世界遺産数もトップ10!超大国ロシアの全26の世界遺産

画像出典:Baturina Yuliya

世界遺産数もトップ10!超大国ロシアの全26の世界遺産

北アジアから東ヨーロッパの広大な土地に広がるロシア。11もの異なる標準時間があり、人口は約1億5千万人。様々な人種で成りたつ超大国です。
また、その豊富な資源も有名です。天然ガスや原油の埋蔵量は世界最大規模、そのほかにもロシアは石炭や鉱物など様々な資源を持っています。数少ない核保有国の一つでもあり、世界最大の大量破壊兵器保有国でもあります。軍事、エネルギーに関して向かうところ敵なし!といった様相のロシアですが、実は世界遺産の所有国としても世界第9位と、文化的にも大変豊かな国です。

今回は現在ロシアにある16の文化遺産及び10の自然遺産を全てご紹介します!

目次

世界遺産数もトップ10!超大国ロシアの全26の世界遺産

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1. サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群

出典: ja.wikipedia.org

ロシアの代表的な世界遺産といえば、まず思いつくのが古都サンクトペテルブルクではないでしょうか?エルミタージュ美術館やロシア美術館、数々の大聖堂、エラーギン宮殿など、誰もが何かで一度は見たことのある代表的な建物が数多くあり、美の宝庫と呼ばれています。

ロシアの世界遺産として登録されているのは実は豪華絢爛なサンクトペテルブルクの建物だけではなく、郊外の街や建造物まで広範囲に渡っているんです!ピョートル大帝が築いた人工都市は、300年以上の年月を経てもいまだ風格を放っています。

その中には「クロンシュタットの反乱」で有名なクロンシュタット、ロシアの偉大な詩人の名を冠するプーシキン、ハヴロフスクなどの街とその宮殿や庭園、建造物、著名人の邸宅、ネヴァ川、森、モスクワ街道やキーウ街道などの道路、航路など数え切れないほどの指定地域があります。聞いただけでお腹いっぱいになりそうなほど見所いっぱいでなんて贅沢!ロマノフ朝の栄華、偉大なるロシアの片鱗をぜひ感じてください!

2. キジ・ポゴスト(キジ島の木造教会建築)

出典: ja.wikipedia.org

ロシアの世界遺産の一つであるキジ・ポゴストはカレリア共和国のオネガ湖にあるキジ島に位置します。18世紀に建設された2つの木造教会と同じく、木造の八角形の時計塔が世界遺産として登録されています。

特に高い技術を用い、一切の釘を使わず、目地さえも木から作りだされた美しい教会は、「丸屋根の幻想」という別名でも親しまれています。

世界遺産である木造教会はロシアにも他のどこの国にも見られない非常に特徴的な様式。地元の人からは世界の不思議の一つとも言われています。周囲の美しい景観に溶け込みながら、様々な時代の建築様式を取り入れ、空間と形が見事なハーモニーを奏でている、まさに世界的にも建築の最高傑作の一つ!建築好きな人にはぜひとも訪問していただきたいロシアの世界遺産です。

3. モスクワのクレムリンと赤の広場

出典: www.istockphoto.com

ロシア世界遺産で絶対外せないのがここ、モスクワのクレムリンと赤の広場。モスクワの中心部にある世界遺産クレムリンは4つの宮殿と大聖堂からなる城塞で、現在の大統領官邸として使用されており、まさにロシアの心臓部とも言える場所です。長く続く城壁の裏にあるこれらの宮殿や大聖堂は、様々な建築様式から成り、歴史的、芸術的に興味深い建造物です。

クレムリンの南側に位置している赤の広場は、しばしば社会主義体制の象徴的な場所として語られます。現在は映画の撮影やコンサートなど様々なイベントに利用されたり、ロシア人カップルの挙式後の代表的な写真撮影スポットとして有名です。

夕暮れ時、赤く染まった空をバックにした川沿いからの風景は息をのむほど美しく、ロシア世界遺産巡りの撮影スポットとしてもオススメです!

4.ノヴゴロドと周辺の文化財

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中世までヨーロッパとロシアの貿易の中心地として栄えた自由都市国家ノヴゴルド公国。ロシア世界遺産の一つであり、ロシア最古の都市として知られるノヴゴルドは、今なお数多くの中世の建物が現存する大変美しい街です。

特に玉ねぎ型の屋根が特徴的で、ビザンチン様式の聖ソフィア寺院、それを囲むクレムリン(城塞)周辺の旧市街では、まるで中世に迷い込んだような不思議な気分を味わえることでしょう。

サンクトペテルブルクから電車やバスで3時間ほどの距離で、ロシアの世界遺産巡りの訪問地の一つとしても比較的便利な場所にあります。サンクトペテルブルク観光と合わせてぜひ訪問したい場所です。

5. ソロヴェツキー諸島の文化と歴史遺産群

出典: Fr Maxim Massalitin

数あるロシアの世界遺産の一つ、ソロヴェツキー諸島は、白海の西部にある6つの島で構成されています。森林で覆われ、たくさんの湖や丘がある自然いっぱいの素敵な場所で、世界遺産としてだけではなくロシアの自然保護区としても指定され、ロシア北部の代表的な観光スポットとなっています。

中世に建てられた修道院は強固な要塞で、帝政期に起こった数々の戦争で外敵を退け続けてきました。現在も信仰が守られ、ロシア正教の聖地の一つとなっています。従来の信仰を守るため、信仰を捨てさせようとしたアレクセイ皇帝の代理人を追い返し、その結果何年も軍隊によって攻撃され、多数の修道士たちが、命をかけて断固とした立場をとってのはすごいですね!

中世の修道士たちの確固たるコミュニティに思いを馳せながら観光するのも感慨深いものがあります。

6. ウラジーミルとスーズダリの白亜の建造物群

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ロシア中部にあるこの世界遺産は、ウラジーミル・スーズダリ大公国の全盛期である12〜13世紀に大理石で作られた白亜の美しい建造物が印象的な場所です。特に傑作とされているのは、外壁の精巧な彫刻が美しいドミトリエフスキー聖堂とビザンティン建築を代表するウスペンスキー大聖堂です。

ウスペンスキー大聖堂はキーウのソフィア大聖堂を元に作られ、ロシアを代表する石造りの教会として、木造が一般的だったロシアの教会建築界に新たな風を吹き込み、その後の建築に多大な影響を与えました。大統領就任式で有名なモスクワのウスペンスキー大聖堂は、このウラジミールの大聖堂が原型になっているんですよ。

7. セルギエフ・ポサードの至聖三者セルギイ大修道院の建築的遺産群

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セルギエフ・ポサードにあり世界遺産であるこの修道院は、15世紀から18世紀にかけての典型的な軍事的特徴を併せもち、ロシア正教に置いて最も重要な修道院であり、聖地とされています。修道院長はモスクワ及び全ロシアの総主教を務めることからもその重要度が計り知れます。

創設者聖セルギイほか数々の聖人の不朽体が眠り、総主教などロシア正教における重要人物の墓があります。一角にはホテルもあり、年間を通じ、巡礼者が訪問しています。
芸術的にも、中世ロシア最高のイコン画家と呼ばれるルブリョフのフレスコ画など数々の主要な芸術品が収められています。

セルギエフ・ポサードはミニチュアや木製玩具が有名なので、世界遺産観光の合間にお気に入りを探してみては?

8.コローメンスコエの主の昇天教会

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モスクワ南部の川岸高台にあるコローメンスコエの主の昇天教会(ヴォズネセーニエ教会)はピラミッド型の屋根が大変美しい木造の教会です。ロシア正教の聖堂は玉ねぎ型のクーポラが特徴的ですが、この教会の屋根は木造でも風や雪に耐えられるようにピラミッド型に作られました。
のちにロシア初代皇帝となったイワン雷帝の誕生を記念して建設されたヴォズネセーニエ教会は、コローメンスコエでロシアの世界遺産に登録されている唯一の場所です。

コローメンスコエは周囲も美しい自然に囲まれ、のんびり過ごすにはもってこい!モスクワ市内からもメトロですぐなので、市内観光ついでに気軽に立ち寄れる世界遺産です。

9. クルシュー砂州

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リトアニアとロシア国境にあるクルシューラグーンとバルト海を隔てる98㎞のクルシュー砂州は先史時代から人が居住してきました。風が潮などの厳しい自然環境に犯されながらも、浸食作用に挑戦・居住してきた人々の努力が評価され、ロシア世界遺産として登録されました。

クルシュー砂州の住民は主に漁業で生活してきましたが、古い木造の家や学校など漁村のインフラはリゾート開発され、現在は砂州の真ん中あたりにあるニダを中心に観光客で賑わっています。砂州の大部分は豊かな自然で覆われ、ロシアの世界遺産訪問目的としてだけでなく、のんびりリゾートを過ごしたい人にもオススメです。

10.フェラポントフ修道院群

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ロシア北西部にある世界遺産のフェラポントフ修道院群は白海沿いの丘の上にあるロシア正教会の中世の修道院です。一度火災で焼失しましたが、17世紀までに再建され、その当時の完全な形で残されています。

この世界遺産で特に文化的価値として名高いのがマリア生誕大聖堂の壁画。ロシア最高のイコン画家として名高いディオニーシーが作成したフレスコ画は当時のままの完全な形で保存されています。この壁画はロシア国内のみならず世界的にも多大な影響を与えました。芸術ファンにとっては、この壁画を見に行くだけでも価値があるようです。

11. カザン・クレムリンの歴史遺産群と建築物群

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ロシア中部のタタールスタンの首都カザンの2つの川の小高い丘の上にそびえ立つクレムリンは2000年に世界遺産として登録されました。カザンはキプチャク・ハン国の支配下だった13世紀当時はタタール・イスラムの大都市でしたが、16世紀にイワン雷帝に征服され、イスラム教からキリスト教に変わりました。

カザン・クレムリンは現存するロシア唯一のタタール式要塞で、重要な巡礼地となっています。

カザン・クレムリンの原型は11世紀に建設されたものですが、イワン雷帝の侵攻によって破壊され、その跡地に再建設されたものが現在ロシアの世界遺産として登録されている建築群です。中でも最古のものは大聖堂で、この地方特産の砂岩を資材として用いているのが特徴です。

12. デルベントのシタデル、古代都市、要塞建築物群

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ロシア最南部にある世界遺産、デルベントは要塞として発達し、ササン朝ペルシア帝国の北部防衛線の一部でした。デルベントはロシア最古の都市と言われ、「アレクサンダー大王の門」の伝説が残る神秘的な街です。伝説ではコーカサスのアレキサンダー大王が、北部の未開の野蛮人による南部侵入を防ぐために建設されたと言われています。

中世の旅行文学で人気のあるテーマとして度々取り上げられているので、文学好きな人は聞いたことがあるのではないでしょうか。ただ、実際にはアレクサンダー大王ではなく、ペルシャ君主によって建設され、パルチア時代のゴーガンの万里の長城、としても有名です。

デルベントには6世紀から残る古い建物が数多く残されており、中世のロマンを感じられる素敵な街で、まさに世界遺産と称号にぴったりの場所です。ロシアのブランデー生産の中心でもあるので、お土産にぜひ。

13. ノヴォデヴィチ女子修道院群

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モスクワ市内の世界遺産、ノヴォディヴィチ女子修道院群は半世紀近い長い歴史ある大変有名な女子修道院で、いわゆるモスクワ・バロック調建築の最高傑作と言われています。クレムリンに近いことから、ロシアの政治的、宗教的歴史と結びつきが深く、ロシア皇帝の家族や貴族たちに利用され、墓地には皇帝の家族や側近が埋葬されていることでも有名です。また、ゴーゴリーやチェーホフなどの数多くの著名人のお墓もあります。

トルストイの「戦争と平和」や「アンナ・カレーニナ」にも登場するので、興味ある方は訪問前に一読してみては?素晴らしい内装や壁画や芸術品のコレクションもお見逃しなく!

14. ヤロスラヴル市街の歴史地区

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モスクワから急行で4時間ほど行った北東の街、ヤロスラヴルは11世紀以降商業の中心地として発展したロシアでも最も古く豊かな街の一つで、数多くの教会があることで知られています。

商業都市として有名なヤロスラヴルですが、その歴史地区はエカテリーナ女帝による都市再開発の代表例で、新古典時代には年計画のモデルとして有名になり、そんな歴史的経緯が評価されロシアの世界遺産として登録されました。

数ある教会で最も古いものはスパスキー修道院の聖堂です。元は異教寺院の遺跡の上に建設された教会ですが、復元された当時16世紀の建築要素を保っています。また、歴史地区にあるヴォルコフ劇場はロシア最古の劇場の一つです。他にも数々の世界遺産スポットがあるので、ヤロスラヴルの美しい街並みを楽しみながら世界遺産巡りしてくださいね。

15. シュトゥルーヴェの三角点アーチ観測地点群

出典: PROStefan Krasowski

シュトゥルーヴェの三角点アーチ観測地点群は、ノルウェーのハンメルフェスト岬から黒海まで2820㎞以上にわたり、265ヶ所の観測点が連なったもの。世界遺産としての登録国はなんと10ヶ国にもなっており、ロシアはその一つです。

数多くある観測点ですが、実際に世界遺産に登録されているのは34ヶ所。そのほとんどは自然の、または人工的な岩に印をつけたもので、他の世界遺産のように、特に芸術的に見所があるわけではありません。唯一、フィンランドのアラトルニオ教会とエストニアのタルトゥ旧天文台のみが建物となっています。

ドイツ出身のロシアの天文学者シュトゥルーヴェがリーダーとなった科学者チームは、史上初めて1経線を長距離に渡って正確に測量し、地球の正確な形と大きさを測ることに多大な貢献をした功績が評価され、多数の国にわたる珍しい世界遺産となりました。

16. ブルガールの歴史的考古学的遺跡群

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2014年に、ロシアの世界遺産でも最も新しく登録された世界遺産は、タタールスタン共和国カザンの南部にあるブルガールの歴史的考古学的遺跡群です。世界遺産暫定リスト記載から実際の登録まで迂用曲折があり、20年以上もの月日を要しました。

15世紀まで存在したイスラム教国家、ヴォルガ・ブルガール王国の首都ブルガールの遺跡は、ヴォルガ・ブルガール人がイスラム教を受け入れた歴史のシンボルとなっており、現在もイスラム教徒の巡礼地です。

ヴォルガ・ブルガール人の文明を今に伝えるこのロシアの世界遺産は、ブルガールの数世紀に渡るユーラシアの文明的・慣習的交易において重要な役割を果たしたことを示す、象徴的な文化遺産となっています。

17. コミ原生林

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ウラル山脈北部にあるコミ原生林はロシア初の自然遺産として1995年に世界遺産登録されました。欧州の原生林としては最大級。ツンドラにはトナカイやミンクなどの動物が住み、トウヒやマツ、ポプラなどに覆われています。川や湖もある自然豊かで大変美しい場所です。この地では何10年にも渡って、気候の変化のタイガに与える影響が研究されています。

そんな自然豊かなコミ原生林ですが、ロシア世界遺産に登録されてもなお金の採掘が問題になり、活発なロビー活動の対象になっています。ロシアには豊富な資源がありますが、ぜひ自然も守り続けて欲しいですね。

18. バイカル湖

出典: Roserunn / PIXTA(ピクスタ)

ロシアのイルクーツクから車で1時間ほどの言わずと知れた観光名所であり、地理の授業でもお馴染みのバイカル湖は三日月型の湖で、世界の陸水の20%もある水量、40mに及ぶ透明度、1700mもある水深、2500万年もの古さ、と世界一づくしのロシアが誇る世界遺産です。

「シベリアの真珠」「生物進化の博物館」「ロシアのガラパゴス」など様々な異名をとるバイカル湖は、バイカルアザラシに代表される固有種やクロテン、シベリアアカシカなど貴重な動物が暮らしています。

夏場は青く美しい湖面、これが冬場には凍結し、見事なまでのターコイズブルーに染まり幻想的な雰囲気を醸し出します。近年ではバイカル湖も地球温暖化の影響を受け、湖面が氷結している時期も短くなっているとのこと。ロシアの貴重な世界遺産を保存するためにも自然を守っていきたいですね。

19. カムチャツカ火山群

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世界でも有数の火山地帯であるカムチャッカ半島は、ロシアの代表的な世界遺産としてだけでなく、観光スポットとしても大変有名な場所です。1500種類以上の動植物が生息し、貴重な自然保護区となっています。富士山にそっくりな景観から「カムチャッカ富士」の異名のあるコリャーク山や、今なお噴煙を上げ続けているアヴァチャ山などたくさんの火山があります。登山が大好きな人には憧れの場所ですね。

また火山といえば、温泉!カムチャッカには源泉そのままの温泉がたくさんあります。パラトゥンカ温泉やマルキ温泉など市内からのアクセスが便利な場所もありますが、ヘリコプターでしか行けないホドトカ温泉のように秘境もあるので湯めぐりもしてみたいですね。

20. アルタイの黄金山地

出典: Pavel Kazachkov

ロシア・シベリア南部のアルタイ山脈は中国やモンゴルにもまたがっていますが、世界遺産として登録されているのは、ロシア側のみ。325mの深い水深を持つテレツコヤ湖、トロノフ兄弟が初登頂をしたことで有名なベルーカ山、及びアイスプリンセスのミイラを始め、ツンドラから何体ものミイラが発掘されたウコック高原を含む地域が対象になっています。

絶滅の危機にある雪豹やアルタイ・アルガリのような希少動物の大切な生息地でもあります。

バイカル湖と並び、シベリアで最も人気の世界遺産アルタイ山脈は、「地球の肺」とも称されるほど汚染の少ない地域なので、自然からパワーをたくさんもらえそうですね。

21. 西コーカサス山脈

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欧州最高峰の山として登山者を魅了し続けるエルブルス山のある西コーカサスは、冬季五輪が開催されたことで一躍有名になり、リゾート地としても名高いロシアのソチの北側に位置しています。ロシアの世界遺産として登録されているのは、クラスノダール地区、アディゲ自治州、カラチャイ・チェルケス自治州にまたがる最西端となっています。

世界でも稀に見る人の手が加えられていない巨大山岳地帯であることが世界遺産として評価されました。また、野生種が絶滅してしまったヨーロッパバイソンの起源としても有名です。

低地から氷河まで地質や環境の変化に富んだ美しいロシアの西コーカサス。本格的な登山はハードルが高いかもしれませんが、その絶景を一度は見てみたいですね。

22. 中部シホテ-アリン

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世界的に見ても特異な温帯林であるシホテ−アリン山脈には、タイガ気候と亜熱帯気候という異なる気候が混じり合い、もともと暖かい地域の動物であったトラやヒマラヤグマなどが、北方種のトナカイやヒグマ、オオヤマネコなどと共存しています。アムールタイガーなどの絶滅危惧種が生息していることも評価され、山脈の中央部がロシアの世界遺産として登録されました。

シホテ−アリン山脈はウラディミール・アルセーニエフの探検で有名なので、名前を聞いたことがある人も多いのではないのでしょうか?彼の探検は、黒澤明監督が制作した同名映画「デルス・ウザーラ」の原作本にもなったものです。

23. ウヴス・ヌール盆地

世界で最南端のツンドラと最北端の砂漠が並存する珍しい場所であるウヴス・ヌール盆地は、ロシアとモンゴルに渡る地域です。中央アジアの自然がほぼ手づかずで残っていることからロシアの世界遺産となりました。

山には雪豹やアルガリシープなど絶滅危惧種が、砂漠にはトビネズミなどの珍しい動物が生息しています。また、ウヴズ・ヌール湖を始めとするいくつかの湖があることから、シベリアからの渡り鳥の大切な住処ともなっており、東ユーラシアを代表する生態系がみられる場所です。

夏は50度近く、冬は氷点下60度近くにもなる厳しい自然環境のおかげで、人口も少なく、自然がそのままの姿で残っています。

24. ランゲル島保護区の自然生態系

出典: commons.wikimedia.org

ロシアの世界遺産のうち自然遺産となっているランゲル島保護区は北極圏に位置しています。ランゲル島は氷河期にマンモスが生息していたことでも知られており、植物の種類の多さ、土壌の多様さなどその豊かな自然環境が見て取れます。

北極圏における生物の多様さでは逸脱しており、アジア唯一のハクガンの生息地であり、遠くメキシコからやってくるコククジラの繁殖地でもあります。またランゲル島は太平洋セイウチの生息数が世界最多で100種類にも及ぶ渡り鳥の飛来地で、自然保護のためにロシアの世界遺産として登録されました。

ちなみにハリーポッターでお馴染みのシマフクロウもここで繁殖しています。

25. プトラナ高原

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プトラナ高原は中央シベリア北部の山岳地帯で、ほぼ手付かずの自然による素晴らしい景観が見事なロシアの世界遺産です。トナカイの重要な移動ルートになっているプトラナ高原は、湖や川、原生林などで形成され、シベリアビッグホーンなど希少動物や数多くの植物など自然の宝庫であり、自然破壊が大きな問題として取り上げられている近年、その価値はますます貴重なものになっています。

フィヨルドのような景観の湖や沼の数は大小含め25000以上にも及び、バイカル湖に続くロシア第二の水量を誇っています。また滝の数が多いことも特徴的です。ロシアの他の自然遺産と同様、ほとんど人が足を踏み入れらず貴重な自然が手つかずで残されています。

なお、道路もなく、アクセスはボートかヘリコプターのみとなっています。

26. レナ川の石柱自然公園

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ロシアの極東にあるレナ川の川岸には、カンブリア紀の海底の上昇によってできた自然岩が柱のように立ち並んでいます。このレナ川の石柱自然公園は、カンブリア紀の化石の宝庫としても知られ、考古学的価値の高い場所であることが評価され、世界遺産に登録されました。

他のロシアの自然遺産はアクセスが非常に厳しい場所にあるものが多いですが、この石柱群はヤクーツクからのレナ川クルージングで見に行くことができます。カンブリア紀の化石が眠るこの世界遺産は、訪問可能なロシアの自然遺産としても観光客には貴重なものです。

◎まとめ

こうして見てみると、手付かずの大自然から都心の建造物までありとあらゆる種類の世界遺産を所有するロシアという国の偉大さを感じられます。歴史的、文化的、自然・生態系的に貴重な見所が多く、クラクラとめまいがしてしまいそうなほど贅沢な国ロシア。ロシアの世界遺産には秘境も多く、全てを訪問するのは難しそうですが、大都市やその近辺に位置し、アクセスが便利な場所も数多くあるので、気候のいい時期にぜひ訪れたいですね!

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