【滋賀県大津市石山寺】 紫式部と縁が深い寺で趣深いひとときを過ごそう

【滋賀県大津市石山寺】 紫式部と縁が深い寺で趣深いひとときを過ごそう

滋賀県大津市にある石山寺は、瀬田川沿いにあるお寺です。747年に聖武天皇の祈願によって建立され、平安時代には朝廷や貴族との結びつきも深まり『更級日記』や『枕草子』などの古典文学作品にも度々登場しました。特に当時活躍した女流作家・紫式部との縁が深く、かの有名な『源氏物語』は、紫式部がこのお寺に7日間籠り作り上げた作品なのだとか。

境内に咲く花が四季をこうこうと表現し、梅や桜が咲く季節、紅葉色付く季節には得も言えぬ美しい風景を楽しむことができます。この千年以上の歴史を持つ石山寺には、一度は目にしてもらいたい美しい風景がたくさんありますよ。今回は、そんな石山寺の風流で雅な見どころをご紹介します。

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【滋賀県大津市石山寺】 紫式部と縁が深い寺で趣深いひとときを過ごそう

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1.燃えるように咲き誇るツツジ

石山寺 藤とキリシマツツジ

石山寺で見逃せないのが、樹齢約200年のツツジの老木。このツツジは「キリシマツツジ」という品種で、4月下旬から5月上旬に綺麗な花を咲かせます。寺の門をくぐると参道沿いにこのツツジが植えられており、まるで咲いた花が訪れる人たちを出迎えているようですよ。

源氏苑や豊浄殿にもツツジが咲いており、多くの観光客の目を楽しませています。ツツジ以外にも境内ではシャクナゲやフジが咲き、運が良ければ4月下旬頃の咲き残った桜と併せて鑑賞することもできます。

キリシマツツジの花言葉は「燃え上がる愛」。これは最初は少しずつ点々と咲き、満開のときには葉っぱが見えなくなるほど集中して咲く赤い花のイメージからつけられたものです。大切な人や友達と華麗なツツジを背景に寺内を散策するのも良いですね。

2.月見亭から見る中秋の名月

月見亭 石山の秋月

月見亭は平安時代後期、後白河天皇が行幸の際に建立したのが始まりと言われています。なお、現在の建物は江戸時代に建てられたもの。その名の通り月を眺める目的で建てられ、眼下には瀬田川から琵琶湖、その向こうにある名神高速や新幹線まで見渡すことができます。

月見亭を観光するなら、秋月祭の時期に訪れましょう。これは中秋の名月に当たる9月15日に行われるイベントで、紫式部が石山寺で十五夜の月を眺めながら源氏物語のシナリオを着想していたという言い伝えにちなんで行われています。この日は夜間の特別拝観も可能で月を見ながら風流な時が過ごせます。

春には満開の桜、秋には美しく染まった紅葉を見ることができます。平安の時代から変わらないであろう光景のなか、遠い昔に思いを馳せてみましょう。平安時代の貴族たちも愛でたであろう空間は一生の思い出になるはずです。

3.石山寺の冬の風物詩 3つの梅園

石山寺 梅園

石山寺の境内には、庭木のように手入れされている第一梅園「薫の苑(においのその)」と高低差が特徴の第二梅園「東風(こち)の苑」、そして自然な環境で育った梅が見られる第三梅園の3つの梅園があります。

2月中旬から3月中旬にかけては「梅つくし」という催しが開かれ、紅白の梅や寒紅梅、梅干に適した長束梅など、自然に咲く梅から盆栽の梅まで幅広く楽しめるんですよ。

3つの梅園のうち最も早く開花する「東風の苑」は、学問の神様・菅原道真公が詠んだ和歌の中に出てくる言葉にちなんで名づけられたのだとか。梅をこよなく愛した道真公の孫が、石山寺三代目座主を務めた縁から「東風」の名前がつけられたそうです。

4.源氏の間がある石山寺本堂

石山寺本堂

石山寺本堂には、如意論観世音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)という日本で唯一の勅封秘仏(天皇の命令によって封印されている仏様)が祀られており、33年に一度だけ開帳されます。最近では2016年がその年で、12月の初めまで見ることができました。

この菩薩は霊験(神仏の不思議な力)を表す宝の珠で願い事を叶える仏様で、安産や縁結びのお寺として知られています。そのため、女性に人気があるそうですよ。

紫式部と縁がある石山寺の中でも、最も関係深いのが本堂内部の東側にある「源氏の間」。紫式部はこの部屋に7日間参籠し、源氏物語を書きました。源氏の間には紫式部の人形が展示されており、源氏物語の起草に取り組む紫式部の様子をうかがえます。

春と秋には第二梅園の近くにある豊浄殿で「石山寺と紫式部展」が開かれ、石山寺と紫式部にまつわるさまざまな展示が行われます。

5.ライトアップされた石山寺多宝塔

石山寺多宝塔

多宝塔は、すべての生物の根本となる仏様「大日如来」を安置するための仏塔です。本尊には鎌倉時代の仏師、快慶によって掘られた国宝・大日如来坐像があります。1194年に源頼朝の寄進で建てられた日本三塔の一つ。年代が判っている多宝塔としては最も古く、国宝に指定されています。

秋には周辺に色づく紅葉と相まって美しい光景を作り上げますが、特にライトアップされた姿は別格。11月頃に行われる「あたら夜もみじ」というイベントでは、紅葉のライトアップやライブが行われ、寺一面が秋の夜を神秘的に演出します。石山寺の夜景は日本夜景遺産にも登録されており、中でも多宝塔のライトアップは日本を代表する夜景として人気があります。

6.寺名の由来にもなった由緒ある天然記念物「石山寺硅灰石」

石山寺硅灰石

出典: 663highland (CC BY 2.5)

硅灰石は地中から飛び出た石灰岩が花崗岩と接触し、その際に起こる熱作用によって変質した石のことです。石山寺の硅灰石は国の天然記念物にも指定されており、境内のあちらこちらで石切場(採石場)の跡が見つかっています。

石山寺の「石山」とは、この硅灰石の山のこと。この硅灰石の前で咲く桜は「良弁杖桜(ろうべんづえざくら)」と呼ばれ、奈良時代に石山寺を開山した良弁僧正が持っていた杖が根付いて桜の木になったという言い伝えに由来します。秋になると険しい硅灰石と美しい紅葉が絶妙なコントラストを生み出します。

7.石山寺は滋賀県有数の花見スポット

石山寺は、瀬田川流域の桜と並び滋賀県内でも指折りの人気を誇る花見スポット。種類はソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤマザクラなどが主で、約600本もの桜が咲きます。瀬田川流域の桜も含めればその数は約1500本にもなり、3月下旬から4月上旬に見頃を迎えます。

満開の頃には、境内のありとあらゆるところで桜が咲き乱れ、その美しさは名所の名に恥じない優雅さ。場所によっては4月下旬頃でもヤエザクラなどが咲き残るため、タイミングがよければ4月下旬頃に満開を迎えるツツジと併せて観賞することもできます。

石山寺は「花の寺」とも称されており、その名の通り桜以外にも季節毎にたくさんの花が咲き、その美しさを楽しめるのが魅力です。2月頃に咲く早咲きの桜は、梅と併せて楽しむことができますよ。

8.日本三古橋のひとつ「瀬田の唐橋」

瀬田の唐橋

「急がば回れ」ということわざは、室町時代の歌人が作った短歌に由来しています。その短歌の中に出てくるのが、この瀬戸の唐橋(せたのからはし)です。

かつて東海道を経て京都へ行くには、近道とされる「矢橋(やばせ)海路」よりも距離的に遠回りな瀬戸の唐橋を選ぶほうが確実でした。その確実性をもって、遠回りする方が吉という意味合いから「急がば回れ」という言葉が生まれたのです。

この橋は日本書紀にも登場するほど古く、日本の道100選や日本三古橋の一つにも指定されています。現在の橋は、織田信長により整備された橋を昭和54年に架け替えたもの。

また瀬田の唐橋は、近江八景の一つ「瀬田の夕照(せきしょう)」が見られる橋としても有名です。橋と夕焼けのコントラストは、時を経た今でも絶景に変わりありません。春には桜も咲き、石山寺の桜と併せて満喫することができますよ。

◎大津市石山寺の風流で雅な見どころまとめ

石山寺ライトアップ

奈良時代にはじまり、現在も数々の美しい光景で人々に愛される石山寺。多彩な植物に彩られる姿は、まさに「花の寺」の呼び名に相応しいものです。京都からでもアクセスしやすい場所にあるので、京都観光と併せて訪れてもいいでしょう。たくさんの花に囲まれながら、幻想的なライトアップをを眺めながら、雅で趣のあるひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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