名称:スタリ・ラスとソポチャニ(Stari Ras and Sopoćani)
住所:Vicinity of Novi Pazar, Raška District, Republic of Serbia
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/96
旧ユーゴスラビアであるセルビア共和国。8カ国に囲まれている東欧の中心に位置するセルビアは意外にも観光資源が豊富にあります。特に教会をはじめとした中世の遺跡や歴史的建造物の保存状態がよく、2008年に独立を果たしたコソボ共和国にある世界遺産1つを含め、5つの世界文化遺産があります。セルビアの美しい自然と世界遺産のコントラストは絶景で見逃せません。セルビアの世界遺産を5選ご紹介します。
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セルビアの世界遺産!魅惑の古代遺跡や中世の建築物を巡る旅
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1. スタリ・ラスとソポチャニ
1979年にセルビアで最も早く世界遺産に登録されたのがスタリ・ラスとソポチャニ。スタリ・ラスは中世に存在した国家ラシュカの首都を指します。このラスの遺跡群(要塞、聖堂、修道院など)と近隣の関係する建造物群が世界文化遺産として登録され、セルビア南西部の街ノヴィ・パザルで見られますよ。
特に外せないのが、ソポチャニ修道院。13世紀後半に建てられたセルビア正教会のこの修道院は、戦火に晒され屋根などの一部が破壊をされますが、20世紀に修復され現在の姿を保っています。観光の際は内部のフレスコ画に注目してみてください。セルビア美術においてこの時期最も美しいとの呼び声も高いフレスコ画を楽しむことができます。特に「生神女の就寝」と呼ばれる画は色鮮やかで美しい作品。セルビアの世界遺産の中でも押さえておきたいスポットです。
2. ストゥデニツァ修道院
出典: Slobodan Kunevski/shutterstock
セルビア中心に位置する街クラリェヴォにあるストゥデニツァ修道院はセルビアにある最大級の正教会として1986年に世界文化遺産として登録されました。クラリェヴォの南西約39kmのところにあるこの修道院は、1190年に中世セルビア王国の建国者であるステファン・ネマニャにより設立されたもの。白い大理石でできたドーム付きの建物は印象的なバジリカ式の付属聖堂で、周辺を高い防壁に囲まれています。
建築様式は、ラシュカ派と呼ばれるロマネスク様式とビザンティン様式が混合した独特なもの。歴史的建築物としての価値に加え、素晴らしいビザンティン美術をフレスコ画群も評価されたのが世界遺産に登録された理由。「ハリストスの磔刑」や「王の聖堂」など見応えのあるフレスコ画も合わせて、世界遺産であるストゥデニツァ修道院の素晴らしさを堪能してください。
名称:ストゥデニツァ修道院(Studenica Monastery)
住所:116, Brezova 36343, Serbia
公式・関連サイトURL:http://www.manastirstudenica.rs/category/%D0%B2%D0%B5%D1%81%D1%82%D0%B8/
3. コソボの中世建造物群
事実上独立をしているコソボにある世界遺産「コソボの中世建造物群」ですが、セルビアの中の世界遺産としてご紹介します。ここはデチャニ修道院、ペーチ総主教修道院、リェヴィシャの生神女教会、グラチャニツァ修道院の4つの建造物が2006年に登録されたものです。中でも写真のデチャニ修道院は2004年に先駆けて世界遺産として単独的に登録されていましたが、2002年までは危機遺産リストにも名を連ねていたのです。
セルビアの中に位置し、地理的にも情勢的にも不安定な歴史を辿ってきたこの建造物群。パレオロゴス朝ルネサンス様式の建築物であること、中世のフレスコ画を理由に世界遺産として登録されました。セルビアの中でも独特な場所ですが、その美しい建造物は一見の価値ありです。
名称:コソボの中世建造物群(Medieval Monuments in Kosovo)
住所:Autonomous province of Kosovo
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1253/
4. ガレリウスの宮殿ガムジグラード=ロムリアーナ
出典: PavleMarjanovic/shutterstock
2007年にセルビアの4番目の世界遺産として登録されたのがガレリウスの宮殿ガムジグラード=ロムリアーナ。ここでは古代ローマの城塞やロムリアーナ宮殿などの遺跡が登録された世界文化遺産です。ガムジグラードはセルビアの東部ザイチャル郊外にある村の名前で、ローマ皇帝ガレリウス・マキシミアヌスの命により107年に宮殿ガムジグラード=ロムリアーナが建てられました。
現在この世界遺産はザエチャル国立博物館にて4月から11月まで見学が可能。宮殿建築様式の例として保存状態が良いことから世界文化遺産として登録されました。セルビアとブルガリアの国境付近にある柱が印象的な古代の遺跡です。
名称:ガレリウスの宮殿ガムジグラード=ロムリアーナ(Gamzigrad-Romuliana, Palace of Galerius)
住所:Zaječar, Serbia
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/1253
5. 中世墓碑ステチュツィの残る墓所群
セルビアの世界遺産として最も新しく登録されたのが中世墓碑ステチュツィの残る墓所群です。ここはセルビアだけでなくクロアチア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナの広範囲にわたる墓石群。様々な装飾をまとった墓石は7万点ほど発見されていますが、その中でも価値のある30点が世界遺産として2016年に登録されています。そのうちセルビアにある3件は西セルビアの村PerućacにあるMramorjeにあります。
12~16世紀に作られたとされる巨大墓石には未だ多くの謎が残っていますが、当時の文化的伝統や文明を証明する価値ある証拠として世界遺産に選ばれました。今後、研究がますます進んでいくであろうモニュメントです。
名称:中世墓碑ステチュツィの残る墓所群(Stecci Medieval Tombstones Graveyards)
住所:Perućac, Serbia
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/1504
◎まとめ
セルビアの世界遺産、5選をご紹介しました。どれもセルビアの美しい建築物、歴史遺跡の数々を代表する一見の価値があるものばかりです。あまりアクセスはよくありませんが、見応えのある観光スポットが盛りだくさん。歴史のある建造物や美しい中世美術、古代の不思議を堪能できます。セルビアの世界遺産をめぐる旅を計画してみてはいかがでしょうか。