名称:アッシュール
住所:イラク、カラット・シェルカット(サラーフッディーン県)
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1130/
中東・イラク国内に位置する世界遺産一覧をご紹介します。
イラクといえば日本人から見ると情勢不安定なイメージがありますね。観光スポット、という印象はなく「イラクの世界遺産」と言われるとなかなかピンときません。
しかしイラクは有名な古代メソポタミア文明を受け継ぐ土地にあり、遺跡は世界遺産に登録されているなど人類史初期の文明国という一面があります!実際にどんなスポットがあるのでしょうか?
以下で詳細をチェックしてみてください!
目次
【メソポタミア文明】イラクの世界遺産一覧!|古代文明の足跡とは?
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イラクの世界遺産①アッシュール
アッシリア帝国時代の最初の首都「アッシュール」は、イラクの首都バグダッドから北390km、チグリス川西岸のカラット・シェルカットにある世界遺産です。紀元前3千年紀ごろのシュメール初期王朝時代に造られたといわれています。
アッシュールはアッシリア神話の最高神・アッシュル神をまつる宗教的拠点として発展しました。アッシュールという名前の由来もこのアッシリア神話から来ているといわれています。
しかしフセイン政権時代、アッシュールの遺跡はダムの建設によって水没してしまう危機に直面。2003年に世界文化遺産として登録されたと同時に、危機遺産リストにも登録されました。
イラクの世界遺産②サーマッラーの考古学都市
チグリス川に面している世界遺産「サーマッラーの考古学都市」。アッバース朝時代に、バクダードからサーマッラーに都を遷し栄えた都市の遺跡です。その年は約50年間にわたって首都として繁栄し続け、宮殿や巨大なモスクが建造されました。
モスクに付随する塔・ミナレットはサーマッラーの考古学都市最大の見どころで、その名は「マルウィヤ・ミナレット」。852年に完成したこのミナレットは、螺旋状の形態をしているのが特徴です。
このような形のミナレットは珍しく、世界に3つしか存在しないといわれています。イラク情勢の不安定さから、世界文化遺産の認定とともに危機遺産としても登録されているイラクの世界遺産です。
名称:サーマッラーの考古学都市
住所:イラク、サラーフッディーン県
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/276/
イラクの世界遺産③アルビールの城塞
イラク北部にある「アルビールの城塞」は、有史最古の人間継続居住集です。推計人口約66万人の人々が集まって生活していました。2014年の6月21日にユネスコの世界文化遺産リストに登録されましたが、アルビールの城塞を未だに誰が作ったのかわかっていません。ちょっぴりミステリー性のある世界遺産です。
紀元前331年に、アレクサンドロス3世がダレイオス3世率いるアケメネス朝を破った「ガウガメラの戦い」が行われていた場所でもあり歴史的価値があります。
アルビールの旧市街地の中心部にはシタデルと呼ばれている古い城塞があり、このシタデルを中心として道路が放射線状に街が伸びている構造になっています。
名称:アルビールの城塞
住所:イラク、アルビール
公式・関連サイトURL:http://www.erbilcitadel.org/
イラクの世界遺産④ハトラ
イラク北部にあるモースル州の南西約100km、サルサル・ワジ川のほとりの砂漠地帯に残る「ハトラ」。神の家とも呼ばれている世界遺産です。かつてはパルティア帝国の重要な要塞都市として機能していました。何度もローマ帝国による攻撃にさらされましたが耐え抜いています。
20世紀初めまでずっと砂の中に埋もれていましたハトラは、ドイツ人により発掘されました。ここでは地中海からアジアまで、様々な神々が信仰されていたといわれています。ハトラの独特の形状はこの文化背景から造られたものです。
しかし過激派組織ISが、ハトラの一部を破壊した動画がネットにアップされ、世界文化遺産に登録されたと同時に危機遺産としても登録されました。
名称:ハトラ
住所:イラク、ニーナワー県、モースル
イラクの世界遺産⑥メソポタミア都市群の残存景観など
「イラク南部のアフワル:生物多様性保護区とメソポタミア都市群の残存景観」はチグリス川、ユーフラテス川の流域にある世界遺産です。2016年に世界複合遺産として登録されました。
ここに広がる湿地帯は歴史の教科書でも習った有名な世界4大文明の一つ、「メソポタミア文明」を生み出したといわれています。
この世界遺産にはウルク、ウル、テル・エリドゥの3つの遺跡群があります。その中でもウルの遺跡はイスラム教、キリスト教、ユダヤ教の祖・アブラハムとその兄弟の誕生の地。旧約聖書に出てくる「エデンの園」があった場所ともいわれています。
現在は生態系が広範囲にわたり破壊されてしまいました。長期的な管理計画のもと、再生への道を歩んでいます。
名称:イラク南部のアフワル:生物多様性保護区とメソポタミア都市群の残存景観
住所:イラク、アワフル
◎まとめ
イラクは情勢の不安定さから危機遺産にも登録されている世界遺産が多いです。過激派組織ISによる世界遺産の爆破映像がネットで公開され、貴重な世界遺産の温存も危ぶまれている側面があります。
また、イラクは長年渡航中止勧告や退避勧告が出されている地域がほとんどです。観光や渡航を考えている方は治安が落ち着くまで待つと同時に、必ず外務省の海外安全情報を確認しておきましょう。