バラとヨーグルトとワインがお出迎え!ブルガリアの9ヶ所の世界遺産

バラとヨーグルトとワインがお出迎え!ブルガリアの9ヶ所の世界遺産

ブルガリアといえば、バラをイメージする方も多いのではないでしょうか。ブルガリアの中央を東西に分けるバルカン山脈とスレドナ・ゴナ山脈に挟まれた一帯は「バラの谷」と呼ばれ、香水などを収集するためのバラの一大産地です。古代ヨーロッパではバラは栄華のシンボルとされており、ローマの初代皇帝アウグストゥスが「ロザリオ」と呼ばれるバラ祭りを開催したほど。また、中世ヨーロッパの雰囲気をよく残している町並みも多いブルガリアには9ヶ所の世界遺産があります。今回はそんなブルガリアの魅力的な世界遺産をご紹介したいと思います。

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バラとヨーグルトとワインがお出迎え!ブルガリアの9ヶ所の世界遺産

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1.ボヤナ教会

「ボヤナ教会」は、ブルガリアの首都ソフィア郊外にあるブルガリア正教会の教会堂です。10世紀後半から11世紀初頭にかけて最古の部分となる交差ヴォールト式の小さい教会が建築され、続いて13世紀半ばに2階建ての中央棟が加えられ、そして19世紀半ばに地元共同体の寄付によって現在の形へとなりました。

ボヤナ教会を特徴的にしているのが、比較的保存状態の良いフレスコ画の数々。世界遺産に登録されたものは13世紀に描かれたものですが、一部は剥がれ落ちたり、画の上からさらに描かれていて見えなくなっているものもありますが、11世紀のものも断片的ながらも見ることができます。そのほかにもレオナルド・ダ・ヴィンチ作で有名な『最後の晩餐』の場面やブルガリア最古の歴史人物の肖像画なども見ごたえがありますよ。

2.マダラの騎士像

「マダラの騎士像」は、ブルガリア北東部のマダラ高原にある高さ100mの断崖の地上23m付近に彫られた縦2.5m、横3mの巨大なレリーフです。周りには足場のない地上23mの高さにあるマダラの騎士像がどのような方法で制作されたのかは明らかになっていません。

騎士の前にはワシが飛び、馬の足元に横たわるライオンに槍を突き立て、後ろには犬を従えています。この情景は、象徴的な形で戦勝を描いていると見なされており、705年から801年の出来事について書かれた碑文があることから、8世紀頃はじめ頃に彫られたものと考えられており、ブルガリアの歴史的背景と勝利を象徴しています。

3.カザンラクのトラキア人の墳墓

「カザンラクのトラキア人の墳墓」は、現在も謎のベールに包まれたトラキア人が製作したとされるブルガリアのカザンラクに残る墳墓です。紀元前4世紀頃に描かれたとされるこのフレスコ画は、夫婦が互いの手首を握り合いながら惜別の思いが描かれた場面が印象的です。本物は保存の関係で見ることができず、すぐ近くに精巧に作られたレプリカを見ることができます。

4.イヴァノヴォの岩窟教会群

「イヴァノヴォの岩窟教会群」は、ブルガリア北部にあるルセ州のルセンスキ・ロム川沿いにあります。岩場をくり抜いて作られた聖堂や修道院などの建造物群は、1979年に世界遺産に登録されました。教会群には、第二次ブルガリア帝国の皇帝たちが頻繁に寄進を行ったほか、周辺の貴族もパトロンとして援助していたといいます。イヴァノヴォの岩窟教会群の見どころは、なんといっても美しいフレスコ画です。保存状態もよく、美しい中世ブルガリア美術をぜひ堪能しましょう。

5.ネセバルの歴史都市

ネセバルは、およそ3200年前にできたとされる古代都市で、現在は黒海で最も有名な観光地のひとつで、リゾート地としても知られています。ネセバルは、面積あたりの聖堂の数が多く、聖堂のほかにも、教会が博物館となっている施設や歴史博物館などがあり、見どころ満載です。

ネセバルは、古代ギリシアをはじめ、ローマ帝国やビザンツ帝国、ブルガリア帝国にオスマン帝国など、さまざまな国々に支配され続けてきました。そのことを物語るように、町では各時代を代表する豊富な保存状態の良い建造物を見ることができますよ。

6.リラ修道院

「リラ修道院」は、ブルガリア最大で最も有名な正教会の修道院です。14世紀からはブルガリアの宗教・文化の中心を担っていたリラ修道院には、1846年に完成したザハリ・ゾグラフとディミタル・ゾグラフ兄弟のフレスコ画などブルガリア各地から集められた珠玉の数々が集められています。

20世紀に完成した修道士の居住施設を除いてすべて19世紀以前に建てられたものです。中でも14世紀に建てられたフレリョの塔は、1833年の火災を免れた唯一の建物で、14世紀に描かれた、ほとんど色褪せもせず美しさを保っているフレスコ画は見事です。

7.スヴェシュタリのトラキア人の墳墓

「スヴェシュタリのトラキア人の墳墓」は、ブルガリア北東に位置します。墳墓の入口の形態を見ても、カザンラクのトラキア人の墳墓との共通点を感じることができるでしょう。こちらのスベシュタリ村にある墳墓は、紀元前3世紀にまでさかのぼります。

この墳墓は、1982年に発見されたもので、当時のトラキア人の宗教建築の基本的な構造原理を今に伝えています。多彩色の半人半植物の柱と壁画が印象的で、トラキア人の1種族であるギリシャ文化の影響を強く受けたゲタイ人の文化を伝えるものとなっています。

8.スレバルナ自然保護区

スレバルナ自然保護区は、ブルガリア北部シリストラ州にある厳正自然保護区です。ここは、ヨーロッパとアフリカの間の渡り鳥の通り道となっており、その主な生息地となっているスレバルナ湖は、もともとは8m程度の水深がありましたが、近隣を流れるドナウ川と湖の間に堤防が設けられて半分以下になってしまい、現在では1mから3m程度しかありません。

また、湖畔にはヨシをはじめとする水生植物が自生しており、その種類は67種にのぼるほか、動物相も大変豊かです。39種の哺乳類をはじめ、21種の爬虫類・両生類、10種の魚類が確認されていますが、渡り鳥を含む鳥類はなんと179種にも及びます。ブルガリアの野生生物の多くを確認できる大変貴重な場所となっています。

9.ピリン国立公園

「ピリン国立公園」は、ブルガリア南西部に位置し、ギリシアとマケドニア国境に接するピリン山脈に広がるブルガリア最大の自然公園です。ストルマ川とメスタ川に挟まれるこの公園は北部、中央部、南部の三つの部分から形成され、ストルマ川とメスタ川に挟まれた一帯は氷河期の地形を残しており、70以上の氷河湖をはじめ、滝や小川、洞窟などが点在しています。

自然豊かな一帯は、針葉樹林が多く、中には植齢1300年を超えるモミの木もあります。また、動物相も豊かで、代表的なヒグマやノヤギなどの哺乳類と鳥類はブルガリア全体の半数の種類が生息しています。そのほかにも魚類や国際的な絶滅危惧種の無脊椎動物なども生息しており、自然溢れる貴重なスポットになっています。

◎まとめ

地図を見ると、エーゲ海の文明の風ギリシャ、ドナウ川を挟んで北にルーマニア、オスマン帝国のトルコという列強に囲まれたブルガリア。周囲の列強からの影響を強く受けた文化を世界遺産からも感じ取ることができます。歴史を感じられるスポットから自然を満喫できるスポットまで、バラのイメージが強いブルガリアですが、ヨーロッパでも歴史があり、大変魅力的な国なんですよ。最近では旅行先としても人気の高いブルガリアですが、ぜひ世界遺産巡りを楽しんでみてはいかがですか?

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