙山の東の断崖に南北に1600km渡って掘られた600あまりの洞窟によそ2400を超える仏塑像が安置されています。現存する世界最大規模の仏教遺跡です。洞窟の壁には、一面壁画が施され、その色鮮やかな芸術は、今もなお美しさを放ち続けています。

総面積45,000㎡にも及ぶ莫高窟。中国を代表する世界遺産の一つですので、ぜひ訪れてみてください!

中国の世界遺産19.曲阜の孔廟・孔府・孔林

孔廟

「曲阜の孔廟、孔府、孔林」は1994年に文化遺産として登録されています。中国山東省曲阜にある孔廟、孔林、孔府は3つ合わせて「三孔」と称され、歴史的に貴重な史跡を指す世界遺産です。この地は儒学の開祖である孔子の出身地であり、これらの史跡はすべて孔子にゆかりのあるものです。孔子は春秋時代の中国の思想家で哲学者、儒家の始祖でもあります。

孔廟は孔子の神霊を祀る霊所のことをいい、中国三大宮廷建築の一つです。孔府は、孔廟の東側にある建物で、孔子の子孫が代々暮らした邸宅。孔林は孔家代々の墓地で、広い敷地を誇ります。

中国の歴史や文化に大きな影響を与えた儒教。その影響は朝鮮や日本にも及びました。その儒教を考え出した孔子にまつわる史跡を訪ねてみてはどうでしょうか。

中国の世界遺産20.蘇州古典園林

「蘇州古典園林」は中国江蘇省蘇州市にある歴史的な庭園の総称を指します。蘇州古典庭園ともいわれ、1997年に4か所の庭園が登録され、そして2000年には5か所が追加登録されました。
蘇州古典園林には9つの庭園があって、中でも滄浪亭、獅子林、拙政園、留園は合わせて蘇州四大園林と呼ばれています。さらに蘇州拙政園と留園は中国四大名園でもあります。

拙政園は池がその約6割を占め、典雅な楼閣が彩りを添える蘇州最大の庭園です。水と緑と風情のある建物に囲まれると心も落ち着くでしょう。

蘇州市は長江の流れる街。美しい庭園は古来から水の街として発展した証拠です。忙しない中国観光も、世界遺産の蘇州古典園林で一息ついてみてはどうでしょうか。

中国の世界遺産21.承徳の避暑山荘と外八廟

承徳の避暑山荘と外八廟

「承徳の避暑山荘と外八廟」は1994年に世界文化遺産として登録されています。中国で現存する最大の皇室御苑と、それを取り巻く寺廟群を指す世界遺産です。北京から北東へ約230km中国河北省承徳市に位置し、かつての清の皇帝が夏の離宮として利用したもので別名「熱河行宮」 とも呼ばれています。

「承徳の避暑山荘」は宮殿区と苑景区とに分かれていて、苑景地区の面積は山荘の8割を占め、江南の景勝を真似て作られています。庭園の中には「熱河」という地名の由来となった熱河泉という温泉の跡も残されています。

「外八廟」は主に清朝が尊重したチベット仏教の寺院です。普陀宗乗之廟は外八廟のうち最も大規で中国チベット自治区ラサにあるポタラ宮を模して作られたため、小ポタラ宮と呼ばれています。北京の祈年殿に似た「普楽寺の旭光閣」、高さが22mほどある世界一の木彫仏像のある「普寧寺の大乗之閣」などが見どころです。

満州民族の王朝である清が、漢民族やチベット民族などの文化を寛容に取り入れた姿を垣間見えることができる「承徳の避暑山荘と外八廟」。皇帝の気分を少しでも味わうために訪れてみませんか?

中国の世界遺産22.天壇::北京の皇帝の廟壇

「天壇」は中国北京市東城区に位置する、明や清の皇帝が天に対して祭祀を行った神聖な場所の史跡。中国で現存する最大の祭祀建造物です。北京のシンボル的な存在でもあります。代表的な建物である圜丘壇(えんきゅうだん)は、大理石の三層の円がユニークな建物ですが、宇宙の中心をかたどったと言われています。祈祷殿では天を祭り、五穀豊穣を祈りました。

当時はとても神聖な場所とされていたため一般人は立ち入り禁止でしたが、現在では天壇公園として一般に開放され自由に見学できます。中国の北京観光では外せない有名観光スポットです。天壇は中華思想や皇帝の役割を知ることができる世界遺産となっています。

中国の世界遺産23.廬山国立公園

出典: commons.wikimedia.org

「廬山国立公園」は別名匡山(きょうざん)または匡廬(きょうろ)といい、中国江西省九江市にそびえる仏教霊山です。1996年に世界文化遺産として登録されました。

殷周の時代に匡という苗字の7兄弟がいて、この地に粗末な小屋を建てて住んだのち仙人になり、小屋は匡山になったという言い伝えがあります。山の前身は小屋でした。

廬山国立公園内にいくつかある滝の総称「廬山瀑布」は、中国屈指の美しさを誇ります。そして「廬山別荘群」は蒋介石や毛沢東、周恩来などの有名人の別荘群で、中でも蒋介石の別荘「美廬別荘」は必見です。
かの蒋介石と周恩来の国共合作に関する交渉がこの美盧別荘で行われました。他にも北宋の時代の6大書院のひとつ白鹿洞などがあります。

中国国内有数の避暑地である廬山国立公園は、 自然と仏教や道教の建物がおりなす美しい風景が評価された世界遺産です。

中国の世界遺産24.頤和園

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「頤和園」は中国北京市海淀区にある中国屈指と称される名園。1998年に登録され、今も多くの人々が訪れる北京の人気世界遺産です。中国観光の有数な観光スポットの一つである頤和園は、清の最盛期の皇帝である乾隆帝が母の還暦を祝い「清漪園(せいいえん)」という名で作りました。

この当時の頤和園は現在に比べ規模は小さく、第二次アヘン戦争によって消失しました。その後、西太后の隠居所として光緒帝により頤和園は再建。清の軍隊に使うはずの予算が再建費用として使われたため、清の財政難を加速させました。清王朝が幕を閉じてからは、中華民国さらには中華人民共和国に接収され、現在のように公園として一般公開されています。

人工湖である昆明湖には美しい橋が架けられ、湖畔には仁寿殿や玉瀾堂、楽寿堂など大小様々な中国風建築があります。頤和園のシンボル仏香閣、昆明湖北岸に沿って伸びる乾隆帝の散歩道、長廊、皇帝が最も愛した場所と言われた蘇州街、西太后がお気に入りの清晏舫などが見どころです。

中国四大名園と謳われる頤和園は清の歴史に深く関わる場所。その美しい景色を眺めながら、激動の時代を生きた人々に思いを馳せてみてはどうでしょうか。

中国の世界遺産25.安徽南部の古村落-西逓・宏村

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「安徽南部の古村落-西逓・宏村」は中国の穏やかな村の暮らしを知ることができる世界遺産。かつての村のかたちを残していることが高く評価され、世界遺産に登録されました。

西逓(せいてい)は15世紀に村の建設が始まり、18世紀から19世紀にかけて繁栄しました。交通の要衝であったことから村の中央には大きな道路があって、その道路と他の道路を繋ぐ路地が張り巡らされています。現在でも明清に建設された建物が観光用として公開されていますよ。

宏村(こうそん)の特徴は古い町並みだけではなくその水路にあります。南湖を中心に村には水路があり、水と共に生活する様子をみることが可能です。南湖に面する大規模な住宅は芸術的な価値が評価されました。また、宏村は中国各地からの写生家が集まる中国画里郷村と言われています。

中国の世界遺産26.武夷山

「武夷山」は中国福建省北部武夷山脈の山々などからなる世界遺産。美しい自然があるだけではなく道教の聖地でもあることから、世界複合遺産に登録されています。武夷山は峡谷や渓流、赤色砂岩の岸壁などにより構成されている山岳地帯。以前から山水の名勝地として有名です。九曲溪は武夷山の合間を縫う渓谷で、9kmほどを筏で下ることができます。そびえる岩山は圧巻の景色です。

この地が原産の武夷岩茶は、岩に張り付くように育つ茶葉から作る烏龍茶で香りと味が良い最高級品とされています。燻香の独特なフレーバーのラプサン・スーチョン紅茶も有名です。世界遺産観光の息継ぎにお茶を堪能するのもいいでしょう。

中国の世界遺産27.黄山

「黄山」は1990年世界複合遺産に登録されました。道教の聖地で多くの芸術作品の題材にされているという文化的側面と、氷河と風化によって作り出された特異な地形を持つ自然的側面から世界自然遺産と世界文化遺産の両遺産が複合遺産として同時に登録されました。

これは中国国内で泰山に続く2番目の快挙です。2004年には世界初の世界地質公園に認定されました。中国安徽省に位置する黄山は「天都峰」や「蓮花峰」、「光明頂」、その他複数の峰から成る山岳地帯です。「黄山の四絶」とは黄山の4つの見どころを指す言葉で黄山松、奇岩、雲海、温泉があります。特に黄山の雲海は特に美しく有名です。

「黄山を見ずして山を見たというなかれ」といわれるほど、中国人の心を掴んで離さない黄山。水墨画などに描かれたその風景を訪れてみませんか?

中国の世界遺産28.泰山

「泰山」は1987年に世界複合遺産に登録されました。登録された年は世界複合遺産というカテゴリーがなかったため、世界文化遺産と世界自然遺産の2種類が同時に登録された世界初の複合遺産です。後に黄山が世界複合遺産に登録される快挙を果たし2大快挙となりました。

泰山は中国五岳の長と言われている名山。皇帝が天と地に感謝を表す場として、神聖な場とされてきました。山麓ある泰山府君を祀った岱廟があって、庶民からも深く信仰されています。この岱廟の正殿・天貺殿は中国三大建築の一つです。山頂にある玉皇廟まではおよそ7,000段もの階段が続きます。現在はロープ―ウェイがあるので観光の際も安心です。

中国の世界遺産29.新疆天山

「新疆天山」は2013年に世界自然遺産に登録されました。中国、キルギス、カザフスタンなどにまたがる世界有数山系の天山のうち、中国新疆ウイグル自治区に属する4つの地区、ボゴダ、バインブルク、クエルデニンとカラジュン、トムールの天山山脈を指す世界遺産です。

世界七大山系の一つに数えられている天山は、温帯乾燥地域の山脈群、世界最大の東西走向の独立山脈です。豊富な動植物が生息していて、絶滅危惧種の動植物も多数います。生態系の保護も重要な観点となる、雄大な自然が美しい世界遺産です。

中国の世界遺産30.澄江の化石産地

出典: commons.wikimedia.org

「澄江の化石産地」は中国雲南省澄江県にある化石が出土する地域を指し、中国で初めての化石に関する世界遺産です。澄江の化石産地からは、生物の進化をたどる上で重要な時代と考えられているカンブリア紀のものと推定される化石が多数発見されました。

ここから発掘される化石は恐竜などよりももっと古い時代、生物が爆発的に進化したとされるカンブリア紀、先カンブリア紀末期のもので、なんと約5億年前という気が遠くなりそうなほど古い時代のものです。

当時の地球には地上がなく、すべて海に覆われており、暖かな環境であったと考えられています。澄江の化石出土地域も現在は中国西部の山の中ですが、すべて海の底だったということです。太古の中国の様子を今に伝える世界遺産「澄江の化石産地」。昆明などを訪れた時にはぜひ足を運んで見てください!

中国の世界遺産31.中国丹霞

中国丹霞は赤い堆積岩による地形で、その珍しい景色から世界遺産に登録されました。中国各地にこのような地形は丹霞と呼ばれますが、それが顕著に見られる中国南方の湿潤地域の6か所9件が登録されました。

貴州省、福建省、湖南省、広東省、浙江省、江西省の6か所のうち、貴州省の赤水丹霞、福建省の泰寧丹霞、湖南省の莨山丹霞、広東省の丹霞山、浙江省の江郎山、江西省の竜虎山などがが主要です。これらの箇所にある丹霞は、それぞれ特色を持っていて形成期毎の特徴を見ることができます。中国のグランドキャニオンとも称される丹霞は、一度は観ておきたい絶景スポットですね。

中国の世界遺産32.三清山国立公園

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「三清山国立公園」は壮大な自然環境の演出する美しさで知られる世界遺産です。また、中国の名勝にも指定されている 玉京峰、玉華峰、玉座峰の3つの峰からなる国立公園でもあります。

三清山国立公園は江西省の東部にある道教ゆかりの山・三清山が国立公園に指定されています。道教においてとりわけ尊い存在であると考えられている「元始天尊」、「霊宝天尊」、「道徳天尊」という三人の神様がいるとされたのが「三清山」の名の由来です。

中国の世界遺産33.雲南の三江併流保護区

「雲南の三江併流保護区」は、雄大な自然風景の中を3本の川が交わることなく平行に流れている一帯を指す世界遺産。雲南省西北部の地域に位置します。長江上流の金沙江、メコン川上流の瀾滄江、サルウィン川上流の怒江の三つの河が約170kmも併行して流れ、合流しないという世界でも唯一の奇観を呈しています。

高山峡谷、雪峰氷河、高原湿地、森林草地、淡水湖といったなど多様な地形・地質が広がる絶景には中国全土の動物種の25%以上も生息しているんですよ。この地域にはチベット族など16の少数民族の合同居住地で、他ではあまり見ることのできない珍しい多民族、多言語、多宗教と多風俗の共存する地でもあります。中国の秘境中の秘境にある世界遺産で、そこでしかできない体験をしてみてはどうでしょうか。

中国の世界遺産34.中国南方カルスト

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「中国南方カルスト」は中国南部に広がる複数のカルスト地形をまとめて登録したのものです。当初、2007年に雲南省石林や貴州省茘波(れいはい)、重慶の武隆が世界遺産に登録されました。その後2014年は桂林などのカルスト地形も追加登録されました。

「中国南方カルスト地形」の特徴は、まさに「石の柱」ともいうべき石灰岩の形状。自然の力によって生まれたとは思えないほど、林のようにたくさんの岩がそびえたち、観光に訪れた人々を魅了します。昆明や澄江などを観光するなら、ぜひ、「中国南方カルスト」にも訪れてみてください!

中国の世界遺産35.武陵源の景観と歴史地域

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「武陵源の景観と歴史地域」は中国湖南省の天子山自然保護区、張家界国家森林公園、索溪峪自然風景区、楊家界自然風景区といった自然保護区や自然公園などの区域を武陵源としてまとめた世界遺産です。中国有数の広大な風景区である武陵源の景観と歴史地域は、険しい山岳地帯でたやすく人が立ち入ることができなかったために、手つかずの大自然が残っています。

氷河期を生き抜いた古代樹をはじめ3000種あまりの植物や、絶滅危惧種などの希少動物も多く生息しています。中でも張家界の石柱が林立している風景は多くの人々に感動を与えます。容易に訪れることができないからこそ、その風景に心動かされることでしょう。また、観光客があまり多くないので、満足するまで楽しめることができます。

中国の世界遺産36.大運河

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2014年に世界遺産に登録された「大運河」。中国の大都市北京を北端、天津、河北、河南、山東、安徽、江蘇、浙江の6省2市を通り、杭州を南端としています。この運河は歴代の王朝が工事を継続したことで完成しました。

海河、黄河、淮河、揚子江、銭塘江五大水系と繋がって、両岸の関連遺跡は58カ所にもおよびます。運河の両岸に絵画や詩の世界のように美しい風景が広がるので、眺めると心もリラックスすることでしょう。今もなお人々の生活の要である大運河。世界遺産と暮らす人々を訪ねて中国を観光してみませんか?

中国の世界遺産37.紅河哈尼棚田群の文化的景観

「紅河哈尼棚田群の文化的景観」は中国で初めて「哈尼(ハニ)」という民族名が名づけられた世界遺産でもあります。中国雲南省には、紅河ハニ族イ族自治州と呼ばれる区域が存在します。この自治州の名称にもある「ハニ族」と呼ばれる民族は、長い歴史をかけて大規模な棚田が拡がる景観を造りだしてきました。麓から標高1,800mまで分布する棚田の景観は、壮大で見事なものです。

紅河哈尼棚田への旅行は、11月から翌年の4月までがベストシーズンとされます。この時期は、棚田には作物がなく棚田の水面が輝き神秘的な美しさが臨めるからです。ぜひこの時期にお出かけになってみませんか?

中国の世界遺産38.上都遺跡

「上都遺跡」は2012年に世界文化遺産に登録されました。モンゴル帝国の第5代フビライ・ハーンによって築かれた中国に現存する中で一番規模が大きい古代都の遺跡を指す世界遺産です。上都と呼ばれモンゴル帝国内の数ある都市の中でも、とりわけ重要な役割を担い栄えてきました。

当時上都は現在の北京である大都と並ぶ元の二大都市でした。中国だけではなく世界の政治や経済、軍事および文化の中心となっていて、国際性豊かな大都市は世界に広く知れ渡り、ユーラシア大陸にも大きな影響を及ぼしたとされています。

現在この場所には建物など何一つ残っておらず、礎石などの痕跡が残るのみです。しかし騎馬民族のモンゴル族が、農耕民族の漢民族と調和する地として、歴史的な価値は高いです。

中国の世界遺産39.杭州西湖の文化的景観

「杭州西湖の文化的景観」は、中国東部の浙江省にある西湖と西湖周辺の歴史的な建築物からなる調和のとれた美麗な風景地区を指す世界遺産です。松尾芭蕉の奥の細道でも登場する西湖。その美麗さは古くから日本にも伝わっていました。松島の美しさを表現する部分で、中国の洞庭湖、西湖にも劣らないと述べられています。

中国には美しい風景区がたくさんありますが、とりわけ西湖は抜群の美しさを誇るスポットとして有名です。中国国内外で西湖の美しい景色を模して作られた湖まであるほど。国から「旅行景区」にも指定されているので、多くの観光客が毎年訪れています。世界遺産にも登録された美麗な風景を堪能しに杭州西湖に出かけてみませんか?

中国の世界遺産40.天地の中央にある登封の史跡群

「天地の中央にある登封の史跡群」は古来から中国で考えられた中華思想にまつわる世界遺産です。中華思想とは中国が天地の中心であり、さらにその中心にあるのが中原だという考え方です。この中原はおよそ河南省にあり、現在その中原に残る史跡が「天地の中央にある登封の史跡群」として多くの人が訪れる観光地になっています。

この世界遺産の中心的存在、嵩山(すうざん)の周辺には道教や仏教、儒教に関する建築物が残っています。中でも少林寺は日本の寺院とは異なるインドを思わせる雰囲気が漂い、独特な感覚を味わうことができます。

また、周公測景台は周公が日陰の長さを調べたと伝えられるスポットです。中華思想と為政者との関係を知ることができる観光スポットなので、中国古代史に興味のある方にオススメの観光スポットです。

中国の世界遺産41.五台山

中国山西省にある山岳寺院群を指す世界遺産「五台山」。中国三大霊山の一つで、中国仏教の聖地であると共にチベット仏教の聖地でもあります。約50の寺院があり、有名なのは顕通寺、塔院寺、菩薩頂、黛螺頂、万佛閣など。特に四大菩薩と釈迦像が安置された白塔がそびえる塔院寺は観光客に人気の寺院です。

かつて日本からも遣唐使などで多くの修行僧が学んだ場所でもあろう五台山。ぜひ足を運んでみてはどうでしょうか。

中国の世界遺産42.開平楼閣と村落

「開平楼閣と村落」は2007年に世界文化遺産として登録されました。中国広東省の開平市にある村落にある中国と西洋の建築様式が混在する高い楼閣群と、周りの自然が調和した文化的景観からなる世界遺産です。開平市に残る楼閣は、現存するものだけで1800棟を超えますが、そのうち三門里、自力村、馬降龍、錦江里の4村20棟が世界遺産の登録対象になっています。

開平楼閣は世界的にも珍しい歴史的高層建築で貴重なものです。これらが建築されはじめたのは明時代と言われています。高い楼閣は盗賊や水害から守るためとされ、古代ギリシャ、古代ローマ、イスラムなどの建築様式が採用されていますが、それらがうまく周りの景色と調和しているのが見どころです。

中国の世界遺産43.殷墟

「殷墟」は紀元前の中国で繁栄したと考えられている中国最古の王朝、殷王朝時代の建造物を指す世界遺産です。殷墟に人が生活していたのは今から約3300年前、日本では縄文時代にあたります。 前世紀になって発掘されたこの遺跡からは、多くの文字が刻まれた大量の甲骨片、青銅器、玉器などの文物が出土している他、街や宮殿、墓のあとも発掘されました。

さらに車輪を用いた車と道路の跡も発掘され、世界で最も早く車を利用していた証拠が見つかっています。このことから各方面での技術が高度に発達していたことを示す貴重な文化遺産となりました。 太古の歴史に思いを馳せに殷墟まで足を延ばしてみませんか?

中国の世界遺産44.高句麗前期の都城と古墳

「高句麗前期の都城と古墳」は、中国吉林省集安市を中心に分布する高句麗前期の都城と古墳の遺跡群を指す世界遺産です。北朝鮮の高句麗古墳群も同時に世界文化遺産に登録されています。五女山城、丸都山城、国内城の3つの都城と洞溝古墓群と呼ばれる王族、貴族らの古墳群が登録の対象となっています。五女山城は桓仁県、丸都山城と国内城は集安市にあります。

この「高句麗前期の都城と古墳」が世界遺産に登録されるのには、画家の平山郁夫が中朝の間を取り持ったことが大きく関係しています。高句麗と深い関わりのある日本だからこそ、ぜひ訪れてみたい世界遺産ですね!また、集安市内には五女峰や瑠璃洞という鍾乳洞などの美しい自然も溢れていますよ。

中国の世界遺産45.雲崗石窟

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「雲崗石窟」は山西省北部の大同市から西へおよそ16kmにある武周山南麓に建造されている北魏時代の複数の石窟寺院を指す世界遺産です。雲崗石窟は、龍門石窟、莫高窟と並び、中国三大石窟の一つに数えられていて、いずれも世界文化遺産です。

雲崗石窟は東西16kmにわたり、現存するだけでも大小あわせて252か所の洞窟、5万1千体あまりの石刻像が残っています。石仏は最大17mから最小2mmで、見事な彫刻が施されています。また、石窟の壁面などには、楽器、舞踊、衣装などの装飾彫刻が施されており、当時の社会生活を垣間見ることができます。

見どころは雲崗石窟の中で最初期に造営された「曇曜五窟」と呼ばれる第16~20窟。「曇曜五窟」は雲崗石窟の中でも最初期に造られたもので、インドの仏教芸術だけでなく、ギリシャの芸術などを取り入れ、西方文明との交わりを示しています。

中国の世界遺産46.明・清王朝の皇帝墓群

「明・清王朝の皇帝墓群」は中国の王朝の中でも明や後金、清の皇帝たちの陵墓です。規模の大きさや中華思想などの文化が凝縮されている点が評価され、世界遺産に登録されました。

北京郊外の明の十三陵、河北省の清の東陵、清の西陵、遼寧省の北陵、東陵、永陵、江蘇省の明の孝陵、明の祖陵、湖北省の明の顕陵が登録の対象となり、2000年から2004年にかけて追加登録されています。明の十三陵の方が規模が大きく明・清王朝の皇帝墓群の最大の見どころでもあります。中でも万暦帝の眠る定陵は、発掘が行われており、副葬品を見学できる他、「地下宮殿」と呼ばれている墓室の中に入れますよ。

中国の世界遺産47.龍門石窟

「龍門石窟」は河南省洛陽市の南方約14km、伊河の両岸約1kmにわたる龍門山(西山)と香山(東山)にある石窟寺院群を指す世界遺産。「莫高窟」、「雲崗石窟」と並び、中国三大石窟の一つに数えられていて、いずれも世界文化遺産です。

約2,100の石窟、仏龕と10万ほどの大小の仏像、碑文3,600あまりがぎっしりと並ぶ龍門石窟の中で特に有名なのは、香山にある奉先寺洞で、龍門石窟最大の石窟には則天武后をモデルにしたといわれる高さ17mの廬舎那仏が安置されています。伊河から見える岩壁に無数の石窟が広がる様子は不思議な光景です。中国三大石窟を巡り、仏教芸術に触れる旅というのもいいですね。

中国の世界遺産48.土司の遺跡群

「土司の遺跡群」は中国湖南省、湖北省、貴州省の3省に交わる武陵山地区に分布する遺跡群の総称。土司とは中国王朝が少数民族の首長に与えた官職を指し、南部の少数民族を統治する役割がありました。この土司の制度は、他民族を抱える中国の統一を図る重要な制度とされています。ユネスコでは、この土司制度は少数民族の文化を守りながら、同じ国家として統治する制度だとして、高く評価されました。

その土司の遺跡群は少数民族統治の歴史を物語る上でとても重要なものです。湖南永順老司城遺跡は中国国内で最大規模かつ最古で保存状態も最良と言われています。少数民族の歴史や文化を知るために、土司の遺跡群を観光してみてはどうでしょうか。

中国の世界遺産49.湖北の神農架

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「湖北の神農架」は、2016年に登録された比較的新しい世界遺産。しかし、その魅力は他の世界遺産に劣りません。湖北の神農架中国国内で唯一「林区」として指定されている神農架のモミ属の原生林を含む広大な森林地帯が対象の世界遺産です。

広大な林区は独特な地形で落葉広葉樹林、常緑広葉樹林、常緑針葉樹林、針広混交林など様々なタイプの森林地帯があります。神農架は野生動植物の宝庫。特に植物の多様性が世界的にも広く知られています。また孫悟空のモデルにもなったといわれるキンシコウやオオサンショウウオ、ウンピョウなど数多くの固有種、絶滅危惧種動物も生息しています。

中国の世界遺産50.左江花山の岩絵の文化的景観

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「左江花山の岩絵の文化的景観」は広西チワン族自治区にある左江とその支流の明江、両岸の断崖に描かれた岩絵を指す世界遺産です。左江周辺流域では89ヵ所、絵の総数は5000点以上あります。

色鮮やかな岩絵群はほとんどが人物像。当時の人々の営みを知ることができる貴重な手がかりとなっています。この岩絵はチワン族の祖先である駱越人によって描かれたもので、2000年以上も経っています。これだけ長い期間を経ても色褪せないのはなぜなのか、どのようにして岩壁に絵画を描いたのかなどまだまだ解明されていないこと多い世界遺産です。

中国の世界遺産51.歴史的共同租界、鼓浪嶼

「歴史的共同租界、鼓浪嶼」は福建省廈門市にある島コロンス島の意味です。ここは共同租界として多くの国の文化が流れ込みました。そのコロンス島の建築物や都市計画が高く評価され、2017年に世界文化遺産に登録されました。

島内にはオランダやスペインなどの領事館が今も残っていて、租界時代の景観を今に伝えています。また、日光岩からは廈門市を望むことができ、すさまじい発展を見せる中国の姿を眺めることができますよ。激動の歴史が生んだ美しい景観を眺めめにコロンス島に訪れてみませんか?

中国の世界遺産52.青海可可西里(フフシル)

「青海可可西里(フフシル)」はチベット北部と青海省南部にまたがる世界遺産です。人が居住したりしないため、手つかずの自然がほとんど完璧な形で維持されています。そのため、200種を超える動物や生息し、多様な生態系と自然美が評価され世界自然遺産に登録されました。

標高4000mを超える高原地帯は日常を忘れさせるほど広大。青々とした大地は人々の心をリラックスさせます。容易にアクセスすることはできないですが、広すぎる秘境・フフシルに訪れてみてはどうでしょうか。

◎中国の世界遺産まとめ

古代文明以前の地球の歴史が分かる観光スポットから、文明の交流を知ることができる観光スポットまで幅広く各地に点在していました。全部の観光地を一気に訪れるのはもちろん難しいです。そのため、オススメはまず自分の興味のあることをテーマにして観光すること!

すると次第にいろいろなことに好奇心が湧くかもしれません。訪中の際、さまざまなテーマに沿って世界遺産をピックアップして訪れましょう。中国は無限の魅力を秘めた国です。

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