ベルギーの世界遺産12選!ブリュッセルや古都ブルージュも楽しもう

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ベルギーの世界遺産12選!ブリュッセルや古都ブルージュも楽しもう

ベルギーの世界遺産は、文化遺産に12件登録されています。(2018年12月現在)中でも有名なのが、ブリュッセルにある広場グラン=プラスや運河が美しいブルージュ歴史地区、フランドル地方のベギン会修道院ではないでしょうか。観光地としても人気の高い首都ブリュッセルには、見ごたえのある世界遺産が満載。中世に建てられた美しい建築物や赤煉瓦の家屋が並ぶ歴史のある街並みは、圧倒されるでしょう。そんなベルギーが誇る美しい世界遺産を12選ご紹介します。

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ベルギーの世界遺産12選!ブリュッセルや古都ブルージュも楽しもう

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1. ブリュッセルのグラン=プラス

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ブリュッセルのグラン=プラスは、1998年に世界遺産に登録されました。文豪ヴィクトル・ユゴーが「世界で最も豪華な広場」と称え、フランスの詩人ジャン・コクトーによって「豊穣なる劇場」と賛美されたブリュッセルの中心にある美しい広場。まわりをブリュッセル市庁舎や、ブラバン公爵の館、王の家、ギルドハウスなどに囲まれ、ベルギーの歴史の様々な局面で表舞台として登場しています。

おすすめの時期は、2年に1度8月に開催されるフラワーカーペットです。1971年に初めて開催され、毎回何十万本ものベゴニアの花を敷き詰めて美しい花の絨毯が作られます。煌びやかなグランプラスの景色と相まって、4日間だけの夢のような光景は必見。フラワーカーペットを目当てにベルギーに観光客が押し寄せる大人気のイベントです。

2. ブルージュ歴史地区

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2000年に街がすっぽり丸ごと世界遺産に登録された、ブルージュ歴史地区。ベルギーの古都として知られるブルージュは、「北のヴェネチア」とも呼ばれる水路が発達した水の都です。海からも遠く、大きな川があるわけでもないブルージュでは、15世紀以降の船舶の巨大化にともない街も衰退していきましたが、そのおかげもあって現在でも中世の街並みをとどめた姿を保つことができました。

ブルージュ歴史地区には、世界遺産に登録されている「フランドル地方のベギン会修道院」と「ベルギーとフランスの鐘楼群」に含まれる鐘楼とマルクトホールもあります。街の中はどこを見ても美しく、まるで絵本の中に迷い込んだよう。石畳の道で馬車に乗ったり、水路を船で観光したりと、中世の人が見た同じ視点で街を散策できるのも楽しいですね。

3. フランドル地方のベギン会修道院群

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フランドル地方のベギン会修道院群は、1998年に世界遺産に登録されました。中世のヨーロッパにおいて、女性の生き方は、結婚か修道女になるかのどちらかしか許されていませんでした。ベギン会修道院は、12世紀にベルギーで女性だけの修道会として発足し、修道女としてではなく半聖半俗の生活を送りました。女性でも、手に職をつけたり、街へ出て労働をする自由を与え、夜は修道院での共同生活を送るなかで自立して生きていく術を学べるとても貴重な場でした。

現在は、ベルギー西部のフランドル地方のディースト、ルーヴェン、リール、ブルージュなどに13の修道院が点在し、世界遺産として登録されています。特にブルージュのベギン会修道院は運河を渡り門をくぐると、木立ちの中に静かにたたずむ白壁の修道院が印象的。世界遺産登録のずっと前に、オードリー・ヘップバーンの『尼僧物語」の舞台になったことでも有名です。

4. ベルギーとフランスの鐘楼群

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「ベルギーとフランスの鐘楼群」は、はじめ1999年に「フランドル地方とワロン地方の鐘楼群」という名前でベルギー単独で世界遺産に登録。その後2005年にフランス北部の鐘楼群も追加されたため、現在では合わせて56の鐘楼が世界遺産として登録されています。鐘楼とは、街の中央広場にそびえ立つ巨大な塔で、多くは教会や市庁舎などに帰属しているもの。

街のシンボルのような存在で、世界遺産に登録されているアントワープの高さ約123mの鐘楼は、遠くからでもその姿が見えるためアントワープに入港する船の目印にもなっていました。また、鐘楼には複数の鐘を組み合わせてメロディーを奏でる「カリヨン」という楽器が備えられていて、それぞれに専任のカリヨン奏者がいます。カリヨンはベルギーが発祥の地といわれていて、今でも毎日決まった時刻にカリヨンを奏でて人々に時を知らせています。

5. ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺

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ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺は、1998年に世界遺産に登録されました。ベルギー南部ワロン地方エノー州にあるサントル運河は、マース川とスヘルデ川のドックを連結し、国内の主要都市だけでなくドイツ、オランダ、フランスへもベルギーを経由して直通させることを目的に作られた運河です。

世界遺産に登録された4基の水力式ボートリフトは、1888年から1917年に建設され、二つの川にある最大67mの高低差を解消した19世紀の運河建設および水工学の頂点といわれる建造物。産業革命によって蒸気船が誕生したヨーロッパでは、水路網の整備が非常に重要でした。世界遺産に登録された4基は、創建当時のまま稼働する世界で唯一現存するボートリフト。現在は観光用として運用され、ボートに乗船してリフトを体験できます。約1時間の観光コースは、要予約なので、ぜひチェックしてみてくださいね。

6. 建築家ヴィクトル・オルタの主な都市邸宅群

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ベルギーの建築家で、アール・ヌーヴォーの父と言われるヴィクトル・オルタ。そのヴィクトル・オルタが手掛けた4つの邸宅が2000年に世界遺産に登録されました。アール・ヌーヴォーは、自然界にある花や植物などをモチーフに左右非対称の有機的曲線を描くデザインで、ヴィクトル・オルタは、アール・ヌーヴォー様式を建築へと発展させた最初の建築家です。彼が設計したブリュッセルのタッセル邸が世界で初めてのアール・ヌーヴォー建築といわれています。

1903年築のソルヴェー邸、1901年築ヴァン・エドヴェルド邸、そして1901年築のオルタ邸はヴィクトル・オルタの自邸兼アトリエとして自身で設計し、建物だけでなく内装、調度品に至る全てをオルタがデザインしました。オルタ邸やベルギー漫画センターの内装など、オルタが手掛けたアール・ヌーヴォー建築を鑑賞できるところもありますが、その多くは個人の住宅として建築されたため一般には非公開となっています。見たい方は一年に数回ある特別公開のチャンスを逃さずに訪れてください。

7. モンス市スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地

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ベルギー南部にあるモンス市スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地は2000年に世界遺産に登録されました。首都ブリュッセルから電車で一時間ほどの場所にあるスピエンヌ村で、ヨーロッパ最古の鉱山の跡が鉄道敷設工事中に発見されました。

紀元前4000年から紀元前750年ころまで火打ち石用の石英などの鉱石の採掘が行われていたと考えられています。周囲には集落の跡も発見され、ベルギーだけでなくヨーロッパ全体における新石器時代を解明する手がかりとなることが期待されています。スピエンヌでは、現在も発掘作業が進められています。現在では新しい施設が完成し一般公開も行われていますが、団体ツアーでないと解説が聞けないこともあるようなので、観光ツアーに参加して訪れるのが良いでしょう。

8. トゥルネーのノートルダム大聖堂

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トゥルネーのノートルダム大聖堂は、2000年に世界遺産に登録されました。トゥルネーはベルギーで最古の街として知られています。成り立ちはベルギーの建国よりも遥か昔、2000年前のローマ帝国時代まで遡ります。フランス国境とも近い場所にあり、フランス、スペイン、ハプスブルグ、英国、オランダなどめまぐるしく領主がかわり、19世紀にベルギーが建国した際にトゥルネーもベルギーの都市になりました。

ノートルダム大聖堂は1140年に着工し、石造りの重厚感のあるロマネスク様式で建築されました。その後、13世紀に一部をゴシック様式に作り替えられたため、一つの建物に2つの建築様式が混ざり合うユニークな大聖堂になりました。また、ここにはベルギー七大秘宝のひとつ「聖母マリアの聖遺物箱」が収められています。1999年には竜巻により甚大な被害をうけ、修復は2030年まで続く予定です。

9. プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体

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プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体は、2005年に世界遺産に登録されました。クリストフ・プランタンは1555年ベルギーのアントワープに世界で初めての活版印刷工房を開業しました。印刷技術の向上は、人類に寿命よりもはるかに長い時を超えて、遠く広く知識を伝搬する術をもたらしました。

印刷工房の「オフィキナ・プランティニアナ」は、その後19世紀まで事業が続けられ、その後は印刷に特化した博物館として現存しています。館内には親交のあったルーベンスやブリューゲルなどの芸術家の絵画も展示されています。「プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体」は単独の博物館として初めて世界遺産に登録されました。アントワープには、他にも「ベルギーとフランスの鐘楼群」の世界遺産に含まれるノートルダム大聖堂とアントワープ市庁舎、「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献」に含まれるギエット邸もあるので併せて観光できます。

10. ストックレー邸

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ベルギーのブリュッセルにあるストックレー邸は2009年に世界遺産に登録されました。ベルギーの金融業者アドルフ・ストックレーの私邸として、1905年から1911年にかけて建築されたモダニズム様式を取り入れた建築です。当時、ベルギーで全盛期であった曲線の美しさを強調したアール・ヌーボー様式に逆らい、直線的で立方体的デザインを取り入れ、その後1920年頃から流行したアール・デコ様式の特徴をいち早く表現しています。

建築家はヨーゼフ・ホフマン、内装はグスタフ・クリムトとフェルナン・クノップフが手掛けました。ストックレー邸建設にあたり、それまでにない芸術家と職人の結びつきは建築という枠を超えて「総合芸術」という新しい概念を生みだしたといわれています。残念ながらストックレー邸は私邸であるため、世界遺産ではありますが一般には公開されていません。ブリュッセル市民にもあまり知られていない、隠れた世界遺産ですね。

11. ワロン地方の主要な鉱山遺跡群

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ワロン地方の主要な鉱山遺跡群は、2012年に世界遺産に登録されました。ベルギー南東部ワロン地方のエノー州の3鉱山とリエージュ州の1鉱山を含み、19世紀後半から20世紀の後半にかけて石炭の一大産地としてベルギーの近代化を支えた炭鉱跡です。このエリアの炭鉱の発展によって、ベルギーはイギリスに次いで産業革命を成し遂げた国になりました。

また世界遺産には、地下と地上に広がる保存状態の良好な炭鉱遺跡群だけでなく、炭鉱関連の産業建築や労働者の生活までもを含めた炭鉱の町における都市計画全体が「顕著な普遍的価値」と評価されています。

12. ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献

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ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献は、2016年に世界遺産に登録されました。1887年に生まれたル・コルビュジエ(本名シャルル・エドゥアール・ジャンヌレ)は、近代建築の三大巨匠の一人に数えられ、デザインの枠は建築だけにとどまらず、家具、絵画などにも素晴らしい才能を発揮した人でした。

彼の作品は世界に広く点在していますが、2016年の世界遺産登録にはドイツ、アルゼンチン、ベルギー、フランス、インド、日本、スイスの合計17点を含み、大陸をまたいで登録された初の世界遺産となりました。ベルギーではアントワープにある、画家ルネ・ギエットの依頼で建てられた「ギエット邸」が世界遺産に登録されています。狭い敷地の中で建造された箱型住宅には、細長い窓と自由な平面などコルビュジエの近代建築の五原則の特徴が見られます。

◎まとめ

ベルギーの歴史ある世界遺産12箇所をご紹介しました。地理的にも強国に囲まれているので隣国からの影響も強く、それがまたベルギーの発展へと繋がっています。中世の面影を残す美しい街並みは、様々な歴史の重みを感じられるでしょう。ベルギーを観光しながら、世界遺産をじっくりと見て回ってくださいね。

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