名称:ティルス
住所:Tyre, Lebanon
公式・関連サイトURL:https://worldheritagesite.xyz/tyrus/
赤いラインと中央に描かれたレバノン杉が印象的な国旗を持つレバノンは、地中海の東端に面する国で、5つの世界遺産が登録されています。レバノンの歴史は古代まで遡り、元々はフェニキア人の故郷と考えられている国。しかし、長い歴史の中で様々な王国や帝国に支配されていたため、現在にいたるまで多様な文化や建造物が残されています。
レバノンにはフェニキア文化の影響を色濃く残す建造物や、国旗にも描かれているレバノン杉の自生している森など様々な世界遺産があるんですよ。今回はそんなレバノンの世界遺産を5つすべて紹介します!
1. ティルス
ティルスはレバノン南部の地中海沿いにある都市遺跡で、1984年に世界遺産に登録されました。元々はフェニキアの都市として繁栄していたのですが、ローマ帝国に滅ぼされてしまいます。その当時の遺跡は海に沈んでしまって今は見られないですが、現在でもローマ帝国時代の遺跡が小さな漁村であるスールという町に残されています。
レバノンの首都ベイルートからは車で1時間半ほど。世界遺産として登録されている建造物の中には、競技場や浴場などがあり、特に見どころなのが海に向かって並ぶ柱が印象的な列柱付き大通りと凱旋門です。レバノンにはローマ時代の遺跡が多く残るので、他の世界遺産と一緒に見学すればより一層楽しめますよ。
2. アンジャル
世界遺産アンジャルは、8世紀ごろに栄えたウマイア朝時代の遺跡です。当時の遺跡が残されているのはこの場所だけで、レバノンの首都ベイルートから車で1時間半ほどで行くことができます。レバノンにある他の世界遺産はローマ時代の遺跡が多く、このイスラム文化の遺跡は他のものと比べると比較的新しいものです。
アンジャルは中東の主要都市をつなぐ場所として発展し、イスラムの権力者達の保養所や浴場などの遺跡が残されています。レバノンの公用語はアラブ語ですが、この地域ではアルメニア人が多く居住しているため英語が広く通じ、訪れやすい世界遺産です。
名称:アンジャル
住所:Aanjar, Lebanon
公式・関連サイトURL:https://worldheritagesite.xyz/anjar/
3. バールベック
バールベックは、1984年に世界遺産へ登録されました。レバノンの北東にあり、世界でも有数の規模の大きなローマ神殿が見られる遺跡です。バールベックとは、古代レバノンに住むフェニキア人たちが信仰するいろいろな神が集う聖地だったのですが、ローマ帝国がこの地域を支配した時にこの神殿を建設しました。
バールベックはヨルダンのペトラ遺跡、シリアにあるパルミラ遺跡とともに中東の三大遺跡と呼ばれています。さらにこの世界遺産パールベックには、トリリトンと呼ばれる重さが約650トン〜970トンもある巨石がジュピター神殿に使われているにも注目です。これほどの巨石は現代でも運ぶことは大変難しく、古代に途方もない労力を使って建てられことがわかりますね。このトリリトンの上にかつてあった世界遺産は、あの有名なパルテノン神殿よりはるかに大きかったと考えられています。
ベイルートから車で2時間ほどで訪れることができます。レバノンの世界遺産アンジャルからも近く、併せて訪れることをおすすめします。
名称:バールベック
住所:Baalbek, Lebanon
公式・関連サイトURL:https://worldheritagesite.xyz/baalbek/
4. ビブロス
レバノンの世界遺産ビブロスは、聖書(バイブル)の語源にもなったと言われている都市で、地中海の海上交易で繁栄したフェニキア人の発祥の地でもあります。そのフェニキア人が作ったフェニキア文字はアルファベットの元になった文字と考えられており、アルファベット発祥の地とも呼ばれているんですよ。
ビブロスはレバノンの国旗にも描かれているレバノン杉で船を作り、杉から油をとって輸出することで発展しました。ビブロスではなんと、旧石器時代やフェニキア時代、ローマ時代、十字軍の城塞など、様々な年代の遺跡を見ることができる珍しい世界遺産。ベイルートから車で約40分ほどの気軽に行くことができる世界遺産です。
名称:ビブロス
住所:Jubayl, Lebanon
公式・関連サイトURL:https://worldheritagesite.xyz/byblos/
5. カディーシャ渓谷と神の杉の森
カディーシャ渓谷と神の杉の森は1998年に登録された世界遺産です。レバノンの中央を南北に走るレバノン山脈の北部にある渓谷と、レバノンの国旗にも描かれているレバノン杉が自生する森です。かつてレバノン杉で繁栄を極めたフェニキア人ですが、現在残るレバノン杉はほんのわずか。この世界遺産カディーシャ渓谷と神の杉の森では、レバノン杉が保護されています。
カディーシャ渓谷では、キリスト教の修道士が修行をするために滞在したことがきっかけで「神の森」と呼ばれるようになり、渓谷には修道院や避難場所が残されています。これらの宗教建築も含めて世界遺産として登録されていますが、運が良ければ見られる雲海が絶景。首都ベイルートからは3時間近くかかりますが、訪れる価値のある世界遺産です。
名称:カディーシャ渓谷と神の杉の森
住所:Bsharri, Lebanon
公式・関連サイトURL:https://worldheritagesite.xyz/ouadi-qadisha/
◎まとめ
地中海沿いに位置するレバノンでは様々な文化が交差し、時代ごとにいろいろな権力に支配された歴史があります。一つの遺跡からさまざまな時代を垣間見れるのはとても珍しく、そんなレバノンの世界遺産は大変貴重とも言えますね。レバノンは中東に位置していますが、世界遺産の多くはローマ時代に残されたキリスト教の宗教施設で、現在でも人口の半分近くはキリスト教徒なんですよ。フェニキア人の悠久の歴史が感じられるレバノンの世界遺産は、ぜひ一度は見に行きたいものですね。