南米大陸の美しく情熱的な国、ブラジルの世界遺産20カ所完全ガイド

画像出典:Maxim Safronov

南米大陸の美しく情熱的な国、ブラジルの世界遺産20カ所完全ガイド

ブラジルは南米大陸の中で最大面積を持つ広大な国、その中に豊かな大自然があるゆえ、世界遺産も自然遺産の割合が35%と高くなっています。なお、日本と同じく20カ所世界遺産を有し(2016年現在)ています。

メジャーな所では自然遺産のイグアスの滝やアマゾン、文化遺産のリオデジャネイロでしょう。しかし、他は一般的にはあまり知られていないのが実情です。
情熱の国ブラジルのイメージとは程遠い世界遺産を知って驚くかも知れません。それほどブラジルという国は奥が深いということです!

では、ブラジルの世界遺産20カ所すべてをご紹介しますのでお気に入りを見つけてください!

目次

南米大陸の美しく情熱的な国、ブラジルの世界遺産20カ所完全ガイド

目次を閉じる

1.イグアス国立公園

出典: www.istockphoto.com

言わずと知れた世界中の人々の憧れの世界遺産、世界三大瀑布の一つ「イグアスの滝」。アルゼンチンとブラジルの国境に位置し、その周辺も含めてそれぞれの国が「イグアス国立公園」として保護しています。

世界自然遺産として登録されたのは、アルゼンチン側は1984年。ブラジル側のイグアス国立公園は1986年。

イグアスの滝はいくつもの大きな滝の集合体です。これを目にもカメラにも収めるには、ブラジル側がおすすめ。その際、有名な悪魔の喉笛は対岸から見ることになります。

世界遺産に登録された別の理由は、公園内に5種の森林と生態系が同居しているという希少価値です。多種多様な鳥類が生息しているのもこの世界遺産の魅力です。

2.オウロ・プレット歴史地区

出典: www.istockphoto.com

オウロ・プレットはブラジルのミナス・ジェライス州の歴史的な都市。その歴史地区が1980年に世界遺産として登録されました。ブラジル国内では最初に登録された世界遺産ということもありとても人気があります。

17世紀から18世紀にこの地域で起こったのがゴールドラッシュ。金鉱が発見され、採掘のブームが起こり、周辺には発展したポルトガルの植民都市が築かれていきます。その中心都市となったのがこのオウロ・プレットで今も当時と変わらない美しい街並みが残されています。

「黒い黄金」を意味する都市オウロ・プレットの主産業は観光です。18世紀の世界に迷い込んだかのようなこの街へ、世界中からたくさんの観光客がやってきます。ただ歩いているだけでも楽しめる、ブラジル人の誇りの世界遺産です。

3.オリンダ歴史地区

出典: www.istockphoto.com

ブラジルのペルナンブーゴ州にある都市オリンダは、太平洋に面した風光明媚な都市です。16世紀にブラジルで初めてポルトガルがこの地に植民都市を建設しました。植民地時代のブラジルの都市の中でも保存状態の良いコロニアル建築物が数多く残されていて、1984年に世界文化遺産として登録されました。

サトウキビ産業によって発展した町は、オランダの侵略を受けて一旦は破壊されてしまったのですが、17世紀半ばにポルトガルはオリンダを取り返します。そして再びポルトガル風の建築物、街並みを築き、都市は再建したのです。それがこの世界遺産です。

町の名は「なんて 美しい!」という意味のポルトガル語から来ているんです、素敵ですね!
この美しい世界遺産、オリンダ歴史地区での最大のハイライトはサンフランシスコ修道院で、オランダの侵略の際に破壊されずに済んだ建物として貴重な歴史的建造物です。

4.コスタ・ド・デスコブリメントの大西洋岸森林保護区群

出典: commons.wikimedia.org

ブラジルのバイーア州南部からエスピリト・サント州北部にかけて存在する、5つの自然保護区と3つの国立公園を対象としています。単位面積当たりの樹木の種類の多様さが世界屈指であるとして、1999年に世界遺産に登録されました。

世界遺産の目的は絶滅危惧種を守ることにもありますが、ブラジルの誇るこの森林保護区群にも、そうした動物が多く生息して守られています。

主な樹木は、アッサイヤシ、ブラジルゾウゲヤシ、そしてブラジルの名の由来となったブラジルボクなどです。動物はタテガミナマケモノ、ホソオヤマアラシ、ジャガーなどが生息しています。

5.グアラニーのイエズス会伝道所群

出典: commons.wikimedia.org

ブラジルの南部、リオグランデ・ド・スル州と、アルゼンチンにまたがる世界遺産です。最初に1983年、ブラジルのサン・ミゲル・ダス・ミソオエス遺跡群が世界文化遺産に登録され、翌年にアルゼンチンの4つの歴史的建造物などが「グアラニーのイエズス会伝道施設群」として登録され、ブラジルの遺跡と共に一つの世界遺産になりました。

17世紀初頭、イエズス会は、ブラジル南部と隣接するアルゼンチンやウルグアイの一部に住んでいた先住民グアラニー族に、キリスト教普及を行っていました。平和なときに普及させるべく、いくつもの伝道所や伝道のための集落を築いていったのです。しかし、その理想郷もイエズス会撤退と共に崩壊し、現在は遺跡となって世界遺産として保存されています。

6.サルヴァドール・デ・バイーア歴史地区

出典: www.istockphoto.com

ブラジルを代表する大都市、バイーア州のサルヴァドールはブラジル北東部の大西洋沿岸の港湾都市です。1549年から1763年にかけてブラジルの首都として君臨した間に、砂糖や金の交易で町は大きく発展。その繁栄ぶりを表す多くの建造物が今も町中に残っています。その街並みが1985年に世界遺産として登録されました。

サルヴァドール大聖堂やサン・フランシスコ教会と修道院などの歴史的建造物をはじめ、豪華な植民地時代の多くの邸宅も保存状態よく残されています。世界遺産のこの歴史地区は上の町と下の町に分かれていて、そこを隔てる約80mの壁に1873年に建造されたエレベーターが今も現役で24時間稼働しています。

ちなみにリオのカーニバルにも負けない盛り上がりを見せるサルヴァドールのカーニバルも、世界遺産の街並みと合わせて必見です!

7.大西洋岸森林南東部の保護区群

出典: commons.wikimedia.org

ブラジルのパラナ州からサン・パウロ州に至る広大な地域に点在する25もの保護区群が、1999年に世界遺産登録されました。ブラジルが誇るこの森林の保護区群は47万ヘクタールと広大ですが、人類が将来を見据えない森林伐採を重ねた結果、現在では元の原生林はわずか8%しか残されていない現状です。

残された森林とそこに生息する動植物を守ることを目的としての世界遺産に登録でもあります。マメ科、トウダイグサ科、クスノキ科、フトモモ科などの植物や樹木、そしてジャガー、カワウソ、アリクイなどの絶滅危惧種の動物も生息しています。

ブラジルからどんどん森が消失しているのは世界的な問題です。こうした世界遺産を本当に守っていく動機付けになるような旅をしたいものですね。

8.ボン・ジェズス・ド・コンゴーニャスの聖所

出典: commons.wikimedia.org

ブラジルのミナス・ジェライス州にある人口5万人の町コンゴーニャスは、ボン・ジェズス・デ・マトジーニョス聖堂というバシリカ式教会堂と、それに関連する彫刻群で知られています。それらが1985年に世界遺産に登録され、ブラジルの小さな町はますます有名になっています。

「ブラジルのミケランジェロ」と呼ばれたバロック様式の偉大な芸術家アレイジャディーニョは、聖堂のファサード前の石段に、旧約聖書の12人の預言者たちの彫像を彫りました。それが人類の創造的才能を表現する傑作として世界遺産となっているのです。

ブラジルは多くの世界的芸術家を輩出していて、彼らの作品が世界遺産になるというケースが数件あります。そこに注目すると情熱の国ブラジルの奥深さを垣間見れる気がします。


9.ブラジリア

出典: www.istockphoto.com

ブラジルが計画的かつ人工的に作り上げた首都、ブラジリア。その首都そのものが世界遺産に登録されています。これは世界的にも例を見ない画期的なこと。

何もなかった平原にたった4年で都市を完成させたのが1960年。ブラジルの首都としてすぐに機能し始め、それから30年もたたずにブラジリアが1987年に世界遺産に登録されたのは、当時異例のことでした。

都市の設計を担当したのが、ブラジル人建築家ルシオ・コスタ。国会議事堂や大聖堂など都市の主要な建造物は、ブラジルが生んだ偉大な建築家オスカー・ニーマイヤーが手掛けています。歴史がない近代都市そのものが世界遺産。これは本当に見る価値があります。

10.中央アマゾン保全地域群

出典: commons.wikimedia.org

ブラジルのアマゾネス州に属するジャウー国立公園は熱帯雨林が豊富にあります。2000年に世界遺産に登録され、2003年にアミラウア保護区とアマナ保護区も追加で世界遺産になりました。

ブラジルのアマゾンをこうして世界遺産にして保護をしていますが、それでもその領域内でアマゾンの森林のわずか1%を保護しているにすぎません。世界遺産地域外では今でも森林伐採が続いており、深刻な問題となっています。

ブラジルの誇る大自然、アマゾンは地球の肺と言われるほど、そこで膨大な量の二酸化炭素が吸収され、かつ酸素を放出している事実を再認識したいものです。

11. セラ・ダ・カピバラ国立公園

出典: commons.wikimedia.org

ブラジル・ピアウイ州にあるセラ・ダ・カピバラ国立公園は、1991年に世界遺産に登録されています。

一見すると自然遺産のようですが、文化遺産です。ブラジルの奥地にある絶壁に3万点以上もの線刻岩絵群が残されているのです。他に洞窟壁画も残っていて、旧石器時代の先住民たちの芸術が高く評価されて世界遺産となっています。

絶壁は高い所では100mほどもあり、どうやってそこに、どんな目的で絵を描いたのかまだはっきりとは解明されていません。古いものでは6万年前に描かれたという調査結果も出ています。現在も発掘調査が続けられているまさにミステリーなブラジルの世界遺産です。

12.サン・ルイス歴史地区

出典: www.istockphoto.com

サン・ルイスは1612年にブラジルで唯一、フランスによって建設された町。その歴史地区が世界遺産として登録されています。サン・ルイスという町の名前も当時のフランス国王ルイ13世と聖人ルイ9世にちなんでものです。

しかし、1615年にサン・ルイスは、ポルトガルによる侵略を受け、フランス人は撤退せざるを得なくなりました。オランダもこの町を侵略しましたが、結局、当時ブラジルの大半を植民地化していたポルトガルが町を支配しました。ポルトガル様式の建築が状態よく残されていて、世界遺産好きの旅行者にとっては見どころになっています。

歴史地区の建物ほとんどがタイルで覆われているので「タイルの町」として知られています。この美しい世界遺産の景観を損ねないようブラジルは建築物修繕・改装を推し進めています。

13.パンタナル自然保護地域

出典: www.istockphoto.com

パンタナル湿原は世界最大級の湿原で大部分はブラジルに属していますが、一部、ボリビアやパラグアイにも広がっています。自然遺産として世界遺産に登録されています。その領土面積はほぼ日本と同じくらいで、約1,000種の鳥類、約400種の魚類、約300種の哺乳類、480種類の爬虫類など驚くほど多種多様な動植物がいると推察されています。

4つの自然保護区が世界遺産の対象となっていますが、ブラジルのほかの自然遺産と同じように、世界遺産地域外の自然も守らなければ、いくら対象地域を保護しても生命は消滅してしまいます。様々な形態のツアーで湿原をテーマにしたこの世界遺産を楽しめますが、ぜひ広大なブラジルの自然を守る意識をもって出かけたいものです。

14.ディアマンティーナ歴史地区

出典: www.istockphoto.com

1999年に世界遺産に登録された歴史地区です。ブラジルは昔から鉱物が豊富に発掘されてきた国。ミナス・ジェライス州のこの小さな町ディアマンティーナもダイヤモンド採掘で繁栄してきた町です。町の名前自体も、ポルトガル語でダイヤモンドを意味します。

ブラジルにおけるバロック建築の保存状態が良く、この世界遺産の町を歩くと、中世のポルトガルの町にいるように感じるでしょう。
カピストラナスと呼ばれる石畳の曲がりくねった通りが特徴的です。炭鉱跡地にある宿泊施設に泊まれば、ダイヤモンドで栄えた植民地時代に思いをはせるに違いありません。

ミナス・ジェライス州には金鉱の町オウロ・プレットもあり、ブラジルの歴史の発展を担った鉱山産業の世界遺産二つをセットで観光するのがおすすめです!

15.ゴイアス歴史地区

出典: www.istockphoto.com

ブラジルのゴイアス州の小さな町もかつて金鉱で栄えた町で、18世紀のゴールドラッシュにより町は急速に発展し、その当時の美しい街並みが世界遺産に登録されています。町中を流れるヴェルメリョ川で砂金が発見されたのが始まりで、金鉱脈が見つかると同時に押し寄せてきたヨーロッパ人たちで一時は人口100万人を数えました。

ブラジルの奥部の州都だったゴイアスは立派な知事宮殿、美しい壮麗な教会などの建造物が今も保存状態良く世界遺産として守られています。

金脈はあっという間に枯渇し、今は世界遺産の町として静かに観光客を迎えています。ブラジルの首都ブラジリアから日帰り圏内です。

16.セラード保護地域:ヴェアデイロス平原国立公園とエマス国立公園

出典: www.istockphoto.com

ブラジル中央部に位置するベアデイロス平原国立公園とエマス国立公園が、2001年、セラード保護地域として世界遺産に登録されています。セラードとはブラジル中央部のサバンナ気候地域にみられる植生のことです。

ヴェアデイロス平原国立公園の特徴は、一番高い所だと標高1650mにも達する平原地帯で、地球上で最古の岩石形成地帯の1つであること。タテガミオオカミ、カピバラ、レアなど絶滅危惧種も生息していて、それらも世界遺産として保護されています。

エマス国立公園ではより典型的なセラードの生態系を観察できます。これが世界遺産に登録されている重要ポイント。40度を超える厳しいサバンナ気候ゆえに植物のほとんどがイネ科であることも特徴です。また、オオアリクイ、タテガミオオカミ、アメリカ・レア、アルマジロなどが生息しています。ぜひブラジルの大平原で見てみたいものです。

17.サン・クリストヴァンの町のサン・フランシスコ広場

出典: commons.wikimedia.org

ブラジルのセルジッペ州のサン・クリストヴァンは、ブラジル国内で4番目に古い都市。特徴は、ポルトガルがスペインの支配下にあった時に植民地化されたため、スペインらしい町並みが形成されていることです。2010年にのサン・フランシスコ広場が世界遺産に登録されました。

世界遺産になるまで時間がかかったいきさつがありますが、ブラジル国内では珍しく、スペインの影響を受けた規則的で整然とした街並みがサン・フランシスコ広場から広がり、その周囲にある政治的、宗教的権力の象徴だった歴史的建造物群が高い評価を受け世界遺産として保護されています。

18.リオデジャネイロ:山と海との間のカリオカの景観群

出典: ja.wikipedia.org

ブラジルが世界に誇る大都市がついに2012年、世界遺産に登録されました。しかしこれは街並みを対象として登録されているのではありません。写真でよく見るあの景観群、コルコバードの丘とその上に立つキリスト像、コパカバーナ海岸を含むグアナバラ湾周辺が一体となった景観こそが世界遺産となったのです。

ブラジルのリオデジャネイロに行くならほぼ誰もが見たい景観ですよね?なのでこれは文句なく大人気の世界遺産です。

「カリオカ」という「リオっ子」を意味する言葉が登録名に入っていることからは、現地の人たちが携わって創り出した遺産だということが理解できます。

19.ブラジルの大西洋上の島々:フェルナンド・デ・ノローニャ諸島とロカス環礁の保護区群

出典: www.istockphoto.com

フェルナンド・デ・ノローニャ諸島は、ブラジルのペルナンブーコ州に属する大西洋上にあり、主島フェルナンド・デ・ノローニャ島を中心に20の火山島などの島々から成り立っています。その美しい景観と近隣のロカス環礁を中心とするロカス環礁海洋生物保護区が世界遺産に登録されています。

こちらの海域の海水透明度は50mというまさにダイバーが憧れる海。ブラジル大陸から離れた、ほぼ赤道に近い大西洋上の島々とその海そのものが世界遺産ですが、アクセスは簡単ではありません。しかし、たどり着いたその先にはブラジルの奥深さを知った達成感と世界遺産が生み出す絶景が待っています!

20.パンプーリャの近代建築群

出典: www.istockphoto.com

ブラジルのミナス・ジェライス州は世界遺産の宝庫です。その一つが美しい都市ベロオリゾンテの人口湖畔に点在するパンプーリャの近代建築群。ブラジルの20番目の世界遺産として2016年に登録されたばかりです。

ブラジルは人工的に町をつくるのが得意で、このベロオリゾンテのパンプーリャもそうです。ブラジルが生んだ世界的建築の巨匠、オスカー・ニーマイヤーが手掛けた建造物が、その曲線美と奇抜性を特徴としながらも、自然に周囲の景観に溶け込んでいるのが見どころです。

サン・フランシスコ礼拝堂、パンプーリャ美術館(元カジノ)、カーザ・ド・バイリなどが代表的な建築物です。ちなみにニーマイヤーは世界遺産となっているブラジリアの建設にも携わっています。

◎まとめ

いかがでしたか。ブラジルは20件の世界遺産を2016年の時点で抱えていますが、さすが大自然の宝庫だけあってそのうち7つが自然遺産です。日本と同じ数の世界遺産がありますが、ブラジルには他では見られない世界遺産がたくさんあります。知らなかった、行きづらいところにある世界遺産も確かにあります。

しかし世界遺産とはそんなものです。全人類が守っていかなければいけないものです。そして国が広大なほど奥まったところに遺産があるケースが増えます。情熱の国ブラジルが世界遺産として自国の文化と自然をどれだけ大切にしているかを知ることができたのではないでしょうか。

では南米ブラジルの奥深さを味わいにぜひ世界遺産の旅にお出かけください!

国内のエリア一覧

海外のエリア一覧

カテゴリー一覧

ブラジルでおすすめの記事

ブラジルのアクセスランキング