ルーマニア北東部の都市ヤシは異文化の交差点!モルダヴィア文化に触れる旅

ルーマニア北東部の都市ヤシは異文化の交差点!モルダヴィア文化に触れる旅

ルーマニアの北東部に位置するヤシは、プルート川の支流バフルイ川の河畔の町です。モルドヴァ共和国との国境に近く、かつてはモルダヴィア公国の首都でもありました。現在も交通の要衝として機能し、ルーマニア第二の人口規模を擁しています。

ヤシ市内の建物には、トランシルヴァニアなどから移住してきた、ドイツ植民者により作られたモルダヴィア文化の影響が残っています。中でも教会建築におけるモルダヴィア様式は、16世紀後半にペトル公が建立したガラタ修道院や、トレイ・イェラルヒ教会などによく表れていると言われています。

また19世紀後半からは多数のユダヤ教徒がヤシに移り住んだことから、ユダヤ教の教会も今でも残っています。こうした、異文化が混ざり合った歴史的文化にふれる観光スポットを紹介しましょう。

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ルーマニア北東部の都市ヤシは異文化の交差点!モルダヴィア文化に触れる旅

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1.文化宮殿

ヤシにある、文化的遺産の一つです。この宮殿はヤシの中心地にあり、ランドマーク的な存在です。また、ゴシックやネオ・ゴシック、そしてバロック様式と、いくつかの建築様式できています。モルダヴィアの古代首都としての存在感が感じられる観光名所です。

文化宮殿とは、「モルダヴィア国立総合博物館」の通称です。現在、文化宮殿内には4つの博物館(歴史館・美術館・民族館・科学館)と修復部があります。文化宮殿はもともと、1434年にモルダヴィア公の居館として建設されました。その後、19世紀初頭には公太子の居住地となりました。1880年1月15日に、ヤシの大火で街は消失してしまい、この宮殿もなくなってしまいました。

1906から1925年の間にルーマニア王フェルディナンド1世によって再建され、行政機関として機能していましたが、現在では博物館となっています。特に素晴らしいのは、宮殿のロビーや贅沢な調度品の数々。そして壮麗な階段です。モルダヴィア公の間は、とくに豪華なことで人気があります。観光で訪れた際はじっくり時間をとって、ゆっくりと館内を歩いてまわってみてください。

2.モルダヴィア歴史博物館

出典: Costel Slincu

ヤシの文化宮殿内にある4つのミュージアムのうちの1つです。モルドヴァ歴史博物館では、新石器時代後期にルーマニアで興ったククテニ文化から、現代までの歴史に関する資料を展示しています。古代の土器や装身具など遺跡関連の資料の展示から、中世時代の戦闘に使う甲冑や武器、トルコ支配時代の衣装などもあります。

また、当時の生活様式や暮らしぶりが分かる家財道具なども数多く展示されています。ほかにもオルゴールやピアノ、蓄音機など、楽器や音楽器材のコーナーも。ルーマニアに影響を与えた諸外国にかかわる時代ごとの道具を通じて、複数の文化が複雑に入り混じっていった経緯が見られる観光スポットです。

3.美術館

ヤシの文化宮殿内にある4つのミュージアムの1つ。1860年に開館し、以来ルーマニア最大の美術館として続いています。ルーマニアの作家の作品を中心に、ルーマニア三大画家(アンドレスク、グリゴレスク、ルキアン)や、ルーマニア美術に影響を与えたフランス印象派など、数多くの収蔵作品を擁しています。

16世紀に描かれた肖像画など時代が古いものから、ルーマニア近現代の作家のものまで、この美術館ではルーマニアの美術史にかかわる作品を一度に見ることができるます。展示作品のみならず、館内のゴシック調を思わせる柱などの装飾やステンドグラスも、鑑賞の価値がありますよ。

4.民族学博物館

出典: Costel Slincu

ヤシの文化宮殿内にある4つの博物館の1つです。民族学博物館は、ヤシの人たちの生活史を研究するために、1943年に設立されました。民族学博物館は、モルダヴィア地方の民族衣装のコーナーと、農具のコレクションとにわかれて展示されています。

民族衣装のコーナーでは、農家で実際に着られていた手織りの衣装や、祝祭用のカラフルな正装などが並んで陳列されています。道具のコーナーでは、農家が実際に使っていた農工具(機織り、ワイン造りの道具)を中心に展示されています。展示品のほとんどが最近まで使われていたため、道具に傷などが残り、使い込んだ感じが伝わってきます。

同じ敷地内にはワイン博物館もあるので、モルダヴィア特産のワインについても詳しく知ることができます。

5.三聖人教会

シュテファン・チェル・マーレ通り沿いの文化宮殿の近くにある三聖人教会は、モルドダヴィア公ヴァシレ・ルプが1637~39年にかけて建てたルーマニア正教の修道院教会です。隅々まで繊細な石の彫刻で装飾された外観装飾が素晴らしいので、すぐにそれとわかるでしょう。

内部にはヴァスレ、イオン、グリゴレの3人の司教が祀られていて、彼らの肖像画をはじめとするフレスコ画や、豪華な装飾が壁面いっぱいに施されています。また、敷地内には教会博物館があり、中世の石像やイコンなど数多くの宗教芸術品を見ることができます。

6.要塞修道院

要塞修道院は、ヤシ市街地南の郊外の、小高い丘の上に建っています。1669~72年の間に、ゲオルゲ・ドゥカによって造られました。 ルーマニアには要塞化された教会が今もなおいくつか残っていて、この修道院もその一つです。

中世には外敵から守るため、要塞のように教会を造る必要がありました。高さ7mの石の壁に囲まれ、その壁には当時受けた銃弾の跡も残っていて、見張り塔も現存しています。要塞修道院の外壁のほとんどは、バロック調でどっしりとした石造となっています。

修道院とその周辺からは、ヤシの素晴らしいパノラマ風景をみることができますよ。

7.ヤシ国立劇場

ヤシの国立劇場は、外観は重厚な作りでバロック調の石造。一方、内装はロココ調スタイルの、華やかでゴージャスな造りとなっています。1840 年に「モルダヴィア大劇場」として開館しましたが、1888年の大火で焼失。1896年にフェルネーレとヘルメールという2人の建築家によって、収容人数1000人のホールとして再建されました。

ロココ調の天井の絵は、オーストリアの画家によって描かれたもの。現在でも、数々の公演を行いっています。スケジュールが合えば、ヤシでオペラ観劇というのもオススメですよ。

8.聖ニコラエ・ドムネスク教会

シュテンファン大公ことシュテファン3世がモルダヴィア公だった1492年に、典型的なモルダヴィア様式で建設されたもので、ヤシで最古の教会と言われています。外観はどっしりとした石造ですが、内部には見事なフレスコ画が一面に描かれています。きらびやかさはありませんが、厳粛な雰囲気が漂う観光スポットです。

統一広場からシュテファン・チェル・マーレ通りを南に歩いて正面、文化宮殿のすぐ横にあるので、文化宮殿の観光の前後に訪れると効率的に回れるでしょう。教会自体はもともと大司教教会として建設されましたが、現在はルーマニア正教会となっています。

9. パラス・ヤシ

出典: Konstantinos Sfikas

パラス・ヤシは文化宮殿のすぐ近くにあるライフスタイルセンターとして、ヤシの生活と文化を担っています。パラス・ヤシは地元の人が日常的に利用するような商店街や旅行者が立ち寄るようなショッピングモールで、食事を楽しみながら休憩できるダイニングなど、旅行者も市民もともに楽しめる場所です。

また、ホテル、オフィス、会議室などがあるコンベンションセンターと、仕事で訪れた人々が利用する場所、そして多面的に利用できる公園などが併設されています。公園は美しく手入れしてある庭が中心で、建物の南側には植生があり、噴水が利用者を癒します。

庭の風景は、低木を中心に宮殿の荘厳さを演出し、四季折々の植物が広めの散歩道に色を添えます。冬季はアイススケートリンクができたり、メリーゴーランドが設置されたりして、にぎやかになりますよ。

まとめ

ルーマニア第二の都市ヤシは、15世紀以来文化と政治の中心的な役割を果たしてきました。メインの観光名所がほぼ一か所に集中しているので、移動時間が少なくまわることができる観光地です。

また、歴史的経緯から複数の民族が交わって生まれたモルダヴィア文化を、教会や宮殿内部から感じながら、ノスタルジックな雰囲気のなかで観光できるでしょう。ルーマニアで最初の大学が設立された教養の街でもあるので、ヤシ出身のルーマニアの文学者などの記念館も、街中に点在しています。ぜひ合わせて観光してみてくださいね。

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